76、統計とは(統計を考える)



検定の種類


検定には、検定の目的やデータの数等によっていくつかの種類がある。絶対的な検定というのはない。検定の仕方によって資料の評価も変わる。
この点も確率や統計を学ぶ時に錯覚を起こしやすいところである。極端な場合、指導者によっても差が出るところである。

母集団の分布などのモデルを前提とした検定をパラメトリック検定と言い、モデルを前提としない検定をノンパラメトリック検定という。

Z検定は、正規分布を基とした検定であり、データ数が30以上ある場合の平均を検定する目的で行われる。
F検定は、分散を検定する際に使われる。
T検定は、Z検定と同様、平均の検定を目的としている。データ数が少ない場合、Z検定では精度が落ちるので、Z検定に代わって使われる。

母集団が正規分布していない場合は、マン・ホイットニー検定を行う。この場合は、平均値ではなく、中央値の差を検定する。

分布の形の違いを検定するためには、カイ二乗検定を用います。独立性の検定ともいう。
独立性の検定をする場合は、期待値を設定しておく必要がある。
カイ二乗検定は、理論的に導き出された期待度数と観察などによって得られた観察度数との違いの検定する場合に用いられる検定である。いうなれば予実績管理に用いられるものである。

滅多に起こらない事を検定する手段は、ポアソン検定である。
また、離散分布か連続分布かによっても検定は変わってくる。

この様に、目的やデータの数によって検定のしかたは変わる。

また、時系列データや相関関係を測定する手法として回帰分析や重回帰分析等があり、T検定やF検定は、その際にも用いられるが、時間軸を伴わない場合の検定とは意味が違う。

この様に検定も一様ではない。検定も目的やデータの状態によって任意に選択する必要がある。
また、同じ用語が本質が違う検定にも用いられているために、実際に検定をする場合や評価を下す際に目的や前提を確認する必要がある。

薬効の検定、品質の検定、死亡率の検定、人口構成の検定、経済の成長率の検定、宝くじの検定、野球の勝率の検定、大統領選挙の結果に対する検定、競馬の結果の検定、試験の合否の検定、テレビの視聴率の検定等、総てを一律に扱う事はできない。
統計や確率の目的は千差万別。目的によって検定の意義もやり方も変わってくるのである。当然統計や確率の教え方も目的に応じて変えるべきなのである。

統計、確率は合目的的な行為なのである。検定もまた合目的的な行為である。
検定は、結果よりむしろ考え方の方がより重要な場合すらある。




ベイズ統計
確率と統計
確率と統計(教育)



参照
「道具としてのベイズ統計」 涌井良幸著 日本実業出版


       

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