インフラストラクチャとは、生命線、ライフラインを意味する。生命線にもいろいろある。特に、産業の生命線、家計の生命線、国家、財政の生命線と経済単位を成立させる基盤としての生命性が、経済体制にとっては重要である。

 インフラストラクチャーは、広義では、物的経済、人的経済、貨幣的経済、各々の基盤にある。例えば、人的インフラストラクチャーは、教育や法、制度、治安、防災、医療などである。また、貨幣的なインフラストラクチャーは、金融制度を言う。
 つまり、インフラストラクチャーとは、社会を社会として成り立たせている基盤的要素である。

 インフラストラクチャーに関する課題は、経略の根源に関わる課題である。戦略には、経略、政略、軍略があるが、中でも経略は、国家が存続するための根源にある基礎的な戦略、構想である。その経略の基礎にあるのがインフラストラクチャーである。なぜならば、インフラは、国家の生命線を握る事柄だからである。

 物的なインフラストラクチャーの第一は、交通、通信といった社会資本にかかわる分野である。第二に、ライフライン、即ち、エネルギー分野である。第三に、貨幣にかかわる分野、金融にかかわる分野である。

 インフラストラクチャーとは、社会の基盤を指して言う。その意味でインフラストラクチャー産業とは、社会資本にかかわる産業とも言える。社会資本とは、狭義で言えば、第一の分野を指して言い。広義で言えば、第二の分野を加えたものや、更に、第二、第三の分野を加えたものをいう。

 いずれにしても、社会の基盤を形作る産業である。故に、公共性の高い産業、準公共事業と見なされる場合もある。それ故に、必然的に、規制の厳しい産業である傾向がある。同時に、国家戦略や世界戦略に関わる事も多々ある。それだけ、政治的影響力の強い、又、政治的な介入を受けやすい産業である。この分野を国営としている国も多くある。

 インフラストラクチャーを形成する産業の多くは、ネットワーク構造を持つ。例えて言えば、鉄道が好例である。また、ガス、水道、電気、石油、道路、海運、航空、運河、通信など典型的なネットワーク産業である。

 ネットワーク産業の多くは、このネットワークを維持するために、莫大な費用がかかる。

 ネットワークとは、点(node)と線(edge)の集合である。

点と線といってもいろいろなものがある。有形なものもあれば、無形なものもある。無形な線の中には、ある種の関係や働きを意味する場合もある。
 点、又は、拠点というと電力ネットワークなら発電所、変電所などで、交通ネットワークならば空港、港、都市、駅といった拠点である。線というと電力ネットワークならば、送電線、ガスならば、パイプライン、交通ネットワークならば、道路、鉄道、航路などである。

 点の機能と線の働きが重要になる。点の機能には、中継、選別、蓄積、発信、記録、保存などがある。特に、ハブとしての機能を果たす拠点が最近注目を浴びている。

 また、ネットワークには、第一に集権型、第二に、分権型、第三に、分散型があり。多くのネットワークは、分散型である。

 社会資本に関わる産業の基幹企業は、いずれも、大規模な設備を必要とし、その為に、巨額の設備投資を必要としている。その為に、川上産業は、独占的、寡占的体制になりやすい。独占も、電力や都市ガスのように地域独占的体制になりやすい構造を持っている。

 それは、巨額な設備投資を必要としている上に、設備の維持、点検に、長期間、経常的な費用がかかる。生活や物価に直接的な影響を与えると言ったことが原因である。

 経済とは、日々の営みに必要な財を生産し、分配し、消費する過程である。故に、生命線、ライフラインと言われるインフラストラクチャーが基礎となるのである。

 生産者と消費者が一体である場合、市場経済も貨幣経済も生じない。即ち、生産と消費の間に経済があると言っても過言ではない。生産と消費の間に、市場や貨幣が入り込むのである。それが、市場経済や貨幣経済の特徴である。故に、経済構造を明らかにする場合において生産と消費の過程にある構造に分析する必要があるのである。

 生産者、製造者から中間の媒体や市場を経由せずに直接提供される場合がある。それは、インフラストラクチャーに関わる産業にも多く見られる。インフラストラクチャーでは、それが可能なのである。特に、エネルギー産業に置いては、顕著である。その場合、生産者と消費者との距離が重要な意味を持つ。つまり、生産者と消費者との距離が費用を生み出すからである。



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