79、効 用



かつての実業家は、夢を語り、抱負を述べ、世のため人のためにと事業を興した。今の実業家は、金儲けばかりを語り、栄誉栄達を誇りとする。自分の利益ばかりを追い求めて公益など顧みようともしない。
親父たちは、功成り、名を挙げた者は、ことさら何が次世代のためになるかと腐心したものである。

世のため人のためなんてきれいごとだといわれ、人前で気恥ずかしくて言えない風潮に支配されている。正しい事を正しいと言えないのは臆病な証拠。
世のため人のためと堂々と胸を張って言える経営者はいなくなったのはいつの頃からだろう。
戦争に負けて、反権威、反権力、反体制を気取っていれば様になった。世を拗ね、悪ぶる事が意気だと思い始め。無軌道、無規律、不道徳、破廉恥こそ善だと学校で刷り込まれた。
正しい事を正しいと言ったところで偽善者だと罵られ、歴史や伝統なんて捨て去るものだと教え込まれた。

いつの間にか、恥を知る経営者がいなくなった。

人は自由意志によって働いているわけではない。必要性によって働いている。生きていく為に必要だから働いているのである。働きを具現化するのは、報酬である。

現代の経済は、価値を効用でしか測れなくなっている。

現在の社会は、年寄りを大切にしようとしない。年寄りを邪険にしている。
年寄りを大切にしようという動機は失われつつある。年寄りが経済的価値、効用を喪失してしまったからである。
経済的に見て年寄りを大切にしても何も社会的必要性を満たさないからである。年寄りは社会から必要とされなくなりつつあるのである。
なぜなら、年寄りは生産性のある仕事ができないからである。即ち、年寄りは報酬をもたらさないからである。
本来、年寄りを大切にするというのは、人として当然の道徳だった。年寄りを大切にしなくなったというのは、今日、道徳の根源が失われてしまいつつある証拠である。







       

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