33、等差数列、等比数列



表面に表れる経済的事象というのは、極めて不規則で予測がつけにくい事象が多い。
しかし、経済的事象は予め一定の規則に従って生起している事象が殆どである。
その点を考え、個々の事象の差を比較してみると背後に隠されている法則が見えてくる。
実際は、比較的単純な法則に基づいている場合が多い。

そして、経済的事象は、予め定められた規則に従って時系列的な数列として表れる場合が多い。
その数列の性格を解析すれば、経済的事象は、予測する事か可能だと考えられる。

数列の性格を知る鍵には、分散と誤差にある。
分散や誤差というのは、平均からの差である。

一見何の規則性もない数の集まりに見える事でも差をとってみるとそれまで隠れていた規則性が表れてくる事がある。特に、正規分布が隠されている場合が多くある。
この規則性こそが貨幣経済の本質を現している場合がある。
現状把握し、予測を立てるためには、背後にある関係を知る必要がある。

基本となるのは差である。

貨幣経済下における事象は、数列に置き換える事が出来る。
数列というのは、一定の規則による数のならびである。
一定の規則が見当たらない数の並びは、基本的には数列とは言わない。

表に現れる値は、ランダムでも、その元となる数式は一致している。
規則性は何も表面に表れた値だけに求められる事ではない。
その背景にある数式からも求める事が出来る。
なぜならば、数式は値を生み出す仕組みだからである。

経済的事象の新しい概念を生み出すのは方程式である。
貨幣経済では、経済的概念は数式として表される。数式には恒等式と方程式がある。
数式では、変数は文字によって表現される。

名目的事象や空間の下地は、数列を使う事が出来る。
その事によって名目的事象や空間は、数列によって表現する事が可能となる。

座標軸は数列として見なす事が可能である。

名目的事象は、金利計算や収益率の計算、つまりは、お金の単位を基軸とした事象である。
実質的事象は、市場取引によって決まる。市場では、必要とするから価値が生まれるのである。

名目的空間は、等比的基軸によって構成される。即ち、対数的変化を基礎としているのである。

数列では基本となるのは、等差数列と等比数列である。
等差数列は、単利的な数列である。
等比数列は、複利的な数列である。
等差数列は、算術級数であり、等比数列は幾何級数である。

等比数列は、指数的数列である。
指数的変化は、一定の期間を経過すると爆発的な変化に変質する傾向がある。
経済現象を考える場合、この性格をよく認識しておく必要がある。

物事には、算術級数、即ち、等差数列的な出来事と幾何級数、即ち、等比数列的な出来事の二つがある。

数列は変化を表す。
変化を等差的な変化とするか、等比的な変化とするかによって変化の有り様は随分と違ってくる。
変化量なのか、変化率なのか。

数列は、空間の性格も左右する。

この場合、重要になるのは、差に基づく数列か、比に基づく数列かである。
つまり、等差数列的空間か、等差数列的空間かである。

実質的事象は、名目的空間を下地にして成立する。
実質的事象は、算術級数的事象である場合が多い。それに対して、名目的空間は、幾何級数的空間である場合が多い。
この歪みが経済を混乱させているのである。

実質的空間は、物質的空間である。
生産や消費自体は、実際の需給関係に制約されている。

それに対して貨幣価値は、実体から掛け離れて存在している。
そして、単位期間の変化の積として表れる。その結果名目的価値の変化は、比を元とした数の並びになるのである。
この様な貨幣価値の変化は、等比数列を軸とした空間を元とする。

名目的数列の単位は貨幣単位である。
貨幣の変化は、時間価値を基礎としている。故に、幾何級数である。
名目的数列の基軸は等比数列である。
これは、名目的空間が基本は等比数列である。
つまり、名目的空間というのは複利的空間を構成する。

等比数列が形成する空間には密度の変化がある。

経済における名目的変化は幾何級数的変化になる。
故に、相乗平均が有効となるのである。

経済を動かす原動力は、空間の歪みや偏りから発生する。

無限や極限が経済的事象で有効なのは、経済主体や経営主体が継続を前提としているからである。

変化は線型的なものに還元される。そして、経済ではベクトルが重要となる。

経済を考察する上で鍵を握っているのは、変化である。
変化は時間の関数である。
変化は、固定的部分と変動的部分に分割して考察する事が可能である。

運動は連続した何らかの力の働きによって引き起こされると考える事が出来る。力の働きの方向と量が解れば、一定時間が経過した時点の位置を予測する事がある程度可能となる。一定時点の力の働きの量と方向を特定するためには、その時点における働きを数式に置き換え直線的に見えるようにする事が有効である。直線を表す数式は一次式である。つまり、変化を、連続した一次式を平均する事で変化に作用する力の働きを解析する事が可能となるのである。解析とは、対象や働きを細かく分解してその対象や働きを構造を明らかにする事である。
変化を小さな変化の集合として捉え、小さな変化を起こしている力の構造を明らかにする事で、経済の変動を制御する事が可能とするのが経済学の目的の一つである。

小さな変化を解析する手段としてベクトルや線形代数、微積分は有効な手段である。

ベクトルを構成する成分は、複数の元からなる一組の集合と見なす事が出来る。
元は、定量的なものと定性的なものがある。

ベクトルの次元とは、幾つかの数を組にしたものである。
ベクトルの中の一つ一つの数をベクトルの成分という。
数の元となる対象は、何らかの共通の要素を共有している事を前提としている。

個別の要素は幾つかの数の集合と言える。
個人も一つの要素と言うだけでなく、身長、体重、年齢、誕生日、所得、家族の数といった数値の集合として捉える事が出来る。
また、質的なデータとしては性別、血液型、出身地、資格等がある。

会計的事象は、ベクトル空間である。
関係の基本は、比例関係であり、中でも正比例、反比例である。
どんな複雑な動きでも比例関係にまで還元できたら方向性や力の度合いが見えてくる。
それがベクトル空間であり、線型関係である。

連続した小さな変化から働きの方向や量を割り出そう為には、平均変化率を導き出す事は有効な手段の一つである。平均変化率を導き出す手段の一つが微分である。

鍵を握っているのは漸化式である。漸化式が一次式かどうかが重要なのである。






       

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