76、統計とは(統計を考える)




大数の法則


確率は断言できない事が多い。なぜなら、確率は、不確かな事を前提として成り立っているからである。
なのに、母集団の分布の標本平均は、正規分布に従うなどと断定的に表現する教科書が多く見える。

大体、標本平均というのは、母平均、母標準偏差から成り立っている。正規分布に近似するのは、当然の帰結である。それを何らかの法則が隠されているかのごとく言うと誤解を招く。

確率分布は「大数の法則」を前提として成り立っている。
確率に対して間違った認識を持っている人が多くいる。確率というのは、不確かさ、曖昧さを前提として成り立っているという事である。しかし、数学を演繹的な事、確実な事と捉えている人は、確率のこの不確かさ、曖昧さが受け入れられないのである。
それで確率がわからなくなる。

サイコロを六回振ったらそのうち一回は、六の目が出るという事を確率は示しているわけではない。
数多く。究極的には、無限にサイコロを振ったら六の目が出る回数は総数の六分の一に近づくと仮定しているのである。しかも、これは経験的な事である。

確率というのは、この程度の曖昧さの上に成り立っている。
正規分布も「大数の法則」の上に成り立っている。正規分布ありきなのではない。
あくまでも正規分布に近くなるというだけであり、正規分布になると言っているわけではない。

分布というのは、目的や対象に応じて当て嵌まりやすいものを選択するというのが本旨である。
最初からこれでなければならないと決めつけられているわけではない。
確率というのは、曖昧さの上に成り立っているのである。

また、データの数や状況によって分布の形というのは特定できない場合がある。そのような場合は、正規分布にせよ「大数の法則」に基づいて設定されているといことが大前提となる。

確率自体が必ず起こるという事を想定しているのではなく仮想によるのである。

70%の確率で当たると言っても30%の人間はやっぱり外れるのである。
6分の一の確率と言ってもサイコロを6回振ったら必ず一回は、一の目が出るという訳ではない。

法則と言っても一般に法則というのは仮定の域を出ない。
特に「大数の法則」は、経験則である。
なぜだかわからないけれど、そうなるからそうなるのでしょうという程度の事なのである。
法則は絶対という事はない。それを一番実践している学問が統計学である。



ベイズ統計
確率と統計
確率と統計(教育)



参照
「道具としてのベイズ統計」 涌井良幸著 日本実業出版



       

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