経済の現状

日本経済の現状について

2000年~2013年


2000年代の時代背景



2001年発生した同時多発テロは、時代を象徴した出来事であった。
将に、2000年は、歴史の分岐点と言える。

2000年代は、同時多発テロ、リーマンショックと世界が翻弄された時代である。
同時多発テロによって20世紀は、終焉し、新しい時代が幕開けした。同時多発テロは、次の世紀を暗示する出来事だった。
リーマンショックの影響は、売上高、利益率、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローあらゆる指標から読み取れる。

想像以上にリーマンショックが日本経済や世界経済へ与えた影響は大きい。しかし、リーマンショックが起こった背景や原因には位までに判然としていない。それは、現代の経済体制の致命的欠陥によるからかもしれない。

戦争は、経済によって引き起こされると言える。しかし、それは見方を変えれば戦争は、経済によって抑制する、止める事も可能だという事をも意味する。
現代経済に致命的な欠陥があるとすれば、その解消は、戦争や革命、内乱のような事に依ってしか解決できないのかもしれない。

  


基本的には、総所得は500兆円前後で横ばい状態である。ただ、リーマンショックにおいて落ち込んでしまった。
総所得が全く伸びない、成長が止まってしまったという事が現在経済を象徴している。
それが経済を構成する要素間の相関関係を断ち切り、全くそれまでの論理が通用しなくなってしまっているのである。
成長を前提とした経済の在り方を見直すべき時が来たのである。

総所得の上限が抑えられたという事は、それまでの拡大均衡型の経済から縮小均衡型の経済へと移行したことを意味する。



バブル崩壊後日本は、失われた二十年と言われる長期低迷時代へと突入する。
山高ければ谷深という格言のように、一度高騰した、地価や株は容易に回復しなかった。

有利子負債は高止まりしたまま、地価との乖離は縮むどころかリーマンショックを契機に拡大すらしている。



名目成長率は、リーマンショックによって大きく落ち込んだ。


国民経済計算書   内閣府 単位 一兆円

名目GDPと実質GDPも鰐が口を開けたような状態に陥っている。



名目GDPと実質GDPの格差は、リーマンショックが起きるまでは、拡大傾向があったが、リーマンショック時に縮小した。
ただ、2010年から拡大傾向に戻った。



欠損法人は、90年代に50%から60%後半にまで上した後、70%前後と高い比率を維持していたが、更に、リーマンショックにおいて一段と高いレベルに達した。


国税庁

2000年代というのは、バブル崩壊、9.11テロ、リーマンショックに象徴される。激動の時代と言える。
それまでの相関関係が失われたことによって右肩上がりに象徴されていたロジックが通用しない時代に突入したと言える。


2000年代の出来事


2001年3月19日の政策決定会合で、日本銀行は、量的緩和政策に転換した。
2001年4月26日、小泉内閣が発足し、小泉改革が始動する。

2001年9月11日、アメリカ、ニューヨークで同時多発テロが起こる。

2001年11月10日、WTOに中国が加盟する。

2002年アメリカのITバブル崩壊。

2002年8月9日、国際会計基準が採用され、2006年3月「減損会計」の強制導入が決定された。

2003年3月20日アメリカ、イギリスの連合軍がイラク進攻した。

2003年4月1日日本郵政公社発足。
同4月2日産業再生機構発足。

2004年8月12日、三菱東京FGとUFJHD、経営統合、3大メガバンク体制が確立する。

イラク戦争に端を発し、原油価格が高騰する。

2006年1月23日ライブドアの堀江貴文社長以下幹部逮捕される。
6月には、村上ファンド村上代表がインサイダー取引容疑で逮捕される。

2006年7月2日、全国銀行協会は、銀行が過去最高益を上げ、公的資金をすべて完済した事を公表した。

2007年7月26日、サブプライム問題で世界の株式市場が急落した。

2008年7月11日、アメリカの大手金融機関、インディーマック・バンコープ、サブプライム問題で経営破たんする。

2008年9月15日。アメリカのリーマン・ブラザーズ経営破綻する。

2009年1月、オバマ政権発足。

2009年6月1日、GMが経営破綻する。

2009年9月16日、民主・社民・国民3党の連立、鳩山政権が発足する。

2009年11月25日、ドバイショック。

2010年2月11日ギリシャ財政支援をEUが表明した。

2010年4月。損保業界、3メガ体制が確立する。

2010年9月11日、日本初のペイオフが発動された。

2011年3月11日、東日本大震災。

収益構造



売上が上昇している80年代に総資本回転率が低下しているのは、売上の伸び以上に総資産が拡大していることを意味する。その総資本回転率が、売上が伸び悩んでいる90年代からリーマンショック直前まで落ち着いた動きをしていたのが、リーマンショック時に一回転を割り込んでしまった。
この点は、総資本利益率と売上高利益率にも見て取れ、全般的に総資本と収益が一体となる傾向が見て取れる。

売り上げの上昇と地価の上昇は何らかの相関関係があるように見える。

売上総利益に変化がなければ、売上高の変動に利益は左右される。なぜならば、売上に比例して変動する費用があるからである。
利益は、収益と費用の差であるから、収益が何に対して変動し、費用が何に対して変動するかを比較する必要がある。
収益や費用の中には、外部要因の働きによって変化するものと内部要因の働きに応じて変化するものがある。
また時系列的に変化するものと固定的なものがある。これらの性質を見極めないと利益を維持することはできない。

 
法人企業統計 財務省

売上総利益は、全業種合計は、300兆円から350兆円の間を前後している。

地価は、2005年~2008年にかけて上昇に転じミニバブルの様相を呈していたのが、リーマンショックによってまた下げに転じ2013年時点では、下げ止まっていない。



費用構造


費用は、初期設定によって確定する費用と初期設定以外の外部要因によって変化する費用がある。前者を固定費とし、後者を変動費とする。
ただ固定費と変動費は一意的に定まるものではなく。相対的なものであることを忘れてはならない。

 

減価償却費は、99年から減少に転じ2003年には持ち直したもののリーマンショックの影響によって下落へと転じた。



2000年代を通じてゼロ金利時代は続いた。
支払利息は、2000年代を通じて低下し続けた。
この状態は金融機関の収益構造をじわじわと締め付ける事となる。



借入金利子率は、2000年以降2%で一直線になってしまっている。金利が、経済全体に対して機能していない事を表している。
これは、総所得が横ばい状態であることに対応していると考えられる。つまり、時間の働きが作用していないのである。時間の働きは経済に対して陰だと言える。

時間の働きが陽から陰に転じたという事が21世紀の経済にとって重大な意味がある。



利益構造


注目すべきなのは、営業利益と経常利益が逆転した事である。
2000年以前は、営業利益の方が経常利益を上回っているのが常態であた。それが90年代を通じて営業利益と経常利益が接近し、2000年以降は、経常利益の方が営業利益を上回るようになってきた。それは、支払利息よりも受取利息が上回る事を意味する。これは収益構造の質が変化した事を暗示している。
資金の流れが内向きになった結果だと考えられる。

また、利益、利益率ともにリーマンショックの影響が色濃く表れている。
リーマンショック時、それまで順調に利益を上げてきたのが、一気に下落した。

 

ただ、支払利子の大幅な減少によって利益が維持されてきたと言う点を見逃してはいけない。
反面において金融機関の業務純益が圧迫されてきたのである。金融不安の背景には、支払利子の減少が影響していると考えられる。金融機関は、通常の金融行為ではなく。金融工学のような金融市場内部で資金を転がして利益を上げるよう画策してきた。それがリーマンショックなどを用意したともいえるのである。

利益が真っ当な生産活動によって確保されるのではなく、投機のような金融市場に依存して結果、経済が虚構化していると考えられるのである。実物市場ではなく、名目市場でしか利益を上げられなくなってきているのである。
それは正常な分配の働きを阻害し、見かけ上の利益に依存させる体質に市場を変質させているのである。
見方によっては麻薬中毒患者のような経済だともいえる。

  

相関関係を見ると1990年までの経済とそれ以降の経済は全く異質の経済だといっても過言ではない。
拡大均衡型から縮小均衡型へと急激に変化した事が読み取れる。ただ、1990年代の変化と2000年代の変化は、明らかに違う。1990年代は、まだ、それ以前の流れの延長線上でとらえる事ができるが、2000年以降の動きは、それまでの経済の延長線上ではとらえきれない。相関関係が失われてしまったのである。それは、それまでのロジックが通用しなくなったことを意味する。

  

貸借構造


2000年代に入ると急速に自己資本比率を高めているように見える。
しかし、これは縮小均衡の結果だという事を忘れてはならない。

 

総資産回転率は1回転に近づきリーマンショック後の2009年には、1回転以下になってしまう。
いかに、資産効率が悪くなっているかである。
以後総資産回転率は1回転以下のままである。



固定比率の変化


固定比率は、2000年を境に急速に低下している。



固定比率の低下は、固定資産が増加しているのに対して、固定負債が現状を維持しているからである。それは固定資産と固定負債の散布図を見るとわかる。固定負債は、483兆円をピークにして2013年現在まで1998年の483兆円を超えていない。
つまり、設備投資を外部資金に頼らずに自前の資金で賄っている事を表している。明らかに、資金の流れが変わったのである。
資金の流れが明確に変わったのは、1998年に固定負債がピークを迎えた時だといえる。

  

固定資産と固定負債は、1960年から1992年まで相関関係は強かったが2000年以降急速に失われてしまった。

1960年~1992年
固定負債 固定資産
固定負債 1.00
固定資産 1.00 1.00

1992年~2013年
固定負債 固定資産
固定負債 1.00
固定資産 0.03 1.00

リーマンショック以降負債に占める固定負債の割合は増えている。固定負債は、リーマンショック以後に一段増加した。同様に金融機関からの借入金は、リーマンショック時から一段増加した。
しかし、2000年以降、リーマンショックが起こる直前まで負債は急速に減少している。

 

注目すべき点は、200年以降金融機関からの資金調達が減少していると言う点である。実際、企業は、資金の調達源から内部へと移行している。それは金融機関からの借入金の減少という形でも確認できる。

民間企業は、金融機関から資金を調達しなくなった。というより、地価の下落による担保価値の低下によって資金調達ができなくなったのである。そして、それが、資金の流れを変え、今日のデフレや財政赤字の元凶となっている。
経済は、2000年を境にして拡大均衡型から縮小均衡型へと変質したのである。

2000年代のキャッシュフロー



80年代、90年代、そして、2000年以降のキャッシュフローの変化を見ると顕著に表れているのは、80年代に拡大したキャシュフローが、90年代に収縮し、2000年代は、リーマンショック以前は、若干の改善が見られたが、リーマンショックに一時的に、締まってりその後徐々に持ち直しているという点である。特に、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローで顕著に見られる。

バブル崩壊後は、営業キャッシュフローの範囲内で投資をするようになった事が見てとれる。

キャッシュフローを見ていると60年代、高度成長時代は、営業キャッシュフローに関係なく、投資キャッシュフローが伸びており、それに伴って財務キャッシュフローが上昇してきた。その勢いを80年代は、引き継いできたが、それがバブル崩壊後転落に転じ低迷から抜けきれないでいる。

長期借入金は、バブル期に増加していたのが、バブル崩壊後急速に減退し、90年代中頃から2000年代に掛けてまったく増加せず、かえって減少している上、その間、稼いだ収入を長期借入金の返済に向けてきたという事である。
80年代に順調に上昇してきた売上高も90年代は、横ばいとなり、2000年代上昇しかけた売上もリーマンショックによって冷水を掛けられてしまった。



営業キャッシュフロー


営業キャッシュフローは、21世紀にはいると60兆円前後で横這い、推移している。



営業キャッシュフローを構成するのは、営業利益から支払利息を引いた営業純益、減価償却費、運転資金、支払利息、租税公課である。これらの要素がどのような働きをしたか営業キャッシュフローの経済的効果を知るためには、それを明らかにする必要がある。そのためには、個々の要素の相関関係を調べる必要がある。

特に、売上高と運転資本との関係は営業キャッシュフローの働きを知るうえで重要な鍵を握っている。

60年代、70年代、80年代と強い相関関係があった売上、運転資金、売掛金、買掛金が90年代になると急速に相関関係を失ったが、21世紀に入ると売掛金、買掛金と売上高の相関関係は回復した。

1960~1989
運転資金 売掛金 売上高 買掛金
運転資金 1.00
売掛金 0.97 1.00
売上高 0.99 0.97 1.00
買掛金 0.84 0.95 0.86 1.00

バブルがはじけると運転資金と売掛金、売掛金、買掛金、売上高との相関関係が失われていく。

1990~1999
運転資金 売掛金 売上高 買掛金
運転資金 1.00
売掛金 0.52 1.00
売上高 0.70 0.44 1.00
買掛金 -0.43 0.53 -0.32 1.00

2000~2013
運転資金 売掛金 売上高 買掛金
運転資金 1.00
売掛金 0.31 1.00
売上高 0.31 0.82 1.00
買掛金 0.10 0.97 0.80 1.00

売掛金、買掛金は2000年以降、売上高の変化に関わりなく一定額を保っている。ただ、リーマンショックの際は、売上高の急激な減少に伴って売掛金も買掛金も減少している。

2000~2013


2000年以降相関関係が崩れているように見えても散布図を相関関係を局面局面で相関関係が保たれている要素がある。
問題は、新たな相関関係が何によって築かれつつあるかである。

また、無秩序に見えても何らかの規則性が見え隠れするものもある。



財務キャッシュフロー



財務キャッシュフローは資金の過不足を調整する働きをしている。
財務キャッシュフローは、会計上、表に現れない借入や元本の返済等を明らかにする働きがある。

費用対効果といった資金の短期的な働きを顕わすのが損益であり、営業キャッシュフローならば、投資と返済といった長期の資金の働きを顕わすのが財務キャッシュフローである。

財務キャッシュフローを表す方程式は、財務キャッシュフロー=配当金計増減(資金需給)+社債増減(資金需給)+長期金融機関借入金増減(資金需給)+短期金融機関借入金増減(資金需給)+資本金増減(資金需給)となる。





リーマンショックの影響


リーマンショックは、2008年9月15日アメリカの投資銀行であるリーマンブラザーズが破綻した事に発する金融危機である。
9月12日、12214円だった日経平均株価が10月28日には、6995円まで下落するなど、日本経済も甚大な影響を受ける事になる。



リーマンショック時、売上と総資産は対称的な動きを見せている。売り上げは、大幅に下げているのに、総資産は、増加傾向を見せている。

2005~2011
雇用者報酬 営業余剰・混合所得(2.6) 国内総生産(生産側) 民間最終消費支出(2.1) 物価指数
雇用者報酬 1.00
営業余剰・混合所得(2.6) 0.62 1.00
国内総生産(生産側) 0.91 0.88 1.00
民間最終消費支出(2.1) 0.91 0.84 0.97 1.00
物価指数 0.63 -0.13 0.36 0.32 1.00

  


2005年から2007年まで売り上げは上昇しているのに対して総資産は、2007年に一旦し減少している。それがリーマンショックが起こる正反対の反応を起こす。即ち、売上は、急速に低下するのに対して総資産は、増加するのである。

リーマンショックの際立った特徴は、急速に財務キャッシュフローが減少した事である。法人企業統計の全業種を見てみると、もともと財務キャッシュフローは、1991年、バブル崩壊後、急速に低下し1994年には、正から負の値に転じていた。財務キャッシュフローが負に転じるという事は、投資から返済へと資金の流れが変わった事を意味する。つまり、財務キャッシュフローが減少するという事は返済が滞り、資金の流れが圧縮されたことを意味する。
それを裏付けるように、売上は急速に減少しているのに、総資産や固定負債は逆に上昇している。



リーマンショックの傷跡はいたるところに残されている。特に財務キャッシュフローには明確に傷跡が残されている。
リーマンショックは、立ち直りかけて日本経済に再度立ち直れないほどのダメージをもたらしたのである。

資金の流れを阻害したリーマンショックは、必然的に財務キャッシュフローを直撃した。

財務キャッシュフローは、リーマンショック時に急速に上昇し資金が回っていないことを如実に表している。ただ、2008年以降急速に回復していることが読み取れる。

財務キャッシュフローは、配当金計増減(資金需給)、社債増減(資金需給)、長期金融機関借入金増減(資金需給)、短期金融機関借入金増減(資金需給)、資本金増減(資金需給)の和として求められる。


  


  

リーマンショック時の投資と財務の相関関係を見てみる。
投資キャッシュフローが正の値をとるというのは、過去の投資を換金している事を表している。
また、財務キャッシュフローが負の値をとるのは、借入金を返済している事を意味する。



投資は、固定資産と固定負債に現れる。

リーマンショック時の財務キャッシュフローに対する金融機関固定借入金と実物投資の相関関係を比較してみる。
実物投資は、リーマンショックから横ばい状態になったのに対して金融機関からの固定的借入金は、大きく上昇しその後少し下げている。




投資キャッシュフロー


2000年代に入ると投資キャッシュフローは複雑な動きを見せるようになる。特に、有形固定資産を処分して資金化していることが見て取れる。その反面、投資有価証券が支出に占める割合が増加している。


 

また、リーマンショック時に有形固定資産を処分して流動性を高めていたのが読み取れる。
また、投資有価証券も2008年、2009年と換金していることがわかる。

2001年、2002年と内部留保を取り崩し、2008年、2009年のリーマンショックの際も大きく内部留保が取り崩されたのがわかる。また、2001年~2007年にかけて不良債権を改善してきた痕跡が読み取れるが2008年のリーマンショックの時にも大きな特別損失が生じたのが見て取れる。

 

資金の流れ



市場取引には、必ず反対方向に働く事象がある。
貨幣経済には、常に「お金」の流れと反対方向の流れがある。故に、「お金」の流れと反対方向に働く仕事を理解すれば、「お金」の働きは明らかになる。
2000年以降資金調達の流れが外部調達から内部調達へと変化した。
国が借金をしたとしても「お金」は循環しない。なぜならば、公共事業は所得に還元される部分が小さいからである。

資金循環表に依れば、2010年には、家計は、住宅ローンなどの借入金を-5兆円、即ち、5兆円、民間企業は、-8兆円、即ち、八兆円返済している。それに対して、一般政府だけが50兆円を調達している。資産の調達先が国債に偏っているのが見て取れる。

下記のグラフで青が資金の内部調達で橙が外部調達を表している。

外部資金は、マイナスにまで落ち込んでいる。基本的に外部から資金を調達して投資をするという事が抑制されていることがわかる。
金融機関は、貸し出しが急速に減少した事がわかる。この頃から金融機関の預貸率の悪化が顕著になってくる。




2000年を境にして資金の調達手段は、外部的手段から内部的手段へと完全に移行している。




重大なのは、2000年を境にしてピタリと外部調達、つまりは、金融機関からの借り入れが止まって資金を企業内部から調達する流れに変わったのである。そのように仕掛けたのは金融機関であり、行政である。その結果、金融機関は、支払利息による収益が断たれ、政府は、巨額の財政赤字を抱え込むことになったのである。4
結果的に金融機関も行政も自分で自分ま首を絞めてしまった。



バブル崩壊後キャッシュフローを重視した経営が推奨されてきたことも影響していると思われる。



家計消費支出


消費は景気のバロメーターである。

家計の金銭的基礎を構成するのは、収入と支出、そして、借金と蓄え(預金)である。
家計の人的基盤を構成するのは家族である。家族には、独身、夫婦、親子などによって組み立てられる。
家族は、生活の場を形成する。生活とは、生きるための活動である。経済は生きるための活動であるから、家計は、本来経済の中核となる要素である。

1970年から1990年までは直線的、右か上がりの散布図、相関関係が1997年から雇用者報酬は、288兆円前後を上下しているのに対し、民間最終消費支出は、1997年の288兆円から2009年の279兆円から252兆円と27兆円近く下落している。
所得が横ばい状態になり支出を抑制しているのが見て取れる。
拡大均衡型経済から縮小均衡型経済へと移行した事がこの点からも読み取れる。


  

2000年代に入ると消費はすっかり冷え込んでしまう。
100円ショップやユニクロなどの安売り業者が台頭したのも2000年代の特徴である。




注意しなければならないのは、右肩下がりの傾向だったエンゲル係数が2005年あたりから徐々に上昇し始めている事である。
エンゲル係数は、豊かさ、あるいは、貧しさを計る指標だとされている。
そのエンゲル係数が2005年を境に徐々に上使用し始めているという事は、ある意味で、日本の豊かさを支えてきた活力が盛りを過ぎたともいえる。
戦後の繁栄に陰りが見えてきたとも考えられる。
そして、25013年頃からエンゲル係数の上昇に加速がついてきたのは、食料品の値上げによるとみられている。

ただ、エンゲル係数が上昇傾向になったのは、高齢者の増加と女性の社会進出などの要因が重なった事が考えられる。要するに、社会構造、別けても、人口構成の変化が影を落としている。

経済の上っ面だけにとらわれることなく、その底辺にある経済や社会構造の変化を見落としてはならない。

  
総務省

消費支出も、93年に頂点の33万5千円に達した後、下降し続けている。バブルがはじけたのが1991年とされるから2年程度の遅れが認められる。

テレビを見ているとグルメ番組のない日はない。何かというと、どこそこの美味しい店はという話題になる。
飽食の時代と言われ、グルメ番組を作れば視聴率が稼げるという安直な考え方も問題だが、豊かさに対する考え方の変化も気になるところである。グルメ番組がはやる一方で食の安全とか、マグロやウナギの絶滅、魚の乱獲によって漁獲量の減少や温暖化等の問題は蔑ろにされている。将来、子供たちの食卓に上がらなくなる魚があるのではと懸念もされている。自分達さえよければいいというのは、心が貧しくなっている証拠である。本当の豊かさとは何なのだろうか。
日本人は、本当に豊かになったのであろうか。


ミレニアム



時々、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまって大事故を起こす事がある。
車は、運転や操作を誤れば凶器となる。
経済の仕組みは、人工的な事である。天然自然になる事とは違う。

経済は、人が作り出した仕組みである。
人間が制作した仕組みは、人の意志で制御できなければ役に立たない。
アクセルを踏めば加速し、ブレーキを踏めば減速し、停止するようにできている。運転の巧拙は、車の基本的仕組みの上で成り立っている。車の仕組みが自分の思い通りに制御できなければ、運転が上手いか下手かを問題にすること自体無意味である。
なるようになる仕組みでなければ、人は自在に市場を操作することはできないのである。
ブレーキはブレーキとして作用し、アクセルはアクセルとして働かないと車を自在に操縦することはできないのである。
ブレーキを踏んだ時に減速されたり、逆に加速されたのでは危なくてしょうがない。
ところが現在の市場の仕組みは人の思い通りには動かないのである。

現代経済の状態には深刻な問題が隠されている事が明らかになってきた。
しかし、一番の問題は、自分達が行ってきた政策の過ちを認めようとしない事である。
過去の政策を見直し、誤った点があれば速やかに修正する。それこそが問題を解決するための早道であり、常道である。
逆に、自分たちの政策を絶対視し、何かの原理のように崇めてしまったら、どの様に正しい政策でもいつかは破綻してしまう。
頑なこそ最も解決を阻む要因なのである。

現代の経済の状況は、人的に作られたことは明らかである。
まず第一に判断しなければならない事は、今の状態を認めるか認めないかである。
今の状態が悪いとしたならば、次に、今の状態のどこが悪くて、どの様に改善したいかである。

今の状態を修正するためには、いつ、どのような間違いを犯したかを正確に検証することが求められる。
いつ、何に対し、どの様な政策をとられたか。そして、その結果としてどのような状態になったかを先ず検証することから始めるべきなのである。

ところが、誰一人として過去の政策を検証しようとしない。検証しないどころか過ちを認めようとせず、競争は原理だなんて言って頑なに自説に拘泥している。いつまでも自説に拘泥して政策の過ちを正しことをしようとしないのは、犯罪行為である。最初は過失でも、結果が出て、検証することが可能なのにそれを怠る事は罪である。

一体全体、2000年に何が起こったのか。どの様な政策が、何に対象に、どの様な目的でとられたのか。
そこに、「失われた二十年」という空白の謎を解く鍵が隠されている。
地価は、1991年に最高値を付けると急速に下落するのに対して有利子負債がピークを迎えるのは、4年後の1995年である。
しかし、そこから急速に低下し、地価が落ち着いた後も2005年まで下落し続け、2005年~2007年まで横這いした後、リーマンショック時急速に増加し、その後また下落している。

  


バブルが崩壊すると地価と企業の有利子負債は螺旋的に降下し、最期は巨大な圧力で底に押し付けられ無残に潰されているようにすら見える。
これが今日の経済の実態である。

バブル崩壊は何によって起こされたか。



バブル崩壊時に何が起こったのかを検証をしてみる。

バブルは、資産価値の高騰、即ち、株価や地価の高騰によって引き起こされたと一般には考えられている。
当時、資産価値の高騰を招いた原因としてバブル崩壊時の前提であるが、第一に、オイルショックに始まる高度成長の終焉、そして、第二に、円高不況による業績の低迷が考えられていた。更に、資産価値が高騰すると相続税対策が資産価値の高騰に拍車をかけたと考えられていた。

これらの原因に対処するために、地価対策として総量規制といった窓口規制と金融引き締め策が掛けられた。
この時、農林系金融機関とノンバンクに対する規制に抜け穴があったために、後々の起こる住専問題などの伏線になる。

また、円高対策の一環として規制緩和がとられた。規制緩和の波は、金融機関も含めあらゆる分野に及び今日でもその傾向は続いている。曰く、規制緩和は万能薬だという考え方である。しかし、規制緩和は、収益の抑制策である事を忘れてはならない。薬には必ず副作用が伴うのと、薬は、意味もなく、目的もなく用いるものではない。とりあえず、鎮痛剤か解熱剤を飲ませとけといった発想は危険である。

更に、金融機関にはBIS規制が課せられた。

バブルが崩壊し、デフレが定着した後は、金融緩和策がとられ、ゼロ金利、マイナス金利策がとられるようになった。

バブル崩壊後の経済の障害は、所得が抑えられている事にある。その原因は、強力な所得の抑制策がとられ続けている事による。所得を増加させるためには、収益を拡大する必要がある。しかし、現在採用されている政策は、収益を抑制する為の政策である。だから、景気の本格的な回復は望めない。

経済的価値は、価格と所得との相対的関係によって定められる。価格は絶対的価値ではなく、相対的価値である。
そして、所得は、単に総量や平均だけで判断できる事ではなく。分散や偏り、密度も考慮しなければ、実体は把握できない。

また、平均というのは、偏差の総和をゼロにする点であることを忘れてはならない。

ただ安ければいいというのは短絡的な考えである。経済的価値を考えるうえで大切なのは均衡なのである。
なぜならば経済の根本は分配にあるからである。故に、貨幣価値は、交換価値であり、相対的価値なのである。

バブル崩壊だけでなく、バブル崩壊後の政策によって拡大均衡型から縮小均衡型へと根本が変わった。

何が一番の原因なのか。
それは、民間企業が資金を金融機関から調達しない、というより、できなくなったことである。それは市場から借り手がいなくなったことを意味する。
そして、市場から借り手がいなくなったことは、金融機関自体の首をも絞めているのである。
借り手がいなくなった市場では、国家に代表される公共機関が民間企業に替わって借り手となったのである。そのために、財政赤字は拡大を続けている。

バブルで供給された資金は、負債として市場に累積される。貸倒処理をしなければ回収不能な債務として金融市場に滞留するのである。

次に来る世界




要するに、今日の経済のカギを握っているのは、借金なのである。
いかにうまく借金を活用するか。借金を上手に活用した者だけが成功者になり、借金の使い方を間違ったものは、「金の奴隷」になる。

家計や企業は、資金を借りてきて活用することを基本としている。一定額の負債を常に蓄えている事で、企業は、資金を循環させる役割を担っている。企業が借り入れをしなくなりと市場に流通する資金は抑制され、場合によっては減少する。

我々は、長い間借金をする事は悪い事だと教わってきた。しかし現代社会は、借金がなければ成り立たない。大体、お金自体がもとはと言えば借用書なのである。

だから「お金」にも負のイメージが付きまとう。しかし、別に「お金」が悪いわけでも借金が悪いわけでもない。悪いのは「お金」の使い方を間違っている、あるいは、借金の仕方を間違っている人間なのである。

資本主義社会では、「お金」がなければ始まらない。だから、資本主義社会で生きる者は、「お金」を何らかの形で調達することを考えなければならない。「お金」を手っ取り早く手に入れようとしたら、「お金」を借りるのが最も安直な手段である。そして、これが鍵なのである。

「お金」の調達方法は、稼ぐか、借りるか、貰うである。そして、調達した「金」を使う事によって資金は市場に供給されるのである。稼いだり、貰ったりしても市場全体の「お金」の量は増えない。「お金」の量を増やすのは、貸し借りをすることである。

問題は、良し悪しというより均衡なのである。

経済は、究極的には、会計的論理、アルゴリズムの問題である。
会計には、論理的手続きがあり、手続きを逸脱することは許されないのである。



  


       

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