場の理念

場とは何か


 よくその場の雰囲気とか、力に支配されるなどと言う。場の力は侮れない。革命や戦争という惨禍の中には、後世、考えると、その時代や社会が作り出す場の力押し流された結果だとも言える例がよく見受けられる。
 また、株の暴騰や暴落、恐慌、バブルといった現象も市場という場の力によって引き起こされていると思われている節がある。おかしい、おかしいといいながら、その時の勢いに抗しきれずに、破滅への道を押し進んでしまう例が多く見られる。熱狂は場の力が生み出すエネルギーに根源がある。
 しかし、では何が場の力かというと判然としてものが多い。

 幾つかの座標軸によって区切られた場所を空間という。何等かの力によって満たされた空間を場という。力は、作用を引き起こす原因である。

 空間は幾つかの場が重層的に重なり合ってできている。個々の場に働く力は、それぞれ独立した法則に従っている。
 個々の場を結び付けているのは、個々の場の力の作用を受けているものである。故に、場には階層がある。

 場というのは、何等かの作用、力に満たされた空間である。
 即ち、場は、空間と力からなる。
 場に働く力は、一様均一な力とされる。故に、場の力で重要なのは、水準である。場の力が一様であるから、問題になるのは、場の歪みである。
 場に作用する力、作用には、方向と量(強さ)がある。この様な場の力は、流れを作る。

 場の力は、放置すると一定の安定した状態に戻り、その状態を保とうとする。安定した状態とは、力が一様に働いている状態である。熱力学で言うところのエントロピーである。

 重層的に重なり合った場から構成される空間には、階層がある。これが空間の階層性である。

 インターネットが作り出す場にも階層がある。
 インターネットの階層は、第一層が物理層、第二層がデータリンク層、第三層が、ネットワーク層、第四層が、トランスポート層、第五層が、セション層、第六層が、プレゼンテーション層、第七層が、応用層に区分される。
 この様な区分は、経済の階層にも応用が出来る。

 産業空間を構成する場には、第一層の物理的場があり、第二層に貨幣的な場がある。第三層に人的な場がある。また、それぞれの場は、基盤的(インフラ・ストラクチャー)場。ネットワークの場。法が作り出す場、市場の場。構造体・共同体の場からなる。
 物理的場から言うと、先ず、道路、鉄道、港湾、空港、ダム、通信設備、情報設備と言った設備によって形成される場。それから、交通網、通信網、情報網と言ったネットワークや制度が作り出す場。道路交通法や通信法などと言う法が作用する場、そして、情報交換や物流と言った取引が形成する場があり、それから、個々の機関が作り出す製造設備や店舗と言った固有の場がある。
 貨幣的な場は、現金、貨幣、有価証券、国債と言った要素や会計制度、外国為替制度、税制度、貨幣制度と言った制度的基盤によって形成される場、金融ネットワーク、国際決済ネットワークが作り出す場、証券取引法、外為法、商法、税法と言った法や基準が形成する場、そして、金融市場、為替市場、資本市場と言った市場が形成する場、銀行、保険会社、証券会社、企業、国家、家計といった経済主体が作り出す内的場がある。
 人的な場には、言語、宗教、風俗、習慣、教育、価値観と言った文化的、また、身体的能力、知識、経験、技術と言った人間としての能力によって形成される場、人間関係や組織間、国家間、家族間に派生する関係や制度が生み出す外的場、民法や刑法、商法と言った法によって作り出される場、そして、労働市場によって作り出される場、家族、企業、公共自治体と言った組織、共同体、固有の規律や規則、仕組み、制度によって作られる内的場がある。

 経済的な場には、生活の場、仕事場(職場)、市場などがある。そして、それぞれに独自の規範による力が働いている。
 経済的な場には、第一に、物理的な場があり、インフラストラクチャー(ガス、水道、電気、石油、交通網)を形成している。第二に、文化的な場があり、言語、教育、道徳と言った社会の基礎を形成している。第三に、貨幣的な場があり、会計や金融制度、為替制度などの土台を形成している。第四に、法的な場があり国家制度、国際制度、法体系などを形成している。第五に、組織な場があり、企業や国家、家族などの組織を成立させている。これは、経済単位の基礎を構成している。第五に、情報の場があり、情報網やインターネットなどを構成している。第六に、取引の場があり、市場を形成している。

 場は、存在物によって結び付けられている。存在物の位置と運動と関係によって、場は構成される。また、存在物は、事象として現れる。
 この様な存在物の位置や運動や関係は、認識の必要性から生じる。
 故に、場における事象は相対的なものであり、位置も運動も関係も相対的なものである。
 事象には、全体と部分がある。

 場の力の中で全体は構成される。場の力によって部分は、位置を与えられ、変化の力を与えられ、関係を作られる。
 
 空間の内部にある事象の全体は、全体を構成する部分の位置と運動関係によって成り立っている。
 場の力だけでは、個々の部分の位置と運動と関係を維持することは出来ない。全体を保存するのは、構造的作用である。

 たとえば、国家は、物理的な場、社会的な場、政治的な場、経済的な場、個人的な場から構成されている。これらの場を結び付けているのは、個人である。
 そして、国家を成立させているのは、法と制度と国民である。法は、場の力を作り、制度は、国家全体を作り、個人は、部分を構成する。この三つの要素が調和する事によって国民国家は成り立っている。この調和が崩れた時に、国民国家は崩壊する。







                    


ページの著作権は全て制作者の小谷野敬一郎に属しますので、 一切の無断転載を禁じます。
The Copyright of these webpages including all the tables, figures and pictures belongs the author, Keiichirou Koyano.Don't reproduce any copyright withiout permission of the author.Thanks.

Copyright(C) 2001 Keiichirou Koyano