76、統計とは(統計を考える)


経済統計の構造



経済統計の基底は集合論である。

数が成立するのは、数の働きである数えるとか、測るという作用による。
そして、この数えるとか、測るという働きこそ統計を成り立たせている働きだからである。
まず統計の働きは、数えるとか測るという事を基礎としている。
更にこの数えるとか測るという働きを実体と結びつけることでかすは成り立っている。この数えるとか、測るという働きが何らかの対象に結び付く事で数の概念も統計という概念も成立した。

経済は、人、物や用役、金の集合からなる。故に、経済統計の集合には、物や用役の集合、人の集合、お金の集合の三つがある。そして、経済の実体は、物や用役の集合と人の集合である。それを結び付けているのは、「お金」の集合である。
経済の働きには、生産、分配、消費の三つの働きがある。
分配は、取引に基づくのか収奪に基づくのか。

インフレーションも、デフレーションも、恐慌も、バブルも貨幣的現象である。しかし、経済の実態、景気を動かしているのは、人と物である。この点をキチンと見極めないと貨幣的現象を制御する事はできない。

インフレーションやデフレーション、恐慌、バブル、といった現象は貨幣的現象である。つまり、貨幣が直接的な引き金を引くことで起こる現象である。しかし、その背後で人や物の経済が動かされ、また、人や物の経済に動かされている部分がある事を忘れてはならない。
経済の実態は物と人にあり。物と人との関係が経済の実相を左右している。
経済の本質は、物と人の過不足を調節する事である。インフレーションにしてもバブルにしても、デフレーションにしても、恐慌にしても、バブルにしても、人と物との不整合が背後にあり、それを増幅させるように「お金」が作用する事で起こるのである。

物や用役の集合、人の集合、「お金」の集合は、個々独立した次元、空間を構成する。

個々独立した人、物、金の集合は、取引によって結びつけられる。
物は、生産から分配、消費へと結び付けられ。
人は、所得、貯蓄、支出へと結び付けられ。
お金は、取引によって費用対効果を測定する。
取引が記録されるによって物の集合と金の集合、人の集合は結び付けられる。そして、取引によって因果関係は明らかにされる。

取引は、基本的には一対一の関係であるが、取引は内訳や働きによって仕分けされる。

取引によって経済効果を計るのが会計制度である。

物や人の集合は有限集合であるのに対して「お金」の集合は、無限集合である。

「お金」は無限集合で上に開いている。故に、上限を何らかの形で制約しないと機能しなくなる。
なぜならば、「お金」の働きの基本は、分配の手段であり、何らかの形で全体が特定されなければならないからである。分売という機能を果たすためには比率が割り出せなければならない。上限が制約されなければ、比率を特定する事が出来ないからである。

実体的世界は有限集合の空間なのに対して貨幣は無限集合の空間なのである。お金は、不足すればいくらでも積み増しすればいい。人や物と結び付けておかないと景気を制御する事はできない。
ポンジーは、詐欺師というけれど、金融という世界は、ポンジー的な要素がある。この点を見落とすと貨幣経済の本質は見えない。

全体と部分が調和してはじめて経済は機能する。

また、物の集合が連続集合とであるのに対して、人と「お金」の集合は、離散集合である。また、人と「お金」は、基本的に自然数で割り算は、余り算となり、残高主義となる。
これは、お金が内側に向かって無限に働くことを防いでいる。

最初から貨幣経済が経済総てを支配していたわけではない。つい最近まで貨幣は補助的手段に過ぎなかった。
今日真様な貨幣経済が確立されるためには、貨幣が市場にある一定程度行渡っる事が前提となる。
それ以前は、貨幣は、物の一種だった。物の価値の延長線上にあった。貨幣が貨幣と純粋に機能するためには、貨幣空間と物的空間が独立し、各々が独立した全体を形成して、重なり合う必要がある。
つまり、「お金」の分布と生産財の分布、人の分布が重なり合う事が貨幣空間、物的空間、人的空間が個々独立する前提となるからである。

人と物の空間は有限であるのに対し、貨幣空間は、無限である。人と物と金が作り出す空間が個々独立して場を形成した時からこの人、物、空間の特性による不具合が生じているのである。

会計情報は、基本的に二次統計である。会計情報に用いられる二次統計の元、要素は、四則の演算によって求められる。

法人企業統計等を構成する要素は、個々の局面の状態を表している。全体を構成する個々の要素の働きは、足し算や掛け算、掛け算によってけいせいされている。特に差額勘定である利益や資本が大事になるが、法人企業統計全体で見ると比率が大切となり、割り算が重要な意味を持ってくる。

個々の主体では、差が重要となる。また、個々の要素の働きや価値は積によって求められる。
しかし、全体としては配分、故に、比率が重要なのである。
その配分を表しているのが三面等価である。取引の総和は0になる。

世の中には何らかの差があってその差が経済を動かしている。その差がどこからきているのか、その差を探るのである。
差を認めなければ世の中の動きは理解できない。
差がどこからきているのかを探るためには、集合と集合を比較する事である。

一体どれくらい生産され、それを何人に配分するか。その配分の手段は何かを明らかにすることがある意味で経済統計に求められている。今日の統計は、先に「お金」ありきで「お金」をいかに活用するかに的が絞られている。だから経済統計を分析したところで経済の実態が見えてこないのである。

物や用役、人は有限であり、生産財をいかに適確に消費者に分配するかが、経済の主問題なのである。

人や物の過不足を補い合う過程で景気は形成される。






ベイズ統計
確率と統計
確率と統計(教育)



参照
「道具としてのベイズ統計」 涌井良幸著 日本実業出版


       

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