経済の現状

日本経済の現状について

11 我が国がとるべき施策


問題は、20年以上も総所得が停滞している事なのである。
総資産を改善する為には、収益力を回復させ、民間投資を活性化させる事である。
収益力を回復する為には、無原則な過当競争を抑制する事であり、民間投資を活性化する為には、資産価値の水準を上昇させる以外にないのである。

現代の日本経済の問題を箇条書きにすると次のようになる。

第一に、所得が伸び悩み、消費活動が活発化しないという点である。
第二に、地価の下落が下げ止まらない為に、資金が建設的な投資に向けられず景気の足を引っ張っているという点である。
第三に、高齢化が進み。人口構成に歪みが生じている点である。
第四に、財政赤字によって金融政策が機能不全に落ち居ている点である。
第五に、税制が時代の変化に適合していないという点である。
第六に,民間や金融機関に資金が滞留し、市場に資金が循環していないという点である。
第七に、付加価値が喪失して所得が改善されないという点である。
第八に、過当競争によって市場が荒廃し、規律が失われているという点である。

現代の日本で景気が浮揚しない原因は、総所得が伸びない事にある。

総所得を伸ばす為には、個人所得を増やす必要がある。
単に所得が増えればいいというのでもない。実質的に消費に寄与する所得が増えないと景気は活性化しない。大事なのは可処分所得である。
この点は、家計も財政も同じである。

借金の返済は変わらないのに、可処分所得は減って、物価は上昇する。
しかも、増税や医療費等の負担が増加している。
消費税は可処分所得を圧縮する要因である事を見落としてはならない。

成長だけが経済にとって良いとは限らないが、それでも,20年以上も総所得が停滞しているという事態そのものが異常である。
少なくとも、量的拡大が望めなくても質的な拡大を計る必要がある。

総所得が健全な状態にならないと経済は健全さを取り戻せない。これが、経済政策を立てる際の前提である。
総所得というのは、付加価値を言う。企業会計では粗利益に相当する。付加価値を表しているのは、総所得以外に総生産、総支出がある。
付加価値を構成する要素は、金利、地代家賃、人件費、減価償却費、利益である。これらの要素が改善されないと総所得は健全化できない。家計は、所得から、法人は、利益から税金が支払われることになっている。
総所得が一定の場合は、結局は取り分の問題になる。つまり、人件費を上げても全体の量が変わらなければ、他の要素、金利か,減価償却費、地代家賃、利益のいずれかを削らなければならなくなる。その中で利益以外は、外生的な要因であるから,結局利益が圧迫される。
その現れが、法人の七割以上が赤字に陥り、税金を納めていない。
さらに、今はゼロ金利である。要するに、多くの法人は、金利と税金を納めないことで資金を繋いでいる状態なのである。この様な状況を改善しないかぎり、総所得の改善を期待することは出来ない。

個々の要素を無理矢理変えても総枠が変わらなければ配分を変えるだけになる。
大手企業の人件費を上げても費用が増大するだけに終われば、大手企業の人件費の枠、即ち、全体に占める割合が増えるだけで、他の要素、例えば、中小企業の人件費の割合を下げるか、利益を圧迫するかに終わる。
重要なのは、付加価値全体を質的、量的に変える事なのである。

所得の総量が変わらなければ朝三暮四にしか過ぎないのである。

総所得の総枠が改善されなければ、結局格差を広げるだけに終わる。
現実に大企業と中小企業の格差は広がり、個人事業や町工場は経営が成り立たない所まで追い込まれている。
個人商店は淘汰され、シャッター街が激増しているのである。(10-1)

街という生活の場が枯れつつある。

消費者は生産によって所得を得る生産手段は、労働と資本である。
消費と生産手段が結びつかないかぎり所得は増えない。
特に、労働と消費が結びつかないと総所得は増えないのである。

消費だけを目的とした投資は、所得の改善には寄与しない。
所得は、生産手段に対する対価である。つまり、所得に直接関わるのは消費ではなく生産である。故に、所得を改善するためには生産手段に対する投資である。

投資した資金を回収し、再投資するという過程が資金を循環させる。投資、回収、再投資の回転の過程で付加価値は生み出されるのである。
支出は生産に結びつく事で資金の循環運動を起こす。生産に結びつかない消費は、一方向的な資金の流れしか作らない。
生産に結びつかなければ、付加価値は生ぜず所得は増えない。

所得の再分配は、所得の総量を増やすわけではない。
それが高齢者問題の根本にある。

家計投資の典型は、住宅である。
ローンで住宅を買っても、支出は増えても、所得が増えるわけではない。借金が出来ただけである。借金は、将来の所得を担保しているのである。
つまり、借金は将来の実質的所得を減らす働きがある。

公共投資や家計投資をいくら増やしてもそれが生産手段に結びついた投資でない限り、一時的に所得を改善することはできても持続的に所得を改善することにはならない。
家計も公共も最終消費を構成するのであって生産的ではない。又、金融は、お金の流通に関わっているのであって金融投資も生産手段に直接結びついているわけではない。

第一、付加価値は、投資に関連した要因である事を見落としてはならない。生産的投資に結びつかないかぎり、景気はよくならない。

生産的投資を担っているのは、民間なのである。
民間企業の投資が活発化しないかぎり総所得は改善されない。
その原因は、現在の市場経済の構図にある。
日本の中小企業は、土地を担保にして資金を金融機関から調達し、その資金で設備投資をして収益の中から投資した資金を回収してきた。その過程で、人件費,金利,償却費等の付加価値を生み出してきたのである。
故に、付加価値を量的にも質的にも改善するためには、民間投資を活性化する以外に打開策はないのである。そして、付加価値の総量を拡大するためには、民間の設備投資を増やす以外にない。
民間の設備投資を改善するためには、資産の流動性を高め、担保価値を上げるしかないのである。少なくとも地価の下落を止める必要がある。


図 11-1

事業所統計調査 事業所・企業統計調査 経済センサス 総務省統計局
単位 千



       

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Copyright(C) 2015.3.10 Keiichirou Koyano