76、統計とは(統計を考える)


経済統計の多くは、時系列である。


経済統計の多くは時系列データである。
経済統計は、基本的に離散数の数列として表される。

経済統計は、経済予測や経済政策の立案をし、経済を制御する事を目的としている。しかし、経済統計を分析しても経済予測や経済政策の立案といった目的をなかなか果たせないでいる。
それは、経済統計をただ推移に眺めても、その背後で働く働きや仕組み、因果関係が見えてこないからである。

多くの経済統計に基づく時系列分析は、単純に推移の形から将来の予測をしようと試みている。
しかし、経済の変化は、単一の因果関係から導き出されるほど単純ではなくその軌跡も一定ではない。

変化は、軌跡だけを見ていても変化の先行きを読むことはできない。
変化している物に対して何が、どのような力を及ぼしているかを明らかにすることで、次にどのように変化するのかが、予測できるようになるのである。
例えば売り上げだがの推移を見ているだけでは、売上高の予測をつける事は難しい。何が売り上げに貢献しているのか、何が売り上げを減らす要因なのか、それがわからない限り、売上を向上させることはできないのである。
売上高の推移は、結果の軌跡を表しているのに過ぎない。売上を上げたければ、何が、売上の向上につながるのかを明らかにしなければならない。そして、それが時系列分析の目的でもあるのである。

経済の動きだけでなく、推移を表す時系列データはグラフにしてみればわかるが複雑な動き、一見、不規則な動きをしているように見えるものが多い。表面に現れた動きだけを見ていても先に対する読みはできない。
なぜならば、表面に現れる現象は、その根底にある仕組みや働きの結果に過ぎないからである。

経済の動きは、単純な因果関係ではなく。いくつかの要因が、複雑に絡まって起きているからである。
変化に働いている要因を明らかにし、そして、その要因が何に対してどのように作用しているかを明らかにしないと、経済予測や経済政策に役立てる事はできない。

経済は、一変量だけ見ても理解できない。経済は、多変量時系列である。

貨幣経済下においては、経済現象は「お金」の動きや貨幣価値の変動として現れてくる。
「お金」の動きや貨幣価値の変動の背後には、人や物の動きや仕組みが働いている事を忘れてはならない。
統計で読み解くのは、その背後の仕組みや働きが、全体に対してどのように作用するかを、明らかにする事なのである。

経済を予測し、それを経済政策に役立てるためには、経済の仕組みや構造を明らかにする必要がある。

経済現象は、表面に現れた現象だけ見ていても理解することはできない。表れた現象の背後にある仕組みや構造、働きが問題なのである。

自動車が走った軌跡を解析しても自動車がどのような仕組みで制御されていたかを知ることはできない。
自動車がどのような仕組みによって制御されているかを理解しなければ自動車を運転する事はできないのである。
その点を理解しないとどうしたら経済統計を活用できるかを理解することはできない。

例えば、経済統計で最も有名な統計の一つが国民経済計算である。その代表的な指標は、国内総生産(GDP)である。
GDPはいくつもの統計が重なり合い、組み合わさり、集計され、あるいは加工されることによって形成されている。
GDPを構成する個々の統計も同様にある種の構成、構造を持っている。

何を、どのようにしたら、どの様な結果が得られるのか。それを明らかにすることは、世の中の仕組みを動かし、制御するために不可欠な事である。
経済現象は多くの要因が複雑に絡み合って起こるために、経済を動かす仕組みや因果関係を解き明かす事が難しいのである。

経済分析の目的を達成するためには、目的を達成するための中心となる指標を定め、その指標に影響を与えると思われる他の指標との関係を明らかにし、また、中心となる指標を予兆する指標や後付ける指標を見つけ出して中心となる指標との相関関係や因果関係を想定するが一つの目安となる。

また、経済は、反復性のある事象と反復性のない事象が混じり合っている。そのために、どの様な事象・部分が反復的でまた、どの事象・部分が非反復的なのかが判然としない場合が多い。まず、反復的な事象と非反復的な事象を分解する事が重要となる。




ベイズ統計
確率と統計
確率と統計(教育)



参照
「道具としてのベイズ統計」 涌井良幸著 日本実業出版


       

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