62、陰と陽


経済には、相がある。
経済の相は卦によって表す事ができる。

経済には、陰陽の相がある。
経済には、柔と剛がある。
経済には、裏と表がある。
経済には、負と正がある。
経済には、減と増がある。
経済には、縮小と拡大がある。
経済には、デフレーションとインフレーションがある。

権利と義務、権限と責任は、個々別々に存在するのではなく。
表裏一体、権限と義務は、同じ事を視点を変えているに過ぎないという事を認識しておかなければならない。
権限と責任も同じ。
権利は陽で、義務は陰。
権限は陽で、責任は陰。

一陰一陽これを道という。
会計にも一陰一陽がある。
取引にも一陰一陽あり。
売りは陽、買いは陰。
貸しは陽、借りは陰。
収入は陽、支出は陰。
費用は陽、収益は陰。
利益は陽、損は陰。
物を受取る事は陽、物を払い出す事は陰。
拡大は陽、縮小は陰。
成長は陽、衰退は陰。
資産は陽、負債は陰。
実質は陽、名目は陰。
陽は実、陰は虚。
供給は陽、需要は陰。
生産は陽、消費は陰。

太極から陰陽が生じる。
太局は一、陰陽は二。
取引から売り買いが生じる。
取引から貸し借りが生じる。
取引は一、売り買いは二。
取引は一、貸し借りは二。

貨幣経済は対称性があり、この対称性が陰陽の相を作り出す。
その相によって景気を占う事ができる。
この様な景気判断は、霊感や直感による象ではない。科学的な位相である。

為替にも陰陽がある。
一方が上がれば、他方が下がる。
上昇は陽、下降は陰。
一方が陽なら、他方は陰。
自分が陽なら、相手は陰。自分が陰なら相手は陽。

市場には、人、物、金の過剰な部分と不足な部分があって、過剰な部分と不足している部分を均衡しようとする働きを原動力として成り立っている。
過剰な部分は陽となり、不足している部分は陰となる。
陰は、負を構成し、陽は、資産を構成する。

市場は、陰陽を認識する事ができなくなると陰陽の調和がなくなり、暴走する。

「お金」は、負から発生する。つまり、貨幣は陰である。
生産は、陽である。消費は、陰である。

「お金」は陽から陰に融通され。その「お金」の流れによって物も陽から陰へと流れる。お金と根のの引用を調和させる仕組みが市場なのである。
故に、市場には常に、人、物、金が陽と陰が混在していなければならない。
この様な、人、物、金の過不足は、差によって生じる。差が均衡している時は、人、物、金は円滑に循環するが、差が不均衡になり、市場に偏りが生じると市場は傾き、構造を維持的なくなる。
経済の根本は本来必要性に置くべきなのである。市場の陰陽は、必ずしも、人々の必要性を反映したものではない。
故に、陰陽だけに市場の動きを任せていると市場には歪が生じる。陰陽の歪みが市場経済にさまざまに障害を引き起こすのである。
市場には形があり、形は簡易である。市場には、変易な部分があり、不易な部分がある。
市場を動かしているのは陰陽である。

計画性というのは、生産や分配に直接介入する事を意味するのではなく。
仕組みを計画的に動かす、あるいは変化させることで市場の均衡を保つ事を意味する。

市場は何らかの形で常に陽な部分を抱えている。
陽な部分は、「お金」だけではない。人や物にも陽な部分がある。
人も、財も陽な部分と陰の部分が常にある。そして、陰陽を調和させるによって経済の仕組みは動いているのである。
人は、労働力と需要、消費を担い、財は、雇用と供給、生産を担い、「お金」は、所得と支出、投資を担っている。
そして、これらは各々の要素の陰陽によって機能している。
所得には、労働力と雇用が、支出には、消費と在庫が、投資には、需要と供給が対応している。
労働力の陰陽を調和させる為に財政投融資と所得の再分配があり、財の量の陰陽を調和させるために投資と在庫があり、「お金」の陰陽を調和させるために金融がある。そして、必要な資源が経済圏の内部で調達できない場合、経済圏の外から交易によって調達をして補う事になる。金融は、貯金と借金によって構成される。
需要と供給、労働と所得、生産と消費には偏りが生じると陰陽が乱れる。
例えば労働力が陽な地域なのに仕事(雇用)が陰。家が過剰なののに、買手がないといった事が往々に起こる。
陰陽を市場が適切に認知し、それに対する調節する機能が迅速に働けば問題はないが陰陽を調和させるのに、時間がかかったり、また、生産そのものが必要量を大幅に下回ったりすると市場は本来の働きを維持できなくなる。
金融は、基本的に人、物、金の陰陽を調和させる事を目的としている。この目的が失われると金融は、本来の働きができなくなり、「お金」の流通が制御不能に陥る。

金融は、「お金」の陰陽を補う事を通じて市場に「お金」を循環する役割を担っている。そして、陰陽を補う為に必要な手段が所得と借金なのである。

問題は、市場を動かしている陰陽は、必ずしも人々の必要を反映したものではないという事である。

人、物、金の陰陽は、必ずしも一体ではない。
人、物、金の動きは、必ずしも同調しているとは限らない。
人、物、金の様相は、必ずしも同相ではない。人、物、金の動きは非対称である。
人の陰陽、物の陰陽、「お金」の陰陽は、一様ではない。偏りがある。

ただ水が高いところから低いところに流れるような動きだけに依存していたら水は一意的に溜まり、水の動きは止まってしまう。
均衡と不均衡が存在するから、蒸発するから「お金」は市場を循環する事が可能なのである。

個々の取引は対象している。物と金の陰陽は同相である。
しかし、ここに人の働きが加わると対称性を維持する事が困難になる。

人、物、金の陰陽は、差によって生じる。差が均衡している時は、人、物、金は円滑に循環するが、差が不均衡になり、市場に偏りが生じると市場は傾き、構造を維持的なくなる。

家を多くの人が求めているのに、家を買うお金を持っていない。あるいは、市場の流通している家が少ない等という事は往々に生じる。

経済の根本は本来必要性に置くべきなのである。
しかし、市場の陰陽は、必ずしも、人々の必要性を反映したものではない。

「お金」の陰陽だけを問題にしていたら、物や人の陰陽を解決する事が疎かになる。
その結果、人口が減少に向かっているのに、家が過剰に立てられたり、市場が過飽和状態なのに、大量に生産された商品が供給され続け値崩れを起こしたりするのである。

故に、市場の陰陽だけに市場の動きを任せていると市場には歪が生じる。その歪みが市場経済にさまざまに障害を引き起こすのである。
人、物、「お金」の陰陽の歪を是正するのは、市場の形である。

景気は、市場の形と相として現れる。

計画性というのは、生産や分配に直接介入する事を意味するのではなく。
形を計画的に変化させることで市場の均衡を保つ事を意味する。

市場経済を考える時、借金がいいかどうかを問題にすべきではない。借金が正常に働いているかどうかを見るべきなのである。

借金が正常に機能しているかどうかを判断するためには、借金の働きとは何か。負債の効用とは何か。
それを明らかにする必要がある。

景気の相はどこにどの様に現れるか。

市場の表に現れるのは、損益、貸借、利益である。
市場の裏で動いているのは、キャッシュフローである。

経営がうまく機能しているかどうかは、経営の形と相から判断する事が可能である。
経営の相は、重層的に現れる。大切なのは形である。
問題はそうと形をどう関連付けてどう判断するかである。
それをこれから検討していきたいと思う。

至るを知りてこれに至る、ともに幾すべきなり。終わりを知りてこれを終わる、ともに義に存すべきなり。

経営には、相があり、相を顕わすのは卦である。

卦は数学である。

易に太極あり、これより両儀を生ず。両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。

卦は、六層からなる。
組み合わせには、いろいろな組み合わせが考えられる。目的に合わせて組み合わせを考えていく必要がある。
要素の数の組み合わせは、下から(一、二、三)、(二、二、二)、(三、三)、(三、二、一)等がある。

経営の卦は、陰陽の二進法であり、六を基本数としている。
陽は奇数、陰は偶数。
ちなみに、六は完全数である。
完全数とは、その数自身を除く約数の和が、その数自身と等しい自然数のことである。

選ばれた指標によって現れる相は変化する。

要素の象には、天・地・人。人・物・金、少・壮・老。フローとストック等がある。

卦は、六爻から構成される。
六爻は、少、壮、老の三段階を示す。
そして、始生、漸盛、旺盛、盛極、始衰、転復の位がある。
また、潜伏、顕現、成長、躍動、飛躍、充足の変化がある。

一元にして復た始まる。
物極まれば必ず返る。

六爻は、外卦と内卦に分かれる。
上卦と下卦の同じ位置にある爻が陰陽を異にするのを「応ず」と言い、同じくする相を「応ぜず」という。

内の三爻が貞、主で本卦、外の三爻が悔、輔で、之卦である。
一つの卦に複数の変爻が表れた時は、本卦を基礎とする。本卦は現状を示し、之爻は、趨勢を表している。
また、綜卦と錯卦も重要である。
変爻は、本卦の変易を表す。変爻は、本卦の過去・未来の形と相を顕わしている。

上爻は、事物の表象を映し、初爻は、事物の本質を象徴する。
事物の全体を知るためには、中間の四爻を通過しなければならない。

陽爻は、九、陰爻は六。

元・亨・利・貞。
仁・礼・義・智を四徳という。四徳は、元・亨・利・貞に通じる。
元は仁。亨は礼。利は義。貞は智。
利は義である。義を極めたところに利が生じる。義に反する利、利を得られない義は、真の利でも、義でもない。

表に現れる相は、変易であるが、元にある形は、不易である。相と形の関係は簡易である。

位・時・中を知る。

天・地・人の形でいえば、(二、二、二)の象をとり。
天とは時の流れ、人とは組織、地は、市場を表していると設定できる。
時の流れは、過去の実績と未来の予測とし。組織は、経営状態や産業の状態を意味し、貸借と損益と設定でき、市場は、日用品の市場の動向と資産市場の動向を設定する。
市場の動向とは、すなわち、成長市場か、縮小市場か意味する。
資産市場とは、地価の動向等を意味する。

人・物・金の形で占うならば、金は、金利や為替の動向を指し、人は、所得や生産労働人口を言い。物は、地価や物価の動向を指す。

フローとストックの二層で見ると上層部には、天は、総資本の相として現れ。人は、期間損益の相として現れ。地は、総資産の相として現れる。
下層部には、天は、財務キャッシュフローの相。人は、営業キャッシュフローの相。地は、投資キャッシュフローの相として現れる。

期間損益は、次の相から占う事ができる。
貸借には形があり、損益には相がある。

例えば、上爻を純利益の増減。五爻を粗利益の増減。四爻を収益の増減。三爻を資本の構成。二爻を負債の構成。初爻を資産の構成とする。

個々の相を主観、直感的な事ではなく、客観的、数値的な事に置き換える事で、易は、科学に変化させる事ができる。





参考文献
「マンガ易経」周春才作画、鈴木博翻訳 医道の日本社
「易経講座」安岡正篤著 致知出版
「人生に活かす易経」竹村亞希子著 致知出版社


       

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