要件定義



なぜ、今、要件定義なのか。


経済の要件定義とは、国民が経済に対して何を望み、それを実現する為には、どの様な経済の仕組みを構築するかを定義する事である。経済の仕組みを一つのシステムとして認識する事がその前提となる。

今、なぜ、経済の要件定義をする必要があるのか。
それは、経済の仕組みは、人工的な装置、システムだからである。
経済を人工的な装置、システムだという考え方は、なぜか今までされてこなかった。経済を自然科学と同質なものとして扱ってきた。その為に、数学も経済学もひたすら観察して法則を探す事ばかりに精力を費やし、その背後に隠された構造や仕組みに目を向けようとすらしなかった。その証拠に、経済の世界で会計に地位が異様に低い。
経済と言っても現実に経済を動かしているのは、経済の仕組みである。
故に、経済の要件定義と言っても経済の仕組みの要件定義と言える。

要件定義を成立させるためには、要件定義の目的、前提、初期条件、最終的成果を予め明確にしておく必要がある。なぜならば、目的、前提、初期条件、最終的成果によって要件定義の構成や内容が変わる、即ち、制約されるからである。

経済は、数学である。経済は、数学と伴に発達してきたし、数学は、経済と伴に発達してきた。それなのにいつの間にか数学は、自然科学の占有され、経済と数学は切り離されてきた。

自然科学の数学が量的なもので測る事を基軸として発達したのに対して、経済数学は、数的なもので数える事を基軸にして成立している。

経済の本質は数える事である。経済的価値を確定して、数える事が経済の本旨である。そして数の働きそのものが経済を動かしている。それ故に、経済の仕組みは、数学的体系そのものだと言える。さらに言えば、経済は合目的的な仕組みであり、経済を動かしているのが数値だとすれば、経済数学そのものが合目的的体系だというるのである。

経済の本質は数学であり、それ故に、客観的で論理的である。故に、簡潔で明瞭である。経済をわかりにくくしているのは人間の思惑であり、都合である。経済が複雑なのでも、難しいわけでもない。

だから、経済の仕組みは、要件定義に基づく必要があるのである。
貨幣価値は数の体系である。

経済の目的・役割


先ず経済とは何かを定義する。

経済とは、生きる為の活動を言う。経済とは、生活である。経済は、生きる為に必要なすべての活動を言う。
国民経済は、全ての国民が生きる為に必要な活動を言う。
故に、国民経済の仕組みは、国民が生きる為に必要な財を生産し、満遍なく分配する為の仕組みである。

この事を前提として経済の仕組みの要件定義の以下の手順で要点を明らかにする。
要件定義には、第一に、目的を明確にする。
第二に、要件定義の為の前提条件、初期設定を設定する。
第三に、経済を構成する要素を定義する。
第四に、最小単位と働きを定義する。
第五に、最小単位な依って形成される経済の構成要素・部門を定義する。
第六に、経済の基本的な流れと経済の流れが生み出す空間を定義する。
第七に、経済の仕組みの構成を明らかにする。
第八に、最終成果物、指標を設定する。

まず、何を目的として要件定義をしようとしているのかを明らかにする必要がある。
ここで私が行おうとしているのは、現在の経済の仕組みを明らかにし、現在経済がどの様な状況にあり、どの様な問題があって、それを解決する為には、どの様な手段があるのか。そして、解決できない場合は、どの様な状態が想定され、それを回避する事が出来るか。回避できないとしたらどの様にリスク(不確実性)を制御するのかを明らかにする事である。

目的を明確にするためには、経済とは何か。経済の仕組みに対して何が期待されているのかを明らかにする必要がある。それを前々章で「経済とは何なにか」、前章の「経済に望まれている事」によって明らかにした。

経済の役割は、生きていくために必要な資源、財を生産し、必要としている人に遍く分配し、人々の生活や人生を実現する事である。

経済の目的は、人を生かす事であり、自己実現にある。

経済とは生きる為の活動である。
故に、経済とは、人を生かすための仕組みである。人を生かすための仕組みは、使い方を間違えば人を殺す仕組みに変質する。
人を生かすための仕組みの目的とは、国民が生きていくために必要な財を生産し、あるいは、調達して国民に遍く配分する為の仕組みである。
経済の仕組みの目標は、必要な資源を必要とする人に必要なだけ、提供する事である。


経済の前提条件・設定


経済体制と言うのは、歴史的産物である。必ずしも、明確な理論に基づいた仮定、設計図の上に建てられた体制ではない。むしろ、経験やその時々の状況に合わせて構築されたものである。
なぜならば、経済は、継続性が求められるものだからである。過去の体制や経験、技術、知識を全く断絶したら経済は即成り立たなくなる。日々の生活は継続した事だからである。革命中も、戦争中も、大災害の後も人々の生活を中断する事はできない。故に、何らかの形で経済行為は継続せざるを得ないのである。
経済を語る時、歴史的事実、背景を無視する事はできない。むしろ、それは大前提となる。ただ、歴史は、論理的に形成されるものではない。故に、その結果である経済体制は、論理的な整合性を欠いている場合や部分が多い。

歴史的事実を前提としなければ成り立たない。しかし、だからといって歴史的事実を全て検証したとしても経済のアルゴリズムが解明できるわけではない。なぜならば、歴史的事実だけでは普遍性が乏しいからである。歴史的事実を整理し、その背後にある法則性を解明して初めて経済体制の仕組みを解き明かす事が出来るのである。

それは、自然科学は、自然現象の背後にある法則を帰納法的に見出し、演繹的に工学技術に転用する事で発達してきたのである。自然法則を見出した事で自然の力を人工的に活用する事が可能となったように、経済体制も経済現象の背後にある法則を明らかにしてはじめて人間の石で制御する事が可能となるのである。
その兆しは、システムにある。

要件定義に入る前に確認しておく事は、我々が分析の対象とするのは、現在の経済現象であり、その前提となる現在の経済体制だという点である。

現在の経済体制は、第一に、貨幣制度を下敷きにしている。第二に、市場経済を前提としている。第三に、資本主義を基礎として成り立っている。
要するに、自由主義経済だという事である。

自由主義体制は、働きに応じて報奨(収入)を得て、必要に応じて財を市場から購入し、手に入れる。その為に、貨幣経済と市場経済は必須の前提となる。

自由主義体制を成り立たせる要件は、第一に、私的所有権を認めている。第二に、法治主義だという点である。第三に、市場経済だという点である。第四に、期間損益主義を根本としている。第五に貨幣制度に基づいている。これらの要件を前提とする事で自由主義体制は成り立っている。

貨幣制度も、市場制度も、資本主義も、自由主義も、歴史的事実を前提として成り立っている。この事を所与の事として、私は、論理を組み立てていく事とする。
故に、歴史的事実とは何を指すのか。それは、特に、貨幣制度が成り立つための前提が重要となる。現在の貨幣制度は、歴史的な産物とする。

現代の貨幣制度は、不換紙幣を主とし、一部を硬貨によって成り立っている事を前提とする。そして、為替制度は、変動為替制度とする。ただ、現在の貨幣制度のアルゴリズムを明らかにする為には、不換紙幣制度が成立する為の前提が重要となる。それが歴史的な前提となる。不換紙幣が成り立つためには、先ず、紙幣の生成過程が重要な働きをしている。次に、兌換紙幣から不換紙幣への転換が歴史的前提として機能している必要がある。故に、これらの歴史過程を前提として論理を展開する事とする。

経済の本質は数学である。数は、経済的要因で成立し、発達した。
経済は、純粋に数学的であり、論理的、客観的である。故に、統計を解析すれば経済の動きは明白になる。
経済の客観性を奪うのは人間の恣意であり、都合である。

経済は、人為的な存在であり、観念的なものである。
経済体制は、所与の存在ではなく、任意な事である。故に、経済現象は、人工的な現象である。
経済は、暗黙の合意と契約、信用の上に成り立っている。
経済は自然に成るものではなく、人の意志に基づいて形成された事である。
人間の意志に基づくものであるから経済には目的が存在する。
そして、目的に基づいた合意が経済の前提となる。

経済は、人と人との関係の上に成り立っている。
人と人との関係は、集団を形成する。故に、経済は、何らかの集団を前提としている。
人と人とが集団で生活する為には、掟、即ち、何らかの法がなければならない。
法は、合意と契約の上に成り立っている。
つまり、経済は一人では成り立たないのである。

これが大前提である。
故に、経済について語る場合は、どの様な合意、設定に基づいた経済体制を前提としているかを明確にする必要がある。

先ず、これから想定する経済体制は、自由経済を前提としている。

自由経済は、市場経済を前提としている。
貨幣経済を前提としている。
資本主義体制を前提としている。

市場経済、貨幣経済、資本主義体制は、形式である。

貨幣経済は、貨幣制度を前提としている。
貨幣、即ち、「お金」は、名目的価値を形成する。
「お金」は、数値情報であり、情報は働きである。貨幣価値そのものに実体はない。
貨幣価値は、交換価値である。貨幣に交換と言う働き以外の使用価値はない。



経済に求められる要件(要件定義)


経済に求められる要件、あるいは、経済の仕組みに求められる要件をなぜ明らかにする必要があるのか。
それは、経済の仕組みに求められる要件を明らかにするという事は、経済の働きや役割を具現化するからである。
経済とは何かを観念的に、抽象的にいくら議論しても現実の生活は何も変わらないのである。経済に対する具体的な政策や行動に結び付かない限り、何の意味もない。
経済を実際的に変えるためには、経済は具体的、何を求められ、どの様な仕組みで動いているかを明らかにする必要がある。
だからこそ要件定義が求められる。逆に要件定義とはどのような事を要求されているかも明らかにすることができる。根本は、経済の要件定義は、経済の仕組みは、一体どのような目的で、どの様にして、何によって、何を実現しようとしているかを明確に定義する事である。

なぜ、経済の要件定義をする必要があるのか。それは、経済の要件定義によって何を知りたいのかに関わる。
市場が拡大均衡しているのか、縮小均衡なのか。成長期なのか、成熟期なのか。市場は、どの様な状態にあるのか。どの成長段階にあるのかによってとるべき政策が違ってくるからである。
フローとストックの関係を知る事で、どれくらいが借入金の限度かを知りたいからである。資金の流れる方向、内部資金調達か、外部資金調達かによって表に現れる投資活動の意味が違ってくるからである。金利の上昇がどの部分にどの様な影響があるかを見極める事で、金利の働きを知りたいかである。
何を知りたいかを理解しなければ要件定義の意味は理解できないし、要件定義のしようもない。

国民は、経済に何を求め、どうしてほしいのか。特に現在の経済は、「お金」を中心にして動いている。だからこそ、「お金」によって経済は、どの様な影響を受けているのかが問題なのである。

経済に求められるのは、第一に、国民生活に必要な資源を調達する事である。
第二に、国民生活に必要とする財を生産する事である。
第三に、財の生産に必要な生産手段を構築する水戸である。
第四に、必要とする人(処)、に必要とする財を必要とする時に、必要なだけ配分する事である。

現在の経済体制は、上記の経済の目的を実現する手段として「お金」が用いられている。
経済の仕組みは、「お金」によって動いている。
「お金」は、分配の手段であり、分配は、働きに応じて「お金」を配分し、必要なものを市場から購入する。即ち、「お金」の配分、財の購入と言う二段階で行われる。つまり、「お金」の配分と物の配分が二段階で行われるのである。分配が二段階で行われることによって経済は、二重構造を形成する。
経済の仕組みをわかりにくくしているのは、経済の二重構造である。
二重構造と言うのは、人と物といった実物が作る出す実物構造と「お金」が作りだす名目的構造が重なり合った構造である。

この二重構造の働きを解き明かすためには、人と物、そして、「お金」の役割を理解しておく必要がある。
財を分配する為には、事前に所得を配分しておく必要がある。
その為には、所得の配分手段を準備しておく。
働きに応じて収入を得て、必要に応じて支出をする。この収入と支出の関係、経済の働きや運動を作り出している。

また、、経済は、生産、分配、消費、貯蓄と言うサイクルがある。
そして、生産、分配、消費、貯蓄は、各々別の仕組みで動いている。生産には生産の仕組み、分配には分配の仕組み、消費には、消費の仕組み、貯蓄には貯蓄の仕組みがある。つまり、生産、分配、消費、貯蓄は個々独立したアルゴリズムがある事を明確にしておく必要がある。

景気の変動を安定させるために、物価の変動を一定の幅の範囲内に抑える事が求められる。

我が国は、国民の生活に必要とする資源を全て自給自足できるわけではない。特に、国家の存亡にかかわるエネルギーと食料を自給できない。故に、交易によって必要な資源を調達できるようにするのが絶対的使命である。
また、海外から必要な資源を獲得する為に、資源を購入する為の資金を海外交易によって稼ぎ出す必要がある。

全体の要件定義


経済の実体的目的は、物の分配にある。よく言われるのは、「お金」は食べられない。「お金」ができるのは、食べ物を買う事だけである。現実に、料理をするのは人であり、食べるのは野菜や魚、肉である。最終的に必要とされるのは、「お金」ではなく食べ物である。これが大前提である。
先ず実体的な経済に求められるのは以下の事要件ある。
経済の仕組みで第一に求められるのは、国民生活に必要とされる物の総てを調達、生産する事である。
経済の仕組みで第二に求められるのは、必要な財を必要としている時に、必要なだけ供給する事である。
経済の仕組みで第三に求められるのは、需要と供給を調整させることを通じて生産と消費を均衡させる事である。

経済の仕組みを動かしているのは「お金」である。
経済の仕組みを正常に機能させるためには、「お金」を供給し循環される仕組みを構築するのが必須となる。
経済の名目的な仕組み、「お金」の仕組みはに求められるのは以下の要件である。
第一に、「お金」を全ての消費単位に満遍なく生活する為に必要な資金を配分する。
第二に、「お金」を常に、「お金」を補給し続ける。
第三に、「お金」を循環させる。
第四に、「お金」は、経済的働きに応じて配分し、必要に応じて市場から購入する。
第五に、経常的な収入の範囲内で経常的な支出は収まるようにする。
第六に、経常的な収入に収まらない支出は、貯金を取り崩すか、借金によって賄う。
第七に、借金の返済は、経常的な収入によって支払う。

経済の仕組みは、物価、金利、所得の関係を安定されることが求められる。
経済の仕組みは、収入と支出を均衡させることが求められる。
経済は、生産、分配、消費、貯蓄の局面があり、経済の仕組みには、生産、分配、消費、貯蓄を均衡させる事が求められる。

以上の要件を満たすように経済の仕組みの骨格は作られなければならない。

経済は、市場と主体から作られている。

生産の要件定義。
生産の目的は、消費者が必要としている財を必要なだけ生産することである。

分配の要件定義。
分配の目的は、最終的には、必要としている人に必要なだけ財を配分する事である。少なくとも生きていくうえで必要最小限の財は、配分しなければならない。
その為に、事前に「お金」を配分しておく必要がある。

消費の要件定義。
消費の目的は、生活にある。最終的には、自己実現が可能な所得を確保しておかなければならない。人は、「お金」のために生きているわけではなく。生きる為に「お金」が必要なのである。

経済の構成

経済は、集団で生きる為の活動である。
故に、経済を成り立たせる最低限の要素は人と物である。

経済の根本を明らかにするためには、国家国民を定義する必要がある。
定義は概念的なものではなく実体的な事でなければならない。即ち、何らかの手続きや物と言った実体に基づいた定義でなければならない。これは法による定義と同質な事である。
ここでいう国民とは、憲法の定めに基づく法の手続きに従って日本国籍を有するものである。

貨幣経済を前提とした場合、生きる為に必要な資源は、市場から「お金」によって購入する事が前提となる。
故に、貨幣経済を構成するのは、人、物、「お金」である。

自由経済の仕組みは、人、物、「お金」の三つの要素からなる。
人、物、「お金」は、それぞれ独立した空間、場を構成する。
人と経済の仕組みの関係は、労働と消費にある。家計部門の核となり、家計は、消費主体である。家計部門の投資は、消費を前提とした住宅投資である。
物と経済の仕組みの関係は、物を生産し、仕事を作る。不足する資源を海外から調達する。その為に余剰な財を海外に売って外貨を調達する。民間企業が核となり、民間企業は、生産主体である。企業の投資は、生産手段に対する設備投資である。

経済的空間は、垂直方向の働きと水平方向の働き、そして、部門間の働き、時間の働きの四つの軸によって形成される。
垂直方向の働きと水平方向の働き、そして、部門間の働き、時間の働きを均衡させようとする力によって経済の仕組みは動いている。

これらの働きが生じるのは、「お金」の性格に依る。経済の仕組みを動かしている力は、「お金」の働きである。「お金」の働きは、「お金」の流れによって発揮される。「お金」の流れは、「お金」の過不足から生じる。
「お金」は、使用する即ち、支出によって効力を発揮する。「お金」を支出すると支出しただけ所持金が減少する。支出する一方では、「お金」は、必要量を割り込む。つまり、不足するのである。故に、「お金」の過不足が生じると「お金」は、「お金」の過不足を補う方向に流れる。

経済主体は、入出金によって動いている。

経済主体間の資金の過不足を補うのが金融であり、主として貸借取引・資本取引による。貸借取引・資本取引は、損益取引と切り離して計上される。
貸借・資本取引は、支払いを準備し、損益取引は、売買によって「お金」の効用を発揮する。部門間の資金の過不足は、貸借・資本取引の残高となってストックを構成する。
単位期間における「お金」の効用がフローを形成する。故、フローを構成する要素と基礎となるストックの要素との関係が経済の動く方向を定めるのである。フローとストックの関係が垂直方向の働きの元となる。
フローやストックを構成する要素間の関係が水平方向の働きを生み出す。
また、「お金」の過不足は、部門間の歪を派生する。部門間の歪を均衡させようとする力が部門間の働きを形成する。
「お金」を動かす力の源は、差である。特にに転換の時間差は時間価値を生み出す。時間価値の代表的なのが金利と利益、物価などである。この時間価値が時間の働きを生む。
ゼロ金利は、時間価値が働かなくしてしまう。物価も必然的にデフレーションになる。金利が先か、物価が先かではなく。市場に働く力の方向の問題である。
これらの四つの働きを計測するば、経済を制御する事が可能となる。

いくらストックを増やしてもストックとフローが連動していなければ、経済の仕組みは破綻しない。しかし、ストックとフローは表裏の関係にあり、ストックの規模や構成によってフローの規模や働きは、制約を受けるのである。

経済は、経済活動を実現する経済主体と経済活動を成り立たせている場によって構成される。
経済の最小単位は、個人である。個人は、集合して組織と市場を形成する。
組織は、経済主体を形成し、場は市場を形成する。

貨幣経済では、現金の出入り、即ち、収支によって経済の仕組みは動いている。
経済は、生産、分配、消費の段階を経て実現する。
収入は不確実で不安定である。それに対して支出は、確実で、固定的である。
経済主体は、不安定な収支を収益と費用の関係に還元し、安定した個人所得に整流する。

経済の働きは、前提条件や環境によって変化する。同じ働き、例えば、為替の変動や物価の上昇も前提条件によって働きが変化する。故に、前提条件の変化と前提条件の変化によってどの部分にどの様な働きの変化があるのかをあらかじめ想定しておく必要がある。特に注意すべきなのは段階的変化である。

経済は、時間の経過に伴う段階がある。その段階によって生産、分配、消費、貯蓄の過程・局面が形成される。
それ故に、アルゴリズムが重要となるのである。

経済の単位


経済を構成する最小単位は個人である。
個人は、生産、分配、消費、貯蓄において各々違う役割をする。
即ち、生産の局面では、生産者。分配の局面では所得者。消費の局面では、消費者。貯蓄の局面では、投資家、あるいは、貯蓄家の役割をする。

個人は、生産局面においては、生産に対して生産手段の労働を提供する。
個人は、分配の局面としては所得者として所得を受け取る。
個人は、消費の局面において消費者として消費を主導する。
個人は、貯蓄の局面では、貯蓄者としてストックを形成し、投資者として資金不足主体に資金を提供する。
個人は、納税者として財政の基礎を構築する。

個人は、所得と支出によって資金の流れを作る。

個人の働きが局面や場によって固有の働きをしている事で、個人の働きがあらゆる局面に及び、それによって経済の統制がとられているのである。

個人の力によって経済は、統合され、制御される。個人の力の均衡が破れると経済は、統制を失って統御不能な状態に陥る。

経済の最小単位は、個人である。個人は、集合して組織と市場を形成する。
組織は、経済主体を形成し、場は市場を形成する。

個人は、集合して個々の局面の単位を形成する。生産の局面では生産単位。分配の局面では分配単位。消費の局面では消費単位である。

また、個々の単位は、働きに応じて部門を形成する。

経済の基礎単位は、消費単位である。なぜならば、消費は、生きる為の基礎的な活動だからである。故に、消費の場は、生活の場であり、消費単位は、経済の基礎単位なのである。



経済の構成要素、部門


外部取引は、常に一対の要素によって成り立っている。売り手には、買い手があり、貸し手には借り手がいる。贈り手がいれば受け手がいる。逆も同じである。買い手がいれば売り手、借り手がいれば貸してがいて、受け手がいれば贈り手がいる。即ち、外部取引は、常に相手がいて成り立っている。

経済の仕組みは全体と部分から成る。

個人や経済主体は、集合して部門を形成する。部門は、集合して全体を構成する。市場全体は、家計、非金融法人企業、財政、対家計非営利団体、金融、海外部門の六つ部門によって構成されている。

経済の仕組みは、家計、非金融法人企業、財政、対家計非営利団体、金融、海外部門の六つ部門から構成される。対家計営利団体は、その性格や規模から財政の一部としてみなしてもいい。故に、一般の考察においては、家計、非金融企業法人、財政、金融、海外部門の五つとする場合が多い。経済には、生産、分配、消費の三つの場がある。三つの場は、独立していて固有の原則が働いている。そして、この三つの場を結び付けているのが、人、物、「お金」の働きである。

経済の最小単位は個人であり。個人は、集合して経済主体を構成し、経済主体は集まって、部門を形成する。経済の仕組み、「お金」によって動かされ。資金の過不足を補うように「お金」は流れる。経済取引は、経済主体間で行われ、資金の過不足は部門に蓄積される。

市場には、部門間の資金の歪みを均衡させようとする力が常に働いている。市場に働いている力の方向と強さが経済動向を定める。故に、部門間の歪の原因と歪みが経済のどの部分にどの様な負荷をかけているかを明らかにする必要がある。市場に働く力は、「お金」の流れる方向と力の強さによる。「お金」の流れる方向と量を計測する事が求められる。

経済を成り立たせている空間



経済的空間は、垂直方向の働きと水平方向の働き、そして、部門間の働き、時間の働きの四つの軸によって形成される。
垂直方向の働きと水平方向の働き、そして、部門間の働き、時間の働きを均衡させようとする力によって経済の仕組みは動いている。

現在の経済の仕組みを構成しているのは、市場と組織である。
生産や消費と言った経済活動を実現するのは経済主体である。
経済主体は、集合して組織と市場を構成する。
経済主体が経済活動を実体化するのは組織である。
経済主体は、生産、分配、消費、貯蓄(投資)を実現する主体である。
経済主体の経済的活動の成果を交換する事で、社会分業は成立する。
現在の経済は、分業によって成り立っている。

また、経済主体も分業をする事によって成り立っている。
分業を成り立たせる要件は、交換である。取引とは交換を意味する。
市場は、交換をする場である。
市場経済は、生産、分配、消費、貯蓄の局面で独立した空間、場を形成する。
その場が市場である。市場は取引の場である。

市場経済は、取引に依って成り立っている。
取引をする主体を経済主体と言う。

市場は、取引の場である。
経済主体には外部と内部がある。経済主体の行う取引には、内部取引と外部取引があり、内部取引は組織的取引であり、外部との引きは市場取引である。

取引には、外部取引と内部取引がある。
外部取引は、等交換を前提としている。それ故に、外部取引の総和は個々の取引も市場全体の取引も常にゼロに設定されている。
利益は、内部取引から生じる。利益は、差額勘定である。


経済の仕組みの構造


「お金」と経済の仕組みの関係は、「お金」は、人と物、生産と消費の間を仲介する事で、財を分配する。金融は、金融部門の核となり、金融部門は、市場取引の鏡となる。
金融機関の投資は、資金の過不足を補うための金融投資である。

貨幣価値は、債権と債務によって作られる。

貨幣制度の基礎は債権と債務の関係によって成り立っている。つまり、「お金」は債権であり債務、その根底にあるのは、貸し借りなのである。

紙幣自体が債権証書、債券が発展したものである。

「お金」は、媒体であって「お金」の量の変化によって経済の実施的な部分は動いているわけではない。「お金」の流通量を増やせば見かけ上は、変わるかもしれないが、景気の実体がよくなるわけではない。

「お金」は、取引に依って市場に供給され、循環し、効力を発揮する。
外部取引は等価交換を前提として成り立ち、利益は、内部取引より生じる。
一般に取引と言うと「お金」の動きばかりを注目し、財の流れが見落とされる。その為に、双方向の働きが認識されない場合が多い。

経済の仕組みを動かしているのは、「お金」の流れである。「お金」の流れには、物と財との交換によって分配を実現する流れと貸し借りなどによって資金の不足を補い支払いを準備する二つの流れが存在する。
故に、経済の仕組みを成り立たせるための核となる要素は、所得である。
所得は、費用であり、生活費であり、評価どいう側面がある。
「お金」は、使えば減り、補充しなければ生活が維持できなくなる。それが「お金」を循環させると同時に国民から生産手段を提供させる動機となるのである。「お金」の流れによって家計からは、労働力や資本が提供され、企業は、提供された資源によって財を生産し、それを家計に販売する事で、生産と消費との整合性を保っているのである。
売買取引は、「お金」と財との交換を促して、分配を実現させる。
不足した資金は、貰うか、借りるか、働いて得るかによって補われる。
収益と費用は、「お金」の働きを表しているが、「お金」の流れを表しているわけではない。「お金」の流れは、経常収支と資金移動からなる。経常収支は、フローとなり、資金移動は、ストックとなる。
「お金」の働きを監視する為には、経常収支と資金移動の関係を明らかにし、相互作用を知る必要がある。

不良債権の原因は、名目的価値と実質的価値の乖離である。名目的価値と実質的価値の乖離、フローとストックの関係を悪くしている。名目的価値と実質的価値の乖離を是正しない限り、不良債権問題は、解決されない。


経済の仕組みを動かす力


貨幣経済では、経済の仕組みを動かす原動力は、「お金」である。
「お金」は、情報である。即ち、経済の仕組みは、情報で動いている。情報系である。
「お金」は、数値情報である。
経済主体は、「お金」の入金、出金で動いている。
故に、経済主体は、二進数で動いている。

貨幣経済下では、経済の仕組みは、「お金」の循環によって機能している。
「お金」は、循環する事で効力を発揮する。

市場経済の仕組みは、市場から生きる為に必要な財を手に入れる事で成り立っている。「お金」が循環しなくなればすぐに破綻してしまう構造になっている。
故に、市場経済を正常に機能させるためには、いかに、円滑に資金を市場に循環させ、全ての消費者に満遍なく「お金」を分配し、必要な時に必要なだけ財を市場から購入できるようにしておく必要がある。

この手順が自由経済の基本的アルゴリズムの基礎となる。

経済の仕組みを動かしているのは、現金の入出金、即ち、現金収支である。
故に現金収支によって起こる「お金」の流れを補足する必要がある。その為の手段が会計である。
つまり、現行の経済の仕組みの動きを制御する為には、会計の基礎知識が要求される。

「お金」の効用は、生産にのみ働いているわけではない。分配にも、消費にも、貯蓄にも働いている。投資も、生産だけでなく、分配や、消費、貯蓄にもある。生産の効率ばかり考えていると経済全体の効率が悪くなってしまう。


経済規模と限界



経済規模には、限界がある。その限界を超えると経済は、制御不能な状態に陥る。
制御不能な状態には、ハイパーインフレーション、流動性の枯渇、大恐慌、革命、戦争等がある。
事実上貨幣制度が一時的に機能しなくなる場合もある。

成長には限界がある。成長を前提としているために、成長していない経営主体は無価値であるような思想が蔓延している。それがかえって経済を停滞させる原因となっている。
経済規模は有限で成長には限界がある事を前提とすべきなのである。

経済規模は、経済量として表す事が出来る。
経済量は、価格、数量、人口の積として表される。
経済の状態は、価格の変化、数量の変化、人口の変化が掛け合わされたものである。
今日の様に人口、特に、生産労働人口の減少は、一人当たりの所得が変わらないとすると総所得の減少を招く。
価格も、人口も変わらないとすれば販売数量が減少すれば総生産の縮小になる。
経済の状況を明らかにするためには、価格、数量、人口のどの部分にどの様な変化があったかを知る必要がある。

経済量は、有限である。なぜならば、実質的な部分である数量と人口に限界があるからである。経済量に限界がないように見えるのは、貨幣価値が上に開いているからである。

数量と人口が減少するのには、物理的な原因がある。価格の変動に振り回されていると個の根本的な原因が見えなくなる。

物的な市場規模は、消費量を根拠とする。市場を形成するのは消費だからである。

経済の実体は、人と物の積によって決まる。故に、人口の推移や単位当たりの消費量に基づく。人口が減少したり、市場が成熟し消費量が減少すると実質的な市場規模は縮小する。人口の変化は長期的な周期によるから人口に基づく市場規模の変化は緩やかな変化になる。それに対して耐久商品のようなライフサイクルの長い財は、市場が飽和状態になると急速に消費量が減少する。消費量が急速に減少すると市場は縮小し始める。
市場が拡大均衡から縮小均衡に転じると市場に働きも変質する。
この点を理解しないと市場の変化に経済政策を適合させることができなくなり、市場を制御したり財政を健全に保つことが難しくなる。

市場は、常に拡大均衡しているわけではない。前提条件が変われば縮小均衡に転じる事がある。拡大均衡が是か非かを論じるのは愚かである。拡大均衡状態となるか、縮小均衡状態となるかは、前提条件の変化によるからである。

問題は、市場の規模は一定していないという事である。市場は、膨張と収縮を繰り返している。市場全体は、無数の市場の集合体である。全体を構成する個々の市場は、固有の性格や構造を持ち一律一様ではない。
故に、「お金」の総量の上限も一律に決められない。いくつかの要素の相互牽制の働きを前提として相対的、構造的に設定される。


最終的に何がしたいのか


最終的に何を求めているのか。それを明確にして行いと何をすべきかが見えてこない。
経済は、合目的的な行為であり、管理可能、制御可能な要件と管理不能、制御不能な要件がある。故に、目的を明確にしておく必要があると同時に管理可能、制御可能な要件と管理不能、制御不能な要件を明確に区分し、前提条件として設定しておく必要がある。

何がしたいのか。まず第一に、予測する事である。現在の状態を続けていたらどのような事態になるかを予測する事である。
何を予測するかと言えとまず第一に言えるのは、現在、経済がどのような状態にあるのか、そして、それは持続可能か。持続が難しいとしてどの様な事象が経済に対して決定的な働きをするかを明らかにする事である。
特に過去の政策の検証が重要となる。過去にとられた政策の影響は、現時点の状態に反映し、将来に対して決定的な影響を与えているからである。

以上の要件を全体と部門ごとに検証していく。なぜならば、部門だけを見ていたら全体の動きが見えなくなるからであり、かと言って部門の状態を見ないと全体は成り立たないからである。

次に、何らかの施策とった場合を想定した模擬実験、図上演習をする事である。
模擬実験や図上演習をする場合、注意しなければならないのは、表面に現れてこない資金の流れである。
大事なのは、経済の仕組みや構造を解き明かす事である。同時に個々の経済主体、民間企業や政府などがどのような行動をとるべきなのかを検証する。

第三に、どの様な施策をとれば最善な結果を得られるかを検討する。
経済の問題は、部門間の歪による部分が多い。どの様な施策をとれば部門間の歪みが解消されるかを検証する事が主たる目的である。

第四に、最悪の事態を回避できるか、否かを検証する。
最悪の事態とは何かを定義し、最悪な事態が起こるとしたら、どの様な状態、条件によってどの様にして起こるかを検証する。

第五に、最悪の事態を回避できない場合は、いかにしてリスクを制御するか。不幸にして最悪の事態に遭遇したら、どの様にして最悪の事態を切り抜け。経営を持続していくかを考える。つまり、最悪の事態に備えるのである。

これらの五点が最終的に求める成果である。

故に、第一段階として経済が現在どのような状況にあるかを明らかにする。
第二段階は、経済がどのような力や関係によって動いているかを解明し、経済の仕組みをどの様に制御するのかを知る。
第三段階は、経済の仕組みの働きを最大限引き出し、目的地に到達する事である。
第四段階は、異常な動きをするところを見出し、正常な動きに戻す。
第五段階は、経済が危険な状態に陥った時、経済を安全な状態に導く手段をあらかじめ用意すると言う形で進める事とする。

最後に留意しておくべき事は、現状分析と言っても過去の情報に基づいた結果であり、将来起こる大きな変化を前提とし、織り込んだたものではない。
確証を求めれば求めるほど将来の不確実性に対する配慮は欠けてくる。
しかし、現在起こっている情報革命は、経済の根本的な枠組みを変えてしまう可能性も秘めている。この点をどう分析に取り込んでいくかによって分析の評価が全く違ってくる事を忘れてはならない。

予測のための指標


第一段階として経済が現在どのような状況にあるかを明らかにする。

予測は、現状維持、即ち、現在の前提条件が何も変わらない、そして、何もしないという事を前提とする。つまり、放置された状態である事を前提として推測される。
予測と言っても、実体は現状分析である。過去からの流れを確認し、現在の状態を続けるとどの様な状態になるかを予測す。この段階では、現状を肯定的にとらえるわけでも、否定的にとらえるわけでもない。
いわば健康診断みたいなものである。何も問題がなければ、殊更に問題を作る事はない。

なぜ、要件定義が必要かと言うと、自分たちが何をしようとしているのか、自分たちはどうしたいのか。自分たちは何を知りたいのかを自覚し、それを明確にして定義しろと言う事である。それは、自分たちがやろうとしている事の作業仕様を設計するために必須の事柄である。
自分たちが何をしたいのかを確認するという事は、先ず初心原点に帰り、その上で現状を確認する事から始まる。
現状を正しく認識していなければ、肯定も否定もできないのである。
その上で、要件定義は行われる。

前提となるのは、水平方向の構造と垂直方向の構造、そして、部門間の構造である。そして、時間の構造である。
この基本は会計制度にある。期間損益では、ストックの水平方向の構造は、総資産と総資本。フローの構造は、収益と費用が基礎となる。国民経済計算書では、水平方向の働きは、付加価値として現れる。

先ず、我々は、何のために予測を必要とするのかを明確にする事である。
一般論しか語れないとしても予測をする動機を予め明確にしておく必要がある。

基本的に予測は、意思決定のための基礎資料である。
故に、経済予測は、どの様な意思決定のための資料となるかが鍵となる。
どの様な意思決定の為の資料かによって知りたい内容も変わってくる。
経済予測は、経済の仕組みが正常に動いているかどうか、異常に動きはないかを調べる事である。
そして、正常な動きをしていたら将来の変化や位置を推定する事が可能となる。また、異常な動きがあったら、それが何に対してどの様な影響を与えるのか。その異常な動きに対してどの様な行為をすべきかを明らかにする。

経済の現在の状況を理解し、経済変動の要因や背景の動き、経済の構造を明らかにする事から始まる。即ち、現状分析である。現状を正しく認識しておかなければ、将来を見通す事はできない。現状を正しく認識する為には、過去からの流れを理解しておくことが必須となる。

まず全体の状況を俯瞰し、全体と部分の関係を明らかにする。
変化や因果関係、相関関係を明らかにするためには、時系列データが求められる。

手法としては、比較と差である。
何を比較するのかと言うと全体と部分、基準と対象、二時点間の状態の差、要素間の比率である。
其々に、何を全体とするか、何を基準とするか、時点をどの様に設定するか、どの要素を選択するかによって変化する。何を全体とし、何を基準とし、どの時点を選ぶか、どの要素を組み合わせるかは、分析をする目的による。

一般に、経済を予測する目的は、近い将来の経済の状態を推定する事で、自分たちが今採るべき行動を決める事である。
ただ、現状分析は、あくまでも起こった事、過去の情報に基づいたものである事を年道においておく必要がある。これから起こる事、未来の事、不確かな事に対しては、あくまでも参考にしかならない。参考でしかない事を前提として考えるからこそ有効なのである。

全体の包括的指標


全体の動きを予測する為の指標とは何かを知るためには、全体とは何かを特定する、即ち、定義する必要がある。
ここでいう全体と言うのは、一国の経済の仕組み、要するに、日本経済の仕組み全体を指す。
故に、全体の動きとは、日本経済の仕組みが正常に機能しているかもいないか、異常な動きをしている個所はないか。
異常な動きをしている部分が他の部分や全体にどの様な影響を及ぼしているかを明らかにする。
異常な動きをしているかどうかを判定する為には、正常な状態、動きとは何かを明らかにする必要がある。

そして、何を正常とするかの判定は、最終的には思想に還元される。

現在の経済の仕組みを動かしているのが「お金」だとすると「お金」の流れを追跡すれば、経済の仕組みが正常に機能しているか、否かは判定できる。

ただ現在の仕組みは、「お金」の働きと「お金」の流れが一体ではない。故に、「お金」の働きと「お金」の流れが一致しない原因とその影響を明確にしておく必要がある。

経済の仕組みが正常に機能しているかどうかは、第一に、「お金」が円滑に循環しているかどうか。第二に、「お金」は、適切に配分されているか。「お金」の配分に偏りはないか。第三に、「お金」は全ての消費単位に行渡っているか。第四に「お金」は、有効に機能しているか。第五に、「お金」の流通量は、適量かをいかに検証するかにかかっている。

検証する手段が貨幣価値に偏っているために、「お金」が全てであるように見えるが実体は違う。経済の実体は、人と物にある。

「お金」が円滑に循環しているか否かは、資金が適切に融通されているか否かによって決まる。資金不足主体に資金余剰主体から「お金」が融通される事で資金は市場を循環する事が出来る。資金が淀んだり、流れに偏りが生じると「お金」は、円滑に循環しなくなる。

また、「お金」が融通されるためには、融通する事による利益がなければ有効に働かない。資金繰りには費用が掛かるのである。
「お金」を適切に融通する為に働いているのが金利である。適正な金利水準が保たれているか否かによって「お金」が正常に働いているかいないかを検証する事が出来る。金利を比較する対象は物価上昇率、利益率である。なぜならば「お金」が効率的に活用されているか、いないかは、物価、利益に深く関わっているからである。支払金利は価格の攻勢に影響するし、利益を金利を上回れば、銀行に預金をした方が事業から利益を上げるより効率的になるからである。

「お金」が有効に機能する為には、予め、必要とされる「お金」が消費単位に配分されていることが前提となる。
問題は、分配の手段だが、一般に自由主義経済は、労働の対価として「お金」が支払われる。故に、失業率は、平均賃金、最低賃金は、自由主義経済では根源的指標の一つとなる。

「お金」の配分に極端な偏りや格差が生じると必然的に「お金」が円滑に流れなくなる。「お金」の流れに極端な偏りが生じると「お金」も効率的に働かなくなる。「お金」が円滑に流れなくなったり、働きに偏りが生じると経済の仕組みは正常は作動しなくなる。
一般政府は、偏りを均すために所得の再配分などを行う。所得の偏りを時間的に均すのが年金である。
故に、経済の仕組みが正常に機能しているか、いないかを検証する為には再配分が機能しているかどうかを検証する必要がある。

「お金」は、有効に機能しているかが重要で、「お金」は分配の手段であるから、「お金」が正常に機能しているか否かは、「お金」が分配の手段として正常に機能しているかどうかが判断の基準になる。異常な物価の上昇は、「お金」が正常に機能しなくなっている事を明らかにしている。
物価が正常に機能する為には、物価の変化は所得の変化の範囲内に収められる必要がある。なぜならば、所得は、支出の原資であり、物価は、支出の範囲内に収められる必要があるからである。そこで所得と物価の変化が対比する事が求められるのである。

全体を包括的に分析する場合の指標は、垂直方向、水平方向、部門間、そして、時間価値の働きを測定するものである必要がある。
  1. 垂直方向の働きを測る指標とは、フローとストックの関係を表す指標である。
    例えば、金利、利益率
  2. 水平方向に働く指標とは、フローとストックの構成を表す指標である。
    例えば、付加価値の構成比率。金融・負債残高の構成。労働分配率。
  3. 部門間に働く指標。
    例えば、部門間の資金の過不足。
  4. 時間価値を表す指標である。
    例えば、金利の推移、成長率、所得、税、減価償却費、総資本回転率等である。
  5. 「お金」の流れの働きを表す指標。通貨の流量と効果を表す指標
    例えば、信用乗数。キャッシュフロー。

前提となるのは、経済の方向である。市場が拡大均衡に向かっているのか、縮小均衡に向かっているのか。
それによって経済の状態に対する評価や対策は全く別のものになるからである。
市場が拡大均衡に向かっているかいないかは、個々の要素、例えばインフレーションや失業などに対する解釈、評価が百八十度変わってくる。公共投資に対する考え方も正反対になる。
だから、分析するにせよ、対策を立てるにせよ拡大均衡傾向が前提か、縮小均衡が前提かを先ず確認する必要がある。

資金の過不足を短期(フロー)で見ると拡大と縮小を繰り返している。
それに対してストックは、多少の違いはあっても傾向的に拡大している。
それに対して名目GDPは、1991年のバブル崩壊後横ばい状態が続いている。

問題は、GDPの動きと資金の過不足を現す動きは、別だという点である。別だけれども相互に何らかの影響を及ぼしていることは確かである。



日本銀行 資金循環 フロー

部門間の過不足を検証すると1997年の金融危機を境に民間企業が資金余剰主体に転換し財政が大きく資金不足主体に変わったのがわかる。
以外ではあるが、バブル期一時的ではあるが政府は、資金余剰主体だったのである。


日本銀行 資金循環 ストック



国民経済計算書 1993SNS

国民経済を基礎とすると日本の総産出は、総資産の大体十分の一で、総生産は、総産出の半分、そして、雇用者報酬は、総所得の半分と言う関係が成り立っている。
注目すべきなのは、高度成長期からバブルまでに四分の一から十分の一まで圧縮され、バブルが崩壊すると横ばい状態に陥っているという点である。



内閣府 国民経済計算書


家計の指標


経済と言っても殊更経済成長を追求しても意味はない。大切なのは、生活の質だからである。
いくら全体的に成長していても格差が拡大し、高所得者と低所得者の間の生活に超えられない壁が降ったら豊かと言っても名ばかりである。実のある経済成長でなければ意味がない。

消費の観点からもしっかりと経済を見ておく必要がある。

家計は、生産手段を提供すると同時に、消費単位として消費経済の中核を担っている。
経済は、産業だけで成り立っているのではなく。景気は、消費が牽引している事を忘れてはならない。市場を形成するのは消費である。
消費の動向は、産業の消長を決定づける。

消費の働きの元となるのが可処分所得である。

家計で問題となるのは、生活水準である。生活水準は、代表値(平均値、中央値、最頻値)、分散が重要となる。
生活水準で重要なのは、消費の質をどう組み込むかである。

  1. 可処分所得
  2. 失業率
  3. 人口構成
  4. 民間最終消費支出
  5. 貯蓄率

国民経済計算書




非金融法人企業の指標


非金融法人企業の役割は、生産と言う行為を通じて「お金」を循環させる事である。

非金融法人企業は、要するに民間企業である。
民間企業は、基本的に資金を調達して投資をし、投資した機械設備によって製品を販売し、投資した資金を返済する事で「お金」を循環し、分配する事である。

民間企業は、資金が回っている間は、事業を継続できる。しかし、いくら利益を上げていても資金が回らなくなればお終いである。民間企業はある意味でいかされているのである。経済的役割が果たせなくなったと市場から判断されたら、市場から退場する事が求められる。民間企業に求められるのは、経済的効用である。

民間企業における資金の調達手段は、収益を計る事だけではない。借金をしたり、増資によって資金は調達できる。ただ収益以外の手段による収支は損益に計上されない。

民間企業が貸借や資本取引に依って資金を獲得するのは、経常的収支が波があり、一時的、あるいは長期的に資金不足が発生するからである。
その資金不足を補う手段が短期では、運転資本、長期には長期借入金か増資である。
収益に頼らない資金調達は担保を必要とする。それがもバブル崩壊以前は、手持ち不動産だった。それがバブル崩壊後不良債権となって民間企業の資金調達力を喪失させた。問題なのは、資金調達力を低下させるのに行政や中央銀行が加担した事である。

企業の資金調達力を削いだのは、地価への資金の供給を断ち、金融を引き締め、強引に不良債権を処分させたことによる資産価値の下落である。結果、市場の底が踏み抜かれて、2019年の今日に至るまで、いまだに景気は上向かないのである。


法人企業統計と国土交通省の公示地価による。


民間企業の主要な役割は、組織的な分配にある。組織的な分配が費用を形成するのである。費用の中でも重要なのが、人件費であり、人件費は裏返せば所得である。所得は生活費の源泉である。

企業が正常に働いているか、いないかを単に利益だけから計測しようとする傾向がある。企業活動の全てが利益に集約されているというのは錯覚である。
大体、利益は、指標の一つであって設定の仕方、計算の仕方によって全く違った値になる。問題は、利益をどの様に設定するかにある。

もう一つ重要なのは、利益は、単位期間の働だけを計測しているという点である。企業活動は利益を上げる事が全てではない。

企業活動は、雇用を創出するのも重大な役割の一つなのである。
また、企業活動で忘れてはならないのは、短期資金と長期資金の働きの違いである。
長期資金の働には、投資、研究開発、退職金、社会保険、企業年金等の福利厚生などがある。目先の利益ばかりを追いかけると底辺で働いている企業の長期的働きが機能しなくなる。それは産業を根っこから枯らしてしまう。
短期資金の働きは、価格に要約されるが、長期資金の働きの全てが価格に含まれているわけではない。この点を見誤ると資金繰りに重大な障害が生じ、産業が成り立たなくなる危険性がある。
産業は、時間と伴に長期資金の働きが負担となる。この負担をどの様に解消するかを忘れたら産業を潰す事になる。その結果、資金を循環したり、雇用を創出するという重大な役割が果たせなくなってしまうのである。

「お金」が円滑に循環しているか否かを検証する為には、損益上に現れてこない「お金」の流れをどこまで補足できるかにかかっている。
現在市場取引は基本的に期間損益によって測られている。しかし、期間損益上現れない働きがある。
期間損益は、単位期間におけるお金の働きを計測している。単位期間内に補足できない資金の働きは基本的に計測されない。つまり、単位期間を超える資金の働きは、損益上計上されないのである。
単位期間に補足できない資金の流れとは、投資に係る資金の流れや働きである。これらの働きは、残高として貸借に計上される。その為に、損益上に計上される「お金」の流れと働きは、補足できても損益に計上されない資金の流れと働きは計測できない。損益に現れない資金の流れと働きには、貸借取引や資本取引等があり、利益にはかかわらないが資金繰りにおいて重要な働きをしている部分が欠落している事になる。
その為に、資金の動きで表面に現れない、見えない部分が存在する。その表面に現れない「お金」の流れや働きが経済に決定的な作用を及ぼしているのである。その典型がバブルとバブル崩壊後の経済の動きである。
バブルによる好景気やバブル崩壊後の長期低迷は、表に現れない「お金」の流れや働きを明らかにしないと説明がつかない。その後の政策の適否の判定もできない。

国税庁の所得税課税別所得の内訳を見てもバブル期の異常な所得の動きが見て取れる。分離長期譲渡課税は、主として相続などによる土地の売買による所得である。相続による収入は、国民経済計算書では、資産移転として経常収支には計上されない。その為に、バブル期の所得は、GDPには含まれていない。つまり経済成長には貢献していなかったのである。


国税庁


全産業のキャッシュフローを見ると損益上に現れない資金の流れがいかに大きな影響を及ぼしているかがわかる。英行衛キャッシュフロー上はバブル崩壊の影響がみられないが、財務キャシュフローが崩落しているのがわかる。そして、この財務キャッシュフローがわからないとバブル崩壊後の長期低迷が説明つかないのである。


法人企業統計


長期資金の働きを費用化したのは、減価償却費だが、減価償却費は、直接、現金収支に結び付いているわけではない。元々減価償却費は、費用対効果を測定する為の尺度である。実際の現金収支とは結びついていない。
実際の貸し借りは、資金の返済に基づいて貸借上に残高として計上される。
国民経済計算書でも資金移転と考えられ経常的収支とはみなされない。
また、償却費は全ての投資資金と働きを網羅しているわけではない。特に、不動産は、償却資産とされていない。その為に、実際の資金の流れと利益との間に乖離が生じ、税負担にも深刻な影響を及ぼす事が起こる。
長期資金の働きは、期間損益に影響しないとされながら、資金繰りには深刻な影響を持つ。間違ってはいけないのは、企業が破産するのは資金繰りが直接的原因であって利益は、間接的な原因であるに過ぎないという事実である。


法人企業統計

非金融法人企業の指標は、産業政策や交易政策に役立って初めて意味がある。我が国の経済の仕組みの中軸を担う産業構造をどの様にするのかの指針があって産業政策は成り立っている。市場の状態や動向、産業の発展段階を踏まえて指標を組み合わせるべきなのである。
非金融法人企業の指標としては、以下の事があげられる。
  1. 売り上げ動向 。
  2. 市場規模 。
  3. 成長力 。市場規模が拡大均衡に向かっているか、縮小均衡に向かっているかの判定。
  4. 付加価値の構成の変化
  5. 地価の動向 。資金の調達力を見る。
  6. キャッシュフロー

今の風潮は、ひたすら、安売り、競争力の身を追いかけている。しかし、企業の役割は、価格的競争力をつける事ばかりではない。むしろ、価格的競争力は二義的なものであり、社会的効用や雇用の創出が一義的なのである。

民間企業の基本的なアルゴリズムは、資金を調達して投資をし、投資した資金を生産活動を通じた経常収益の中から経費を引いて、借入金の返済をしていく事である。
収益が不足する分を貸借によって資金を調達し、「お金」を廻す事きできるが、そうすると、ストックが幾何級数的に拡大し、収拾がつかなくなり、いずれは破綻する事になる。
経済の変化は、複利的な変化なのである。

故に、総資産回転率の動向が重要な指針となる。


法人企業統計


財政の指標

財政で最も重要なのは、財政政策、財政に対する考えである。財政の根本は、建国の理念と国家戦略にある。
近年、財政を政争の手段や景気対策の手段に用いられる傾向があるが、財政をおかしくしている原因の多くはそこにある。根本理念も構想もないのに、選挙対策や目先の景気のために、ばら撒きをするから財政が無軌道になるのである。緊縮財政か、増税が是か非かを論じる前に、どの様な国を目指しているのかを明確にすべきなのである。
景気対策や政争の具にして財政を破綻させることほど愚かな事はない。

財政の指標を選択する場合、財政の果たしている機能が重要となる。
財政の機能は、社会資本の構築、所得の再配分、景気調整があるが、景気調整機能は、あくまでも二義的であり、比重を置きすぎると財政の根本を毀損させてしまう。むしろ、財政の金融機能を忘れないようにする事が肝要である。これら点を十分に考慮して指標を選ぶ必要がある。
  1. 財政政策
  2. 財政収支
  3. 税の構成


日本銀行

金融の指標

金融機関は、資金の融通が本業である。故に、本業の働きを示す預貸率は重要な指標となる。
  1. 預貸率
  2. 金利の動向
  3. 国債の動向
  4. 部門間の貸借



国民経済統計



日本銀行

海外部門の指標

海外部門は、通貨の水準と内外価格差、原材料価格の動向が焦点となる。
特に通貨の水準為替の動向が経済の仕組み全体と部分にどの様に作用するかがポイントとなる。
海外部門の働きは、国際収支に反映される。そして、経常収支と資本収支・外貨準備高とが均衡している点に注意すべきである。国際収支は、国内の貸借、損益の均衡具合を反映しているのである。
  1. 経常収支
    • 貿易収支
    • サービス収支
    • 取得収支
  2. 資本収支・外貨準備高
  3. 為替の動向
  4. 原油価格の動向
  5. 内外価格差


日本銀行


模擬実験のための指標


第二段階は、経済がどのような力や関係によって動いているかを解明し、経済の仕組みをどの様に制御するのかを知る。

模擬実験とか、図上演習をする時は、自分が何をしたいかをハッキリさせる事なのである。やたらと難しく考えたり、かっこつけても仕方がない。
金利が上がったらどうなるかとか、借金は、どこまで許されるのかとか、為替が変動したらどうなるかとか、原油価格が上がったらどうしたらいいかとか明確な目的意識を持つ事である。そして、その目的に対してシンプルな仕組みを構築する事である。

予測が現状維持なにの大して模擬実験や図上演習は、前提条件の変化や自分たちの施策がどのような影響を予測に与えるかを測る事である。
故に、模擬実験や図上演習では、場合分けと想定が鍵を握る。

実際に経済仕組みを明らかにするためには、仮定、仮説を立てる必要がある。
その過程や仮説を立証する過程で経済を動かす仕組みを明らかにし、経済の仕組みを操作して経済を動かす手段を体得するのである。

経済は、どの様な仕組みや原理、構造で動かいているかを実践的、実証的に解明していくための指標である。現状を分析するというのが、静的にものであるとしたら、模擬実験や図上演習は、動的なものである。
静的な分析が構成を重視するのに対し、模擬実験や図上演習では、動きや関係、位置などが重要となる。

どこを(位置や部品)どの様にすれば(操作)どの様になるのか(結果)を検証するのである。

模擬実験や図上演習は、現実を模した模型(モデル)を作って実際的に検証していく事になる。
モデルを構築する場合、注意するのは、経済や会計には、想定された数値、評価勘定が多く存在する。その代表的なものが減価償却費である。ただ、想定された勘定は、客観性の障害となる場合がある。故に、極力、「お金」の動きの裏付けをとるように心がける必要がある。

経済モデルを構築する為には、経済を構成する要素を明らかに、その要素の働きと関係を想定する必要がある。
その上で目的に応じて何を目的変数とし、何を説明変数とするかを設定する。

経済モデルを構築する手順は、先ずどのような目的によって何を知りたいかを明らかにする。

モデルを設定する為には、モデル構築する為の指標をに何を使うかが鍵となる。そして、指標の中からKPI(重点評価指標)を設定する。
モデルを構築する上では、KPI(重点評価指標)をどうするかが要諦となる。
KPIを何にするか、また、何を期待するか、指標はどのような性格かがモデルと使い手の目的との整合性を決めるからである。KPIの中で使い手が直接調査する指標が最も重要な指標となる。

また、どの様な前提によってモデルを構築するのかが決定的となる。故に、前提をどの様に設定するかが鍵となる。しかし、前提は、絶対的な事ではなく、相対的である。特に、相関関係は、成長段階や状況の変化によって変化する場合がある。故に、前提を変更する必要が生じた場合に、設定を変更できるように予めしておく必要もある。

相関関係の有無よりも相関関係、いつ、何によって変化、変質、失われたかが問題となる。

模擬実験や図上演習は、最終的には、意思決定に結び付かないと意味がない。
意思決定に結び付けるためには、どの部分をとの様に操作したら、どの様な結果になるかを明らかにする必要がある。

その為には、第一に、任意に変えられる変数とか減られない変数。第二に、操作できるところと操作できないところ。第三に、管理できるところと管理できないところ。第四に、確かな事(わかっている事)と不確かな事(わからない事)を見極める事が重要となる。
また、操作できるできない、管理できるできない、原因が、第一に、物理的にできないのか、第二に、技術的(能力)にできないのか、第三に、時間的にできないのか。第四に、制度的にできないのか。第五に、思想的、政治的にできないのかを判定する必要がある。それによって対応の仕方が違ってくるからである。
任意に変えられる変数は、内生変数であり、任意に変えられない変数は、外生変数である。

模型を設計する時、何を内生変数とし、何を外生変数とするかが、根本的課題値なる。そして、内生変数のうち、何を操作するかを設定する事が重点となる。なぜならば、経済の仕組みをどの様に操作して制御するかを検証する事が模擬実験の目的の一つだからである。

経済政策の中には、直接動かす事で経済の仕組みを操作する手法と間接的に動かす手法がある。直接動かす手法は、速効性があり、効果が目に見えるという特徴があるが、非常に限られている上に、過剰に反応する傾向がある。
また、経済の仕組みが予め明らかにされている事が前提となる。問題は、経済の仕組みには、ブラックボックスが多く因果関係がはっきりしない事が多いのである。

それ故に、模擬実験の目的の一つに経済の仕組みを明らかにする事が含まれるのである。

模擬実験や図上演習をするの目的の一つは、経済の仕組みや構造を明らかにし、検証する事である。
模擬実験や図上演習のための基盤は、原則として予測の為の基盤を共有する。
ただ、予測が全産業を対象としているのに対して、個別の産業や模擬実験や図上演習を行う目的によって基盤を変えたり、指標を組み替える必要がある。

また、シミュレーションをするために線形関係を明らかにする。その為の相関関係を解析する。
問題は、要素間の関係と働きである。何が何の影響下にあり、それがどのような関係や働きをしているかが、経済の仕組みでし決定的なのである。
  1. 経済の垂直方向の関係を明らかにする指標。経済を動かしている貸借と損益、ストックとフローの関係を示し指標が要になる。金利と元本の関係。
  2. 水平方向の関係働きを明らかにする指標。付加価値の構成比率や変動。
  3. 部門間の関係や変化を表す指標。
  4. 時間価値の働きを表す指標。変化の速度や要素間、部分と全体の関係や位置を示す指標が重要となる。
    特に、生産の効率化が分配のどの部分にどの様な影響を及ぼすか、それに対してどの様なセサクを講じるべきかなどである。
  5. 要素間の相関関係。因果関係を示す指標が鍵となる。要素間の関係を明らかにするためには、必ずしも因果関係に結び付けて考える必要はない。

ストックとフローの関係を検証する際、注意すべきなのは、第一に、資金の流れる方向。第二に、資金の過不足、各部門の残高。そして、第三に、フローとストックの相関関係、第四に、フローを構成する要素、ストックを構成する要素の構成比率である。これらの関係が全体と部分の縛り、拘束要件となる。

時間価値は、金利や所得の上昇率、物価、利益、税等を均衡させようする力として働いている。
時間価値をリードしているのは金利である。ゼロ金利が30年以上にも及んでいる。これは異常に出来事である。
バブル崩壊後の原因の一つにゼロ金利がある。金利がゼロになれば時間価値が働かなくなる。ゼロ金利によって時間価値が消滅したのである。

最終的には経済の仕組み、装置をどう制御するかが焦点なのである。
何らかの機能を働かした時、どの部分、あるいは、全体がどのような動きをするかが、鍵となるのである。
ブレーキを作動したら、自動車が停止すると言ったような事で、その場合あわせて、静止するまでどの程度の距離走行し、また、どの程度の時間がかかるか等を事前に明らかにしておく事なのである。
つまり、要素間、指標間の相関関係、因果関係を知っておかないと指標そのもの意味がないのである。

とるべき施策の有効性は、前提条件によって変わってくる。
前提条件とは、市場の状態(不飽和状態、飽和状態、過飽和状態等)、為替の動向、部門間の歪み(財政状態)、金利の動向、経済が拡大均衡状態か縮小均衡状態か(成長か停滞か)等である。

1970~1998年

1994年~2013年

法人企業統、国民経済計算書

全業種売上と国民総所得との相関関係
 
法人企業統計 国民経済計算書

全産業の売上と総資産の相関関係は、バブル崩壊以前は、ほぼ、直線的であったのが、バブルが崩壊すると不規則な動きとなり、相関関係が急速に失われている。

1960~2017





法人企業統計


バブルの形成とバブルの崩壊は、その根底にある経済の仕組みを暗示している。なぜ、バブルが発生し、そして、かくも長きにわたって日本経済を立ち直れないほどの打撃を与えたのか。それを解き明かす事は、経済の仕組みの謎を解き明かす事でもある。

まず根本的に言えるのは、バブルを起こしたのは、政策の様な何らかの人為的行為なのか。それとも人の力でも如何としがたい事なのか、何らかの前提が崩れたのか、それを見極める事である。人の力ではいかんともしがたい力が働いたとしたら、それは、経済体制の根本的な欠陥なのかも検証する必要があるからである。
その際気を付けるべきなのは、経済は生産の局面だけで成り立っているわけではなく。生産、分配、消費、そして、貯蓄の仕組みが各々自律的な働きをしながら、相互作用によって全体の運動を制御しているという事である。
生産の効率化が、分配の仕組みを圧迫し、消費を抑圧するというような事象も起こる。故に、生産の局面だけを問題にするのではなく。生産の局面で起こっている変化が分配や消費に対してどの様な影響を与えているかを統合的に検証する事が求められるのである。
これは、分配の変化や消費の変化か他の局面に与える影響にも言える。

特に、現在進行している情報通信革命は、単に、生産革命にとどまらず、分配や消費の在り方まで根底から覆してしまう可能性がある。情報通信革命は、生産革命と言うよりも分配や消費にこそ多大な影響を与えている。故に、実体が見えにくいのである。

現実の政策が経済の仕組みのどの部分にどの様に作用したかを検証する必要がある。

経済の変換点、分岐点の見極め。所謂、イベントをどう設定するかである。何が「引き金」、「キッカケ」になるか、イベントの働きは決定的かである。

経済の変換点として「ニクソンショック」、「第一次石油危機」、「第二次石油危機」、「プラザ合意」、「バブル崩壊」、「金融危機」、「リーマンショック」、「異次元の金融緩和」等があげられる。

この様な事態に、財政、金融、民間企業、家計、海外部門がどのような政策をとり、行動したかを一つ一つ検証する事である。

経済の変換点を見つけ出して、その前後にどの様な変化、兆しがあったかを分析するのである。
そうすれば、経済の仕組みは自ずと現れてくる。経済は、極めて単純で、明快な仕組みや原理で動いている。経済を難しくしているのは、人間の都合や思惑であって経済の仕組みが複雑で難解なのではない。自分に都合の悪い事を自分に都合がいいように解釈しようとするから経済の仕組みは、難しいものになるのである。

例えばバブルである。バブルは、1985年のプラザ合意から1991年にバブルが弾ける迄と言われている。ただ、バブルが発生し、バブルが崩壊した後まで含めて1985年から200年までの間に何があったのかを検証するとした場合、まず前提条件の確認をすべきである。バブル形成とバブル崩壊後では、明らかにパラダイムシフトがあった。
それを検証する事から始める。
先ずその前に、検討の枠組みを作る。
バブル形成は、どの様な前提によって準備され、どの様な状況で発生したか背景を構成する。
その上で、バブル形成期においてどのような政策をとられたかを検証する。
バブルが発生したのは、1985年のプラザ合意を契機としていると言われる。しかし、プラザ合意以前からバブルが形成される要因はあった。
バブル崩壊後、三つの過剰、即ち、過剰設備、過剰債務、過剰雇用が問題なのだとされた。しかし、過剰設備も、過剰債務、過剰雇用も結果であって原因ではない。何が原因で過剰設備、過剰債務、過剰雇用が生じたかが問題なのである。

バブル形成から崩壊までの要因を知るためには、部門毎の資金の動きを見る事である。
そして、バブル崩壊とその時とられた政策の影響を検証する為には、資金の流れ、資金の過不足、そして、その時とられた政策、そして、結果とを関連付けてみる事である。

一般には、バブルと言うのは、地価や株と言った資産価値の異常な上昇とみられている。しかし、地価や株の上昇は、結果である。何が地価や株を急上昇させたかが重要なのである。

これらを検証する為に、そもそも市場経済の減速を明らかにする必要がある。市場経済は、資金を調達してそれを投資し、投資した成果として収益を得、収益の中から人件費などの分配をし、借金を返済していくというのが原則である。ただ、経常活動の中で生じた資金不足は外部から調達をする。
まず投資の評価、次に収益の状態、そして、費用対効果を検証し、資金の過不足と借入金の均衡を見る。
バブルの時は、この原則が崩れた。

なぜ、この原則が崩れたのかを検証するのが始まりなのである。
その為に、必要とする情報は、収益の状況、為替の動向と影響、金利、原油などの原材料の動き、資金の流れ、資金の過不足の状態、株式相場の動き、雇用の状態、消費水準、生活水準、貿易収支、規制や制度の変化、公共投資、税などを確認する必要がある。
その上でバブル形成時、バブル崩壊後にとられた政策を一つひとつ政策と現実に起こった事を照らし合わせて検証していくのである。

過去の日本の制度、年功序列、終身雇用、高度成長、企業内組合などに変わりはないか。株式の持ち合いや護送船団方式がどのように産業に影響していたか。また、労使関係に変化はなかったか、生活水準の変化等を調べる。

規制やカルテルなどに対する考え方に変わりはなかったか等を調査しておく。


最善の施策を採用する為の指標


第三段階は、経済の仕組みの働きを最大限引き出し、目的地に到達する事である。

最善な施策をとるためには、最終的到達点、目的地点を明確にする事が求められる。
最善な施策とは、何か。最善の施策と言うのは、経済の効用を最大限に引き出す事である。そうなると、経済の効用とは何かが要点になる。
経済的効用は、効率的に生産し、公平に分配して、最大限の効用(消費効率)を引きだす事である。

生産と分配、消費をどう関連付けるか、結びつけるかが、経済の最大の課題なのである。
最善の経済とは、生産と分配、消費が均衡した状態を言う。そして、目的は、自分たちの思想、価値観にあった生活が送れる環境である。つまり、消費生活にある。

生産、分配、消費も金融の四つの仕組みの整合性をいかに保つかが経済の仕組みを制御する事なのである。
それは自分たちの国をどの様な国にするのか、自分たちの生活をどの様なものにするのか最大の課題なのである。

最善な施策を検討する場合、求められるのは、想像力であり、構想力である。次の時代がどのような時代になるのか。自分たちの国をどの様な国にしたいのかそれを思い描くことができるかどうかが分かれ目なのである。
そして、最善の施策を検討するのは、その時点時点でとるべき施策を意思決定のための指標である。つまり、自分たちが置かれている位置と過程が重要となる。
最善の施策を採用する為には、自分たちの目標や夢、志すところ、理想、将来構想、展望や計画を明確にする事である。
要するに自分たちの国や自分たちの事業が目指すべき方向である。目指すべき方向に対してとられるべき施策が最善な施策なのである。
自分たちの国や会社、家族が目指すべき方向を見失うと全体の統制は取れなくなり、組織は、解体していく。単に理想を追求する事だけが目的なのではなく。組織の統制や纏まり、規律、秩序を維持する為にも自分たちが何をしたいのか。どこに向かっているのかを明らかにする必要がある。それが経済主体の推進力であり、原動力でもあるからである。
志や目標を見失った経済主体は求心力を失い解体していってしまう。
今の日本は建国の理念を見失っている。それが国家の解体を促している。この事に早く気が付かないと日本は、主権と独立を失う事になる。

問題なのは、生産と分配と消費、金融の仕組みが未分化で混同されたまま語られている事である。
生産の仕組みは、生産手段を用いて、それからいかにして財を生産し、市場に供給するまでの仕組みである。
それに対して分配の仕組みは、収入を配分する仕組みと財を手に入れる仕組みからなる。
どの様な手段で収入を獲得し、どの様にして財を手に入れるかが中心課題となる。
消費の仕組みは、所得に基づいて消費を実現させる仕組みである。
どこにどれだけ支出し、どの様にして消費するかが課題である。
金融の仕組みは、資金の過不足を補正し、「お金」を循環する仕組みである。

稼ぐこと、配分する事、それから使う事、お金を融通する事は、相互に作用はしているが体系は、各々独立している。稼ぐこと、配分する事、使う事、「お金」を融通する事を結び付けているのが「お金」の働きと人の働きである。
「お金」と人の働きを介して生産、分配、消費、金融の仕組みに相互作用をもたらし、経済に自立的な制御機能を持たせようというのが自由経済なのである。

共産主義や統制経済、完全計画経済は、生産、分配、消費、金融の働きを切り離して経済の仕組みを組み立てようとする試みである。生産、分配、消費、金融の仕組みを切り離してしまうと「お金」は、循環しなくなる。

先ず基準的な流れ、標準的なアルゴリズムを構築する。それに対して実際に起こった結果を照らし合わせる。
基本的に予実績管理の手法と同じである。

まず基本的な機能を列挙する必要がある。次に最低限必要とする機能を明確にする。

  1. 国家全体が目指すべき指標。また、目的地までの軌跡を表す指標である。国家全体が目指す指標の根本は、国家構想であり、建国の理念、憲法の精神に基づくものである。
  2. 家計が目指すべき指標。家計が目指す指標とは、国民生活の目指すべきところを意味する。
  3. 非金融法人企業が目指すべき指標。どの様な産業を育成し、雇用をどの様に創出するか、国際競争力をどの様にしたつけるか、生産効率をどの様に計るかが課題である。。
  4. 財政が目指すべき指標。社会資本をどう構築するか、所得の再配分をどうするのかが基本である。また、公共投資や国債を通じて資金の循環をどう計るかが基本課題である。
  5. 金融が目指すべき指標。金融が正常に働いているかいないか。つまり、金融の仲介機能が上手く機能しているか。また時間価値が働いているかどうかが基本となる。
  6. 海外部門が目指すべき指標。国際分業において自国をどう位置づけるか。交易を通じて国際市場をどう均衡させていくか。自国の国際貢献をどう考えるかによって決まる。

経済は、国家構想があってはじめて成り立っている。なぜならば、経済は、人々の生活の上に成り立っているからである。生活を成り立たせているのは、一人ひとりの人生設計であり、生き様である。そういった人々が生きていくための舞台を作るのが経済の仕組みなのである。
経済の根本は、都市計画のようなものである。都市計画、つまり、人々が生活していく空間を建設していく事が経済の根源的な目的なのである。
景気対策の様な現象に囚われて経済政策の本質を見落としてはならない。
金儲けのために人生や家族を犠牲にするの様なものである。それは愚行である。
経済の根源にあるのは、なぜ、何のために、誰のために生きているかの問題である。

最悪の事態を回避する為の指標


第四段階は、異常な動きをするところを見出し、正常な動きに戻す。

最悪の事態を回避する為の指標は、起こりうる最悪の事態を想定し、それに備える為の指標である。

日本人は、最悪の事態を想定してというと無用に身構えるところがある。
しかし、地震や津波が起きた事を想定しなければ、地震や津波に対する備えも、準備も訓練も何もできなくなる。
地震や津波を想定すると言っても明日地震や津波が起こると言っているわけではない。明日、地震や津波が来ても困らないように地震や津波が来たときのことを想定すると言っているだけである。

百年に一度起こるか、起こらないかの災害に備えても意味がないと考える者もいるが、その災害が起きた時、何の備えもしていなかったら壊滅的な被害を被るのである。
物的な被害だけでなく、命さえも奪われる事になりかねない。それも自分だけでなく家族や仲間をも危険にさらす事になる。

都合が悪いから、見たくないからと言って臭いものに蓋をしても現実からは逃れられないのである。

考えうる最悪の事態とは、どの様な事態を指すのか、先ず、それを定義する事から始める必要がある。
その上で、何が問題で何に対して対処しなければならなのかを明確にする必要がある。
要するに、何を生かして何を切り捨てるかである。それを想定しないと対策は立てられない。

最悪の時点を想定するという事は、破断点、要するに、限界点をどの様に設定するかに要約される。

現在の経済の仕組みで最悪の事態と言うのは、経済の仕組みが機能しなくなる事である。
経済の仕組みが正常に機能しなくなるというのは、第一に、「お金」が円滑に循環しなくなる状態。
第二に、「お金」が適切に配分されていない状態。「お金」のの配分に極端な偏りが生じている状態。第三に、「お金」が得られない消費単位が発生し、急速に拡大している状態。第四に「お金」は、有効に機能しなくなった状態。第五に、「お金」の流通量を制御できなくなった時である。

経済にとって最悪な事態とは何かが問題となる。なぜならば、最悪である事を宣言する事自体が危機を招くことがあるから明確な指針を必要とする。

経済の最悪の事態を判定する為指標が主となる。
第一段階に正常な状態とは何か。異常な状態とは何かを示す指標を設定する。
次に、正常以上の適否を判定する。基準を設ける。
  1. 経済にとって最悪な事態とは何かを明確に定義する。そして定義に基づいた指標を設定する。
  2. 家計にとって最悪の事態を示す指標。家計にとって最悪なのは、破産である。
  3. 財政にとって最悪な事態を示す指標。財政にとって最悪な事態とは、財政が破綻し、国防や治安、教育と言った行政が機能しなくなる事、そして、景気対策がとれなくなり物価の制御ができなくなる事である。
  4. 企業にとって最悪な事態を示す指標。企業にとって最悪な事態とは倒産である。
  5. 金融にとって最悪な事態を示す指標。金融機関にとって最悪なのは、金融が機能不全状態に陥る事である。
  6. 海外部門にとって最悪な事態を示す指標。海外部門において最悪なのは、外貨準備が枯渇し、海外との交易が出来なくなる事である。
  7. 国家全体にとって最悪な事態を示す指標。国家にとって最悪なのは、国家の主権、独立を失う事である。


我が国の財政状態を考えた場合、最悪の事態も想定せざるを得ないと考えられる。
日本人は、最悪の事態を想定しようとすると、想定すること自体が災いを呼ぶと避ける傾向がある。
しかし、現実を直視しない限り進歩は望めない事を肝に銘じるべきなのである。

リスクを制御する為の指標


第五段階は、経済が危険な状態に陥った時、経済を安全な状態に導く手段をあらかじめ用意すると言う形で進める事とする。

リスク管理は、異常値を検知する事から始まる。即ち、本来予想している、あるいは、予定している事象からかけ離れた事象を検知する。つまり、異常な事を検知する事で、リスクを管理する事が可能となる。

リスクを検知する為には、異常な事とは何かが明確に定義されている必要がある。異常な事態とは何か、それがリスク管理の始まりである。

リスクを制御する為の指標とは、不幸にして最悪の事態に陥った時にどの様な対処すべきかを想定する為の指標である。
今日、避けられないリスクがあると想定されたら、リスクをいかに制御するかが重要な課題となる。リスクはどの時代でも避けられない事である。問題は、リスクをリスクと認識してそれをいかに制御するかの問題である。

リスク、つまり、不確実性をいかに制御するかの課題は、不確実性をいかに管理するかの問題でもある。不確実性を管理する為には、不確実な要素をいかに減らし、軽減するかによる。

しかし、現在のリスクは、避けようのない危機も含まれている。起こるのは、確実だがいつ起こるのか不確実と言う危機もある。そして、そのようなリスクの多くは自分たちが招いたリスクだという事である。この事は強く肝に銘じておく必要がある。

リスクは何かを明確に定義する事である。リスクとは、最悪の事態の身を指すわけではない。偶発的で区ごとや不確実性にどう対応すべきか。そして、その偶発的出来事や不確実性をいかに管理していくかがリスクを制御する事である。

リスクは視点を変えるとチャンスになる事さえある。災いを転じて福にするくらいの発想の転換が求められる。

そして、リスク管理を検討する場合は、どんなリスクがあるかを洗い出す必要がある。
その上でリスクの内容や程度、影響の及ぶ範囲、異常な個所、性質等で、リスクを分類し、ランク付けをしておく必要がある。

リスクのランクごとに、体制、処置、用意するもの、必要な情報等を決めておくのも大事である。

いざ何らかの異常が見つかった時、それが、全体的な問題なのか。部分的な問題なのかを判定する。

最悪の事態を想定した場合は、経済の仕組みを生かしておくか、一部停止するか、一定期間全面的に停止するかを判定する。その場合は、誰(決定権者、機関)が、いつ、何に基づいて(情報)、何によって決定するか(権限や手続き)。

問題の個所はどこかを明らかにする。問題の個所を明らかにするために、標準や基準を設定する。その尺度に基づいて対策を立案し決定し、実行する。
対策には、緊急的・応急的処置と抜本的、恒久的処置がある。応急的処置と抜本的処置を明確に区分する。

対処の手段としては、機能の一時停止、部門の組み換え、資産・負債の組み替え、債権債務の減免、相殺、一部免除、返済の期間延長、債権債務の付け替え、債務の資本化、規制強化、制度変更、増税、減税、歳出の削減、支払の停止、国家主権の一時停止などが考えられる。
究極的には、税制度やデノミ、国家主権にかかわる問題に発展する。だからこそ、各分野の日頃のリスク管理が要求されるのである。

  1. 指標としては、リスクを定義する為の指標。
  2. リスクのランクを決める指標。これは部門やリスクの性質によって幾通りも発生する。
  3. 異常値を検出する為の指標と体制を事前に設定しておく必要がある。


最終的には、リスクをいかに管理するかが目的となる。
リスクとは不確実性である。

リスク管理の根本は、何が確かな事であり、何が不確かな事かを見極める

リスクの中で最大の事は、現在水面下で蠢いている変革である。情報革命によるリスクは、経済の枠組みを変えてしまう可能性が高い。

縦割り、垂直的で、閉ざされ、階層的だった仕組みが、横断的、水平的で、開かれた、ネットワーク型の仕組みへと変質つある。この変化は、既存の価値観を根底から覆してしまう可能性がある。
ただ、経済の仕組みが分配の仕組みである事には変わりない。
生産が効率化されればされるほど分配の仕組みが再構築されないと経済そのものが成り立たなくなってしまう。
生産と雇用の関係、労働と分配の関係の変化は、人々の価値観や人生観、社会制度の在り方をも変えてしまう。だからこそ、経済の仕組みに根底にある思想が問われるのである。





       

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