76、統計とは(統計を考える)


時系列分析は近似計算である。



一番活用される統計の一つが時系列分析であるが、統計分析の中で、一番異端的扱いを受けているのも、時系列分析である。

時系列分析は、原則的に近似計算である。
現象や動きを近似する事で相互の関係や変化の先を予測するのが時系列分析の目的である。
相互の関係や予測をするために、時系列分析の第一の目標は、変化の背後にある要因、背後で働く力の関係や構造を明らかにすることである。

時系列分析は、時間が陽に働く場合と陰に働いている場合の両面から検討する必要がある。
時間を陰にした分析に記述統計等の従来の統計、確率が基盤を提供する。

時間的変化の分散や偏差を測定し、その傾向を明らかにする。その上で変化を引き起こしている要因を探究するのが時系列分析である。その典型的な手法が回帰分析、重回帰分析、多変量解析である。

時系列における偏差というのは、変化の中心線からの距離を言う。中心線が平均を表している。中心線からの偏差は誤差の尺度にもなる。中心線は直線とは限らない。中心線は傾向を表している。

傾向線を表す回帰式には、直線回帰式、ルート回帰式、自然対数回帰式、分数回帰式、べき乗回帰式、指数回帰式、修正指数回帰式、ロジスティック回帰式、ゴンペルツ回帰式等がある。

時系列分析で特に注意しなければならないのは、時差である。
前兆的な動きと遅行的な動きは、変化がもたらす影響を考える上で重要になる。
何らかの前兆現象をとらえる事が出来れば、予防する事が出来るし、遅行的な現象を知れば備える事が出来る。
また、因果関係を知る手掛かりにもなる。

時差は、誤差に通じる。故に、時系列分析においては近似計算が有効なのである。

時間軸と言っても目的によって違いがある。例えば、医療でいえば、患者個人固有の時間、社会的に固定されている時間、統計データに基づく一般的時間などがある。また、単位の取り方によっても違いが出る。基本的にカレンダーに従って決まる単位時間、時計によって決まる単位時間、日の出日没等の自然現象に従って決まる単位時間、物事の順序に従って決まる単位時間などがある。

時系列分析は、傾向を調べる。傾向に基づいて個々の時点における増減、上下、強弱、速度などがある。基本的に個々の変化は、位置と運動と関係によって測られる。位置の基準は、高低や量。運動(働き)の尺度は、速度、強弱等であり、方向は、増減、拡大縮小、上下、左右などがある。時系列分析では、ベクトルが重要になる。

同時に個々の局面における様相も加味して考える必要がある。
経済成長ならば、個々の局面における人口構成、生産量、在庫量、消費量、需要と供給、物価といった要因が変化に対してどのような働きをしているか。また、時間が陰に作用した場合、陽に作用した場合とではどのような差が生じるかである。
経営ならば、収益と費用の関係、資産と負債、市場の状態等がある時点でどの様に作用し、また、変化に対してどのように対応していくかである。

変化には、周期的変化と非周期的変化がある。また、規則的変化と不規則な変化がある。
変化の方向には、発散型、収束型、平衡型があり、それぞれの傾向によって変化の次元が変わる。
量的変化は質的変化を伴う。



ベイズ統計
確率と統計
確率と統計(教育)



参照
「道具としてのベイズ統計」 涌井良幸著 日本実業出版


       

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