57、市  場


現在の経済学者は、経済を知らない。
その典型的な事例が市場である。

市場は、一枚板のように一つの市場によって全体が構成されているわけではなく。
複数の部分を構成する市場が組み合わさって形成されている。
そして、部分を構成する市場には、個々固有の性格がある。
家具や自動車と言った耐久品の市場と食品やガソリンと言った消耗品の市場は、性格が違う。
耐久品の市場は市場が過飽和な状態に陥りやすいのに対して、消耗品は、常に一定の供給が要求されている。
更に、消耗品も、生鮮品のように商品が腐敗したり陳腐化する市場とガソリンとかガス、文房具といった保存のできる消品の市場とでは、性格が違う。
生鮮市場は、天候や収穫量によって価格が大きく変動する。
それに対して、保存がきく商品は、価格は、安定的に推移するが過当競争に陥りやすく利幅は低く抑えられる傾向がある。

市場の性格は、どの様にして形成されるのかを明らかにしていきたいと考える。

市場を構成する要素には、人的要素、物的要素、貨幣的要素の三つがある。
個々の市場の性格は、人的要素、物的要素、貨幣的要素の持つ各々の構造による働きが複合されることによって形成される。

冒頭に述べた市場の性格は、主として物的な要素によって形成される。

市場の働きは、価格に集約される。価格は、需給関係によって形成される事を原則とするが、一律に需給関係を規定することはできない。各々に供給側と需要側の内部状況や構造に違いがあるからである。
価格は、供給者側の都合によるのか、需要者側の都合によるのか、それによっても市場の性格は変わってくる。

例えば、電力は、設備投資が巨額にのぼり、それだけ固定資産の負担が重くなる。そのために、長期間をかけて資金を回収することになる。価格を下方硬直的にする傾向がある。ただ、償却費が過大になる為、乱売合戦に陥る危険性が高く、一度、過当競争に陥ると財務内容を劣化させる。

そのために、何らかの規制が市場にかかっている事が常態である。自由化と言っても限度、限界がある。

又、住宅市場にも独特の性格が見られる。
住宅市場は、投資額が大きくなるため、貸借関係が鍵となる。
経済を考える上で、住居にかかる支出をどの様に考えるかが一つの鍵となる。
家賃、住宅ローンの月々の返済額が、収入に占める割合がどの程度になるかは、可処分所得を考える上で重要な点である。
住居に関わる支出は、固定的な支出となる。また、住居に関わる支出は、必需的支出であり、なおかつ、一定、固定的支出である。又、長期的資金を形成する。

住宅の支出を考える上で重要となるのは、物を借りるか、金を借りるかである。賃貸として家を借りる場合と、お金を借りて家を買う場合の違いである。ここに経済に対する根本的な認識の違いがある。

つまり、アパートを借りて家賃を払うというのは、物を借りることで、物の制約を受けても資金に拘束されることはない。それに対して、住宅ローンを組んで家を買うと言う事は、「お金」を借りて物の所有権を得ることで、物を自由にすることができても、「お金」に拘束されることになる。
貨幣経済の本旨は、後者即ち、「お金」を借りて月々の返済をさせる事にある。ところが、借入金の返済は名目的な支出であるから「お金」の循環が悪くなると途端に借り手の収支は、生活を圧迫する。
又、一定期間、一定の金額を固定的に支出することが予め仕込まれていると言う事は、収入の性格や構造にも影響をする。つまり、支出の鏡として一定期間、一定の最低額を固定的に収入することが裏付けられていなければ成り立たなくなる。これが物を借りることとの決定的な差である。賃貸住宅に住む者は、名目的経済と実質的経済の整合性がなくなれば、実態に合わせて家を借り換えれば良いからである。
同時に、借入金による収入は、金融機関に対する定期的な返済資金の流れを構成し、ストックとなる。
つまり、短期的な資金の働きと流れ、長期的な資金の働きと流れの均衡がなければ成り立たなくなる。
又、先にも述べたように住宅に関わる支出は個人所得の性質と密接な関係があり、雇用状態と雇用の質が鍵となる。





       

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