業界毎の産業構造を分析し、最後にあるべき姿を模索したいと思う。
 業界毎の現状を分析するにあたり、次の要素を検討したい。まず、分析をする上での前提条件を確認し、業界を内的要因と外的要因に分けて考えることとする。

 前提条件には、第一に、分類基準、第二に、産業の定義、産業の単位の定義、第三に産業の範囲などがある。また、産業の場や段階、階層などの前提条件も必要に応じて定義する。
 また、外的要因には、第一に、外部環境、第三に、地政学的要因、第四に、歴史的要因、第五に、制度的要因(法制度、会計制度、国家制度、金融制度、為替制度等)、第六に、政治的、政策的要因などがある。
 内的要因には、第一に、経済における機能・前提条件、第二に、形態的構造(市場形態、産業形態、販売形態、企業形態、労働形態)、第三に、物的構造、物的条件、第四に、会計的構造(貸借、損益、原価、キャッシュフロー、資産、費用等)がある。物的条件とは、設備や財の物理的条件などである。

 産業の定義及び分類は、経済と産業の相互関係、構造を明らかにするという当初の目的により、経済体制に対し個々の産業が果たす機能に基づいて基準を設定する事とする。

 産業の範囲を特定する場合、多くの産業においては、明確な境界線によって産業の範囲が区切られているわけではない。いずれの産業にも灰色の部分や他の産業と重複する部分が含まれているのが通例である。故に、産業の範囲を確定するのは、あくまでも、産業の性格や構造を明らかにするという目的に沿って行うこととする。

 外的要因は、個々の産業と言うよりも産業一般に共通した事項が多く含まれるため、都度必要に応じて取り上げることとする。

 例えば、産業の実体を解析すると次のようになる。
 まず第一に、産業の定義である。産業の定義である。産業の定義とは、該当産業が何を製造し、それをどの様な形態で消費者に提供しているかによる。
 第二に、目的と機能を明らかにする。該当産業の産業としての目的と社会的経済的働きを明らかにする。
 第三に、産業の範囲を特定する。産業の範囲を特定するとは、産業の階層や空間を明らかにする必要がある。
 そして、第四に、産業の構造を明らかにする。
  産業構を造形成する要素の第一は、商品特性である。次ぎに、産業構造。第三に、市場構造。第四に、原価構造。第五に、損益構造。第六に、貸借構造である。貸借構造は、資産構造と負債構造、資本構造からなる。
 更に、歴史的前提、地理的要件、環境と前提条件がある。そして、重要な要因・要素には、会計的要因、法制度的要因、規制的要因、制約要因、地理的要因、物理的要因などがある。その上で、現況を明らかにして、今後の展望、即ち、在るべき姿を確立して、対策を明らかにするのである。

 第一の商品特性とは、産業を成立させる上で影響を及ぼす財の性格をいう。
 商品特性には、第一に、耐久性。第二に、必要性。第三に、保存性。第四に、希少性。第五に、財の外形。第六に、財の製造形態。第七に、用途。第八に、価格特性などがある。

 耐久性とは、基本的に財の寿命をいい。耐久財、非耐久財、消耗品などがある。

 必要性というのは、財の必要度をいい、生活必需品と嗜好品、贅沢品の別がある。

 保存性とは、保存ができるかどうか。また、保存ができるとしても、保存の手段、保存の費用はどの様なものなのかという事によって区分される。例えば生鮮品と言ったものである。

 希少性とは、一般的なものか、特殊なものか、希少なものかによって区分される。空気は重要だが希少なものではない。日本人は、水と安全は無料だと思っているといわれるが、砂漠では、水は貴重な物資である。また、旱魃の時も、水は、貴重である。また、離島でも水は貴重である。水の価値は、その用途や状況によって希少なものにも、一般的なものにもなる。

 財の外形は、気体、液体、固体の別がある。また、固体も無機的な物と有機的な物がある。また、無機的な物には、機械、部品、用品、素材と言った別がある。

  製造には、農産物、漁業、装置産業、加工品等と言った別がある。

 用途には、工業用か、家庭用(生活関連用品)かの別がある。家庭用ならば、衣・食・住と言った区分がある。また、消費財、非消費材の区分がある。

  
 価格特性とは、価格特性価格を決定する要素となる特性、要件をいう。価格特性には、第一に、地理的要件。第二に、地政的要件。第三に、天候的要件。第四に、工程的要件。第五に市場的要件などがある。

 商品特性は、産業の性格の基礎を形成する。

 :経済が正常に機能しないのは、家計も、財政の、企業も適正な収益をあげられないからである。中でも大切なのは、企業の収益性であり、企業の収益性は、企業の果たす社会的働きや責任から計られるものでなければならない。ところが、競争や生産性ばかりを基準にして企業の社会的役割が見落とされている。その為に、環境や雇用は悪化するばかりである。

 現在の会計制度は、教条主義的、規範主義的になりすぎている。会計基準、会計規範ありきではない。会計制度は、結果を計ることに目的があるわけではなく。産業の公正さを維持するためにあるのである。

 産業は偶然に形成されたものではない。産業の社会的な役割や機能に基づいて、産業構造や市場、会計制度は設計されるべきものである。利益は、結果ではない。利益はあげるものである。正常な経営活動によって利益が上げられなくなれば、それは産業や市場、会計構造のどこかに歪みが生じているのである。
 その歪みを是正しない限り経済は健全な姿を取り戻せない。



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