74、変化は時間の関数である。



 変化は時間の関数である。

 経済統計は、基本的に時系列データである。
 なぜなら、経済の要は、変化にあるからである。

 なぜ、時系列分析をするのか。それは、時間の作用を明らかにし、将来の予測をすると同時に、適切な政策をとる事が目的である。

 時間によるバイアスとは、何らかの周期的働きを言う。

 時系列分析をする際、単純に時系列グラフにするより、散布図、相関図にした方が傾向はよく現れる場合がある事を留意する。

 統計データを分析する際、時間が陽に働いているか、陰に働いているかを見極める事が重要となる。
 時間が陽に働いている事がわかったら時間によるバイアスを何らかのフィルターによって取り除くことを考える必要がある。

 経済の変化を起こす要因には、第一に、人、第二に、物、第三に金がある。
 人と物とは、実質的な量であるのに対して金は、名目的な数、値である。

 人と物との変化は、有限である。しかし、お金の変化は無限である。

 「お金」の働きには、変化を増幅する働きと抑制する二つの働きがある。

 「お金」(貨幣)は、時間的変化を増幅させる働きがある。その為に、時間の働きによる歪も「お金」によって増幅される。この歪が経済を揺るがすのである。

 時系列分析には、第一に、物に対する時間的推移を分析する。第二に、人に対する時間的推移を分析する。第三に、「お金」の動き、貨幣価値の推移について分析する。第四に、総合的な観点から分析するといった四つの手段がある。
 第一の、物の変化とは、例えば生産に対する変化や供給に対する変化である。第二の、人に対する変化とは、消費の変化とか、人口の変化に関連して分析する事である。そのうえで「お金」の流れや価格の変動に基づく分析をし、最終的に総合的な判断をすべきなのである。そうしないとお金の動きに惑わされてしまう。
 なぜ、生産が物に対する分析かと言うと基本的に生産は、人と関係のないところで成り立つうるからである。それに対して、消費は、人がかかわらないと成立しない。即ち、人と物が経済の実体的部分を構成している。

 変化には、第一に、基礎的な変化。第二に、周期的な変化。第三に、定型的な変化。第四に、段階的変化。第五に、不規則な変化がある。
 変化は、合成する事が出来る。
 変化を合成する仕方には、加法的な事と乗法的な事がある。

 基礎的変動というのは、傾向変動とも言う。つまり、変動の基軸となる変化である。
 周期的変動とは、一定の周期、上下動を持った変化である。周期的変動には、長期、短期の期間が関係する。周期的変動は、基本的に回転運動や 循環運動の結果として生じる。
 定型的変動とは、単位期間に同じ形の変化を繰り返すような変動である。季節変動は、定型的変動の一種である。
 段階的変動は、成長段階とか、発展段階などにそって現れる変化である。ロジスティック曲線や成長曲線などで表される。
 不規則変動というのは、規則性のない変動を言う。ランダムウォークやホワイトノイズ等がその例である。

 時系列な変化には、波があり、波には、第一に、傾向的変化、第二に、周期的変化、第三に定型的変化があり、第四に段階的変化、第五に不規則な波がある。これら五つの波が合成されて景気の波を形成している。

 周期が生まれる要因には、決済(月給、納税、支払い等)による要因、生産による要因、消費による要因、季節による要因、投資による要因、技術革新による要因などが考えられる。

 経済は、生活のリズムに沿うように形成される。生活には、一日のリズム、一週間のリズム、一月のリズム、四半期・季節ごとのリズム、一年のリズム、一生のリズムがある。この様な生活のリズムは、時間的変化に周期的な動きをさせる。

 変化の基本は周期的変化である。この基本の変化に時間価値が掛け合わされる。
 人口は、短期的には定数である。長期的には傾向的変化を形成する。

 経済の変化は、生活のリズムによって生み出される。
 第一に、文字通り季節、春夏秋冬の四季の変化、天候の変化、寒暖の差等によって作り出される定型的変化がある。
 第二に、企業の活動習慣や会計制度、税制などによって作られる変化がある。
 第三に、例えば正月やクリスマス、ゴールデンウィーク、夏休み等といった社会習慣や宗教が作りだ効果がある。
 第四に、一日の生活、例えば食事や睡眠といった生活習慣によって作り出される変化がある。
 第五に、生活のリズムを作り出す要素に、カレンダー効果がある。カレンダー効果には、「曜日効果」と「休日効果」がある。

 生活のリズムというのは、例えば、三度の食事とか、休日といった事で物理的、あるいは人的な要件には大きな変化があるわけではない。食事も費によって倍も三倍も食べるわけではないし、年々、食事の量が増えるわけでもない。一日一人の人間が食べる量なんてそれほど変わらないのである。しかし、ここに「お金」が絡むと大きな変化になる。
 一日単位の周期で有名なのは、一日の電力使用量の推移である。電力は、大量の蓄電ができない。どうしても消費量の波に合わせて生産を制御する必要がある。消費は、その日の気温や天気に左右される。また、高校野球のような大きなイベントがあるとその影響を受ける事もあり、予測が難しい。しかも、発電量は、使用量の最大値に合わせて設定されなければならない。故に、電気の使用量を平準化するのが電力会社にとって重要な課題となるのである。

 故に、時間の経過は、自ずと経済の構造的変化を促す。

 時系列属性の違いだけでなく、空間的属性の違いがある。空間的違いとは、例えば地理的な違いである。







       

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