76、統計とは(統計を考える)


ベイズ統計


近年、ベイズ統計が注目されている。

ヘイズ統計とは、仮定、仮説に基づいて統計データを分析していく手法である。
科学一般に使われている手法、論理展開と変わりない。
ただ、最初に仮定、仮説に基づく、即ち、主観的だという事が既存の統計学者には気に入らないらしい。

その為に、従来は、ベイズ統計と既存の統計を対立的捉え、特に既存の統計側からベイズ統計は否定的に扱われてきた。
しかし、ベイズ統計と既存の統計は、必ずしも対立的な事ではない。

例えば、患者の症状から病名を特定しようとした場合、ベイズ統計のアルゴリズムは有効である。その場合、従来の記述統計に基づいた医療データを基礎とすることになる。既存の分析が是か非か、ベイズ統計が是か非かの問題ではない。
ベイズ統計といっても基本的にアルゴリズムの問題である。

客観的だから科学的で、主観的だから非科学的だというのは、偏見に過ぎない。

まず患者の症状から病気を予測する。その予測に基づいて血圧や体温、症状の変化などを記録し、そのカルテと学会に承認を受けた指標、基準と照らし合わせ事前の予測、確率を変更していき、最終的に病気を診断して、処方を決め治療を開始する。
ベイズ統計というのは、その時々の局面において従来の統計技術を活用しているのであり。ベイズ統計単独で成り立っているわけではない。ベイズ統計は、統計のダイナミックな部分を代表しているに過ぎない。

記述統計に対する出鱈目な教育は、ベイズ統計に対する正しい認識を妨げてもいる。
ベイズ統計は、従来の統計を否定するものではない。むしろ、相互に補完し、補強するものである。この点を理解しないとベイズ統計の健全な発展も望めない。

確率や統計というのは、いい加減なところがある。むしろいい加減でいいのである。厳密に計算したところで、百%なんてありえないのだからである。それが統計であり確率である。

例えば八十%の確率と言われても二十%は、外れるのである。二十%の確率が大きいか小さいかは、意見が分かれるところである。二十%の確率、三分の一より小さく六分の一より大きい。それをどう考えるのは、個人差がある。六分の一というのはサイコロの目が出る確率である。確かに、サイコロの目に賭けるのは、博打である。しかし、ばくち打ちにとって六分の一も出ればいい方なのかもしれない。いずれにしても百%ではない事は確かである。

統計や確率で主観的であるか客観的であるかを問うこと自体間違っている。それは認識の問題であり、相対的な事だからである。視点によって主観的にも客観的にもなる。それが近代科学の大前提だったはずである。
主観的であろうと、なかろうと、また、客観的であろうと、なかろうと統計や確率というのは、推定の学問なのである。
主観的だから不確かで、客観的だから確かだというのは、意味がない。統計や確率というのは、最初から最後まで不確かな事象を扱っているのである。







ベイズ統計
確率と統計
確率と統計(教育)



参照
「道具としてのベイズ統計」 涌井良幸著 日本実業出版


       

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