資産の概念は、近代経済の根幹をなす概念であり、資産という概念が確立されることによって近代経済は、花、開いたとも言える。つまり、資産概念の確立こそが近代経済を確立させたのである。

 資産会計の要点は、減価償却思想にある。そして、在庫の評価にある。これらは、いずれも資産評価の問題であり、時間の要素が重大な影響を与えている。

 減価償却の理念は、収益概念を確立し、期間損益計算を可能として、多額の資金調達の道を開いた。同時に、収支と損益とを分割したのである。収支と損益が分離したことが資本を成立させる布石となったのである。期間損益計算が可能となったことが資本概念を成立させる契機となったのである。つまり、減価償却は、近代会計の基礎を成立させると同時に、資本主義を成立させるための条件を整えたのである。

 収支と損益の分離は、結果的に、貨幣価値、市場価値と資産価値の分離を引き起こす。企業業績は、損益をもって判断される。しかし、実際に企業を動かしいるのは、資金である。後で述べるように、この貨幣価値と資産価値との分離がいろいろな問題を引き起こすのである。

 資産というのは、財産である。資産というのは、市場価値のある、有形、無形の物や権利である。資産は、物的な元手である。貸借対象上で言えば、貸方にあって、資金の運用や使い道を現す。資金調達の裏付けでもある。それが、含みや不良債権の種にもなるのである。

 会計学的な資産の定義は、収益獲得能力とされており、第一に、経済的効益の帰属性と第二に、貨幣的測定性を実現する必要があるとされている。
 経済的効益の帰属性とは、第一に、現金や預金、土地、建物などの所有権。第二に、売掛金や受取手形などの請求権。第三に、機械、設備や借地権のような使用権。第四に、営業権や特許権などの独占的超過収益力を指して言う。

 企業を動かす為には、資金が必要である。資金の調達は、投資か、借金か、収入かによるのである。また、資金を調達するためには、何等かの裏付けが必要である。その裏付けが、資産であり、収益なのである。つまり、資産は、資金調達のための裏付け、担保という機能がある。

 名目的な景気は、期間損益によって影響されるのに対して、実質的な経済の動向は、資金の動きと財の動きに左右される。そのために、表面の現れる景気と実際の資金の動きの動きとの間にズレが生じる。

 本来ならば、資金収支に基づいて成果を評価すればいい。それが現金主義である。現実に今日ではキャッシュフローが重視されるようにはなってきた。しかし、いまだに、企業業績を測る基準は、期間損益である。なぜならば、資金収支には、ムラがあるからである。多くの産業は創業時における初期投資として多額の資金を必要とする。それに対し、資金の回収にはかなり時間がかかる。この様に、投資と投資の結果、費用と効果との間には、時間差がある。そうなると資金収支だけでは、企業の実態を正確に知ることができない。そこで考案されたのが期間損益である。ただし、投資と成果、費用と効果の間にある時間差を調節しなければ期間損益が導き出せない。そこで考え出されたのが、減価償却なのである。減価償却の概念が導入されることによって期間損益を計算することが可能になったのである。しかし、減価償却の計算方法によって利益の幅に大きな差が生じることになる。それが企業業績や株価に重要な影響を与える事となる。
 現在でも減価償却の計算の方法には、定額法、定率法、生産高比例法、級数法と多くの計算法がある。しかも、どの計算方法を選ぶかは任意なのである。ここに固定資産会計の多様性の一因がある。

 元々は、資産は、貨幣によって購入される。つまり、貨幣価値を大元にある。資産会計というのは、貨幣資産から非貨幣資産の変換過程なのである。そして、貨幣性資産に近いほど、つまり、換金しやすい資産から流動性が求められる。

 簿価と時価は、資産を取得した瞬間から乖離しはじめる。これは、簿価が歴史的原価(Historical Cost )呼ばれるように、取得した時点での貨幣的価値を現すのに対し、時価が、その時点、時点での市場価値を現すからである。これは、時間の経過に従って資産価値が変動することを意味する。

 資産は、換金のしやすさの度合いによって、つまり、支払い能力によって流動資産と固定資産に分類される。

 又、貨幣性資産と費用性資産に分類される。費用性資産というのは、将来費用化される資産を指して言う。固定資産の中にある費用性資産は、不動産を含める場合もあるが原則的に償却資産を指して言う。

 減価償却というのは、費用対効果を期間損益計算に按分することを目的としている。それに対し、利益や配当、金利は、資産の時間的価値を言う。
 償却という時間的配分と、利益、配当、金利という時間的価値の二つの時間的概念が会計制度の中に取り込まれたことによって資本主義経済は確立されたのである。
 同時に、簿価と時価の乖離という厄介な問題も持ち込んだのである。

 簿記的には、財には、時間の経過に伴って減価する物、価値が上がる物、価値が変わらない物、価値が消滅する物などがある。固定資産の中でも償却資産は、減価する。又、同じ固定資産でも不動産は、価値が時間と伴に変動する。また、貨幣性資産は、貨幣価値は変わらない。
 財の価値ほど評価が定まらない物はない。初鰹というように、時期や季節に左右される物もある。とにかく初物は、高いという物がある。最新流行の品は値が張る。かと思うと、骨董品のように古いが故に、価値が出る物もある。ちょっと傷が付いただけで価値がなくなるものがあれば、腐る物もある。石油のように、保存や備蓄がきく物もある。又、産地によって価値が違う物もある。不動産のように一物五価という財もある。
 価値の評価に、主体的なものであり、個人差もある。目新しい物に価値を見出す者もいれば、ブランドに目がない者もいる。珍品、珍しい物をありがたがる者もいる。逆に、どんなに、思い出の品と言っても買い手が付かなければ無価値なものになる。先に、値上がりすると思えば価値が出る物もある。それは、買い手の思惑が価値を作るのであり、財そのものは、ただの紙切れである場合もある。
 いずれにしても価格差が、価値を生み出すのであり、価格差は、時間の距離の主観的関数なのである。

 資産は、一旦換金しなければ、市場で運用することができない。故に換金しやすさによって流動性の度合いを測るのである。それが流動性の問題である。

 近代経済、そして、その基盤の会計制度の問題点は、資産の貨幣的な価値を正確に測定できない点にある。貨幣的な価値というのは、市場的価値である。逆に言うと、それが正確に測定できないから市場は成り立っているとも言えるのである。つまり、収支と損益との乖離と時間差によって利益が上がるとも言える。その典型が金利によって収益を上げている金融機関である。

 問題は、資産価値と貨幣価値、市場価値の乖離である。資産価値と貨幣価値は、期間損益と資金収支から生じる部分がある。又、資産の貨幣価値、市場価値は、時間によっても変化する。この時間的価値には、金利が重要な役割を果たしている。

 含み資産も不良債権も、同根の問題である。含み資産をあてにした経営は、常に、不良債権の危険性を孕んでいる。それは、同時に景気動向に組み込まれる。

 固定性資産は、流動性に乏しい。しかし、実際に経営に必要なのは、資金である。従業員に賃金を支払うにしても、日々の経営活動を円滑に行うにしても、いくらかの現金を必要としている。その為に、固定性資産を裏付けにして、流動性資産を調達するのである。そうなると、固定性資産の貨幣価値が重要となる。この貨幣価値が明確でない。明確でないが故に、いろいろな問題が生じる。しかも、時間的に激しく変動を繰り返す。時価と簿価の乖離、更に担保価値との乖離が資金調達に重要な影を落とすのである。それが、現実となったのが含み損益である。固定資産の時価価値が上昇していれば、含みが増大する。しかし、それは事業継承の時に時限爆弾のように破裂して、企業の存続を危うくする。また、固定資産を流動資産に置き換える過程で生じた担保価値が、固定資産の時価価値の低下によって減少すると不良債権化する。それが不良債権と含み資産の原因である。

 個々の企業の流動性や資金調達力、支払い能力は、市場の流動性や設備投資などに影響を与え、それが貨幣の動き、ひいては、景気を左右する原因となる。インフレやデフレは、基本的には貨幣の振る舞いであるから、インフレやデフレの一因とも言える。

 また、貨幣性資産と費用性資産対する分類、そして、流動性資産と固定資産との分類の在り方は、資産の性格を象徴している。前者は、資産を貨幣的な物と実物的な物とに分類することであり、後者は、支払能力に焦点を合わせているのである。ただ、どちらにも共闘しているのは、時間的価値を座標軸として持っているという事であり、資産が時間の関数だと言う事を如実に表している。

 費用性資産というのは、時間の経過と共に価値がなくなるの宿命にあるのである。いつまでもあると思うなという資産である。それが一般で持たれている財産と異質な性格のである。過去において、財産家、資産家というと先祖大体より継承した物という印象があるが、資産価値は、基本的には継承できない価値なのである。
 又、費用性資産というのは、資産が時間の経過と共に費用に転じていくことを意味している。言い換えると、資産は、費用の塊だと言える。つまり、経営活動というのは、費用を効果に転化していく過程で生じる差益を求める行為だとも言える。

 利益は、何等かの差によって生じる。仕入れと売値の格差が粗利益の基になるのは典型である。位置的な差、つまり、距離や価格差は、好例であるが、時間的な差も重要な差の一つである。故に、簿価と時価との乖離は、弊害ばかりでなく。むしろ、簿価と時価の乖離が利益を生み出しているとも言えるのである。

 利益の重要性を認識しながら、利益を軽視する。軽視するどころか、蔑視、酷(ひどい)い時は罪悪視する。金が全てではないよ。金儲けばかり考えているとろくな目に遭わないよと大概の商売人は、一度は言われた経験があるものである。しかし、誰も金が全てだなんていっていないし、金儲けばかりを考えているわけでもない。ただ、利益の源泉に対する無理解がそう言わせてるのである。

  簿価と時価というように貨幣価値が、資産を手に入れた瞬間から乖離するとなると、資産の実体的価値を何処におくべきかが問題となる。 
 では何を基準にして利益を考えるのか。そこから取得原価主義と時価主義が派生する。

 会計士や税理士、又は、金融業者と言った、企業業績を第三者に確証のある数値で報告したり、分析をする必要のある者は、なるべく、客観的で何等かの貨幣的記録、明確な根拠のおける物的証拠のあるものにしたい。そうなると、所得時の価値が一番、客観的物証に豊富である。故に、取得時に基準を置く思想が、取得原価主義である。
 しかし、取得原価に基づくと現実の経営実態から乖離してしまう場合がある。例えば、不動産や有価証券の中に隠されている不良債権である。含み益にしろ含み損にしろ資金調達に重要な役割を果たす。
 一定期間の経営成績は、期間損益上に表されるが、実際に企業を動かしているのは資金である。黒字倒産という事例が示すように、いくら利益を上げていても資金が不足した場合、企業は存続できなくなる。その資金調達に関する重要な情報が欠如していたら投資家は、正確な判断ができなくなる。それ故に、資金会計が近年重視されるようになってきたし、また、時価を基にした会計情報に重きが置かれるようになってきた。
 前者が現金主義であり、後者が、時価主義である。また、期間損益も損益中心の考え方から資産中心の考え方に移りつつあるのである。
 しかし、この時価というのがくせ者なのである。つまり、時価が何等かの時間の関数である以上、時間を特定する必要が生じるのである。貨幣価値が一定であるという前提ならば問題はないのであるが、時価主義が時間の変動を前提としている上、どこかに時点に時間を特定する必要がある。しかし、株価の例を見ても解るように、株は、一日の内でも乱高下、変動しているのである。つまり、時価というの極めて恣意的、主観的基準なのである。
 某テレビ局の有名なテレビキャスターが時価というのは、客観的な基準であり、世界標準の流れは、時価主義に向かいつつあるのだからと公共放送を使って主張していたが、とんでもない錯誤である。資産評価は、基本的には取得原価主義が主流であり、又、時価主義は、取得原価主義に比べて客観性の乏しい基準なのである。

 経済的に価値というのは、本来土地の価格にあるのではない。土地そのものの持つ経済的効果、例えば、その土地の持つ生産力や地理的価値と言った価値にあるべきなのである。ところが市場経済下、貨幣経済下では、貨幣的価値が一人歩きし、いろいろな振る舞いをする。それが、市場経済、貨幣経済の特徴である。同時に、資本主義経済の特徴でもある。

 産業の特質に影響を与えるのは、第一に、流動資産と固定資産が総資産に占める比率である。流動資産と固定資産割合は、個々の産業の構造によって違う。又、個々の産業の特性は、産業の構造に由来する。例えば、固定資産の割合の大きい産業、例えば、電力会社や鉄道と言った産業は、初期投資が大きく、巨額な資金を必要としている。また、減価償却の額も大きく、長い期間を掛けて資金を回収する傾向がある。又、固定資産に対応する資本金も大きくなる。この様な産業は、設備の更新時に巨額の資金を必要とするため、資金需要に一定の大きな波がある。この波が、経済全体では、設備投資の波に符合し、景気の長期波動を生み出す一因となっている。固定資産の大きい電力は、貸借対照表に固定性配列法を採用しているくらいである。
 第二に、個々の資産の回転率である。特に、在庫の回転は、景気の短期変動に影響があると言われている。在庫の回転率は、在庫品の性格に依る。在庫品が生鮮物か、又、保存がきくものなのか。陳腐化する物、すなわち、商品寿命がある物かによっても違ってくる。急激な石油価格の上昇は、在庫の評価の仕方によって石油会社の損益に明暗を分けさせた。この様な収益の企業間の格差は、産業の再編を促す契機となる。
 第三に、総資産が利益にどれくらい貢献しているかである。投資とそれに対する効率、リターンの関係で表される。これは資本に対する配当、融資に対する金利に相当する。

 景気の動向や物価と言った経済の動きを左右する法則を生み出すのが、資産構造である。それ故に、資産の構成を分析すると経済の動きを、ある程度予測することが可能である。また、産業の持つ特性や機能は、資産構成によって形付けられもする。故に、経済の動きを制御するためには、個々の産業の資産構造をある程度、理解しておく必要がある。

 資産構成は、第一に、流動資産と固定資産からなる。第二に、貨幣性資産と非貨幣性資産によっても形成される。
 前者は、支払い能力との関係から貸借対照表上の観点、つまり、財政状態を理解するために有効であり。後者は、費用性という点から損益上に結びつけられる。
 しかし、負債との関係から見ると、つまり、資金の調達能力という観点からすると非貨幣性資産の潜在的な価値が重要となる。
 例えば、固定資産が巨大な企業は、非貨幣性費用である、減価償却費も巨額となり、また、固定資産の対極にある負債や資本との関係が重要となる。通常は、固定資産と資本とが結びけられて考えられるが、それと同時に、負債の持つレバレッジ効果も計算しておく必要がある。

 資産構成を理解するためには、第一に、流動資産、固定資産を構成する勘定科目に現れる資産の金額の規模。第二に、総資産、流動資産、固定資産に占める比率。第三に、趨勢。推移。方向性。第四に回転率。第五に、負債、資本、損益との関連を分析する必要性がある。

 流動資産でも、現預金、売掛金、有価証券類、棚卸資産からなる。また、固定資産は、償却資産と非償却資産とに別れる。又、担保価値を有する資産と担保価値を有さない資産とがある。
 近年では、流動性の低い売掛金や棚卸資産、固定資産を証券化することによって流動性を高める技術も開発された。
 いずれにしても、個々の課目の持つ性格によって経営や経済に対する働きも違ってくる。

 例えば、流動資産に属する棚卸資産の評価額は企業収益に連動し、又、負債の構成に影響を与える。固定資産に属する減価償却費は、非貨幣性費用に連動している。在庫の動向や設備投資の動向は、企業収益と景気に影響を及ぼす。
 又、これらの有り様は、資金の動きとなって現れる。これは、市場の流動性に現れる。
 この様なことから、個々の勘定科目のもつ機能と性格をよく解析し、理解しておく必要がある。

 これらの要素は、例えば、在庫の動向、設備投資の動き、企業収益は、必然的に景気の動向や雇用、市場の流動性となって経済の動きを作り出している。

 資産構成は、第一に、企業が置かれている場の特性。第二に、当該企業が所属する企業グループ内での企業の機能。第三に、産業や商品の特性。第四に、景気の動向や市場の状況。第五に、企業の企業形態、経営状態、発展段階、歴史などによって決まる。

 企業の置かれた場というのは、製造の場、製造業と流通の場にある産業とでは、その資産構成が違ってくることを意味する。例えば、電力や都市ガス、水道、石油、通信、交通と言ったインフラ、社会資本を構築している産業、設備投資が巨大であり、必然的に固定費の比率が大きくなる。
 逆に、情報産業でもソフトウェアに携わる産業は、設備投資よりも経費の方が大きくなる。いずれにしても、企業が置かれている場によって資産の構成は変わってくる。
 また、持ち株会社のようにグループの株持つことによって成り立っている会社やフランチャイズ、チェーンの本部のような機能を果たす企業は、その機能によって資産構成が形成される。
 また、生鮮食料を扱うような産業と石油のように備蓄のきく商品を扱う産業とでは、棚卸資産の構成や性格が違う。
 創業時における企業と成熟期における企業とでも資産構成は違ってくる。
 過当競争下における産業と独占体制の企業とでは、資産構成に違いがでる。また、原油価格が高騰した場合と、下落した場合で、石油関連企業の棚卸資産に違いが生じる。必然的に利益にも大きな差が生じる。
 上場会社と非上場会社とでは、決算に対する規範が違うために、結果的に資産構成に違いができる。倒産直前の企業は、資産に歪みが生じているものである。
 この様に、資産の状況は、繊細であると同時に、又、企業の置かれている状況を的確に反映しているものなのである。

 また、企業業績は、必ずしも企業の実態を反映したものでもなく。会計によって創作された部分を多分に含んでいる。
 在庫の評価には、仕入れ原価、販売価格、清算価格、再購入原価などと何種類もある。仕入れに原価も仕入れ時期によって違ってくる。棚卸資産の評価方法にも、個別法、先入れ後出し法、後入れ先出し法、総平均法、移動平均法、単純平均法、最終仕入れ原価法、売価還元法などがある。そして、棚卸資産の評価額は、収益に重大な影響を及ぼす。
 石油業界は、棚卸資産の評価基準を頻繁に変更し、何とか、利益を確保している。それは、原油価格の乱高下が石油企業の収益に対し存亡を左右するほどの影響を与えているからである。いつの時点で仕入れが最も収益に良い影響を与えるかは、本来、企業経営の本質ではない。しかし、石油価格の乱高下が企業の存亡を決する以上、経営者は、邪道だとわかっていても棚卸資産の評価方法の変更を余儀なくされるのである。
 経済にとって重要なのは、本来、石油価格ではなく、石油の需給であるはずである。ところが、石油の需給を離れて石油価格が勝手な振る舞いをするのである。それが、近年ますます顕著になってきた。そして、その実需と関係ないところでの価格の変動が、石油の需給に重大な影響を及ぼすようになってきた。これこそ、資本主義経済の重大な欠陥なのである。

 以上、見てきたように、資産の働きは、経済の動きに重大な影響を及ぼす。ところがどういう訳か現代の経済学では、資産の働きを度外視して経済現象を理解しようとしている。これでは、経済の正確な動きを知る事も制御する事もできない。
 資産の構成や働き、役割、機能を知る事が経済を知る為に必要不可欠な事なのである。

参考

表 E−3−6−1−1
項目 全産業 製造業 鉄鋼業 自動車業 非製造業 建設業 商社業 不動産業 電力業
流動資産 41.4 43.3 34.7 39.5 39.9 64.7 58.0 31.7 10.1
固定資産 58.6 56.7 65.3 60.5 60.1 35.5 42.0 64.1 89.9
流動負債 33.6 31.1 38.2 30.9 35.6 56.0 45.3 27.3 15.1
固定負債 27.9 18.0 26.8 17.0 35.8 13.4 29.7 43.0 62.9
資本合計 38.5 51.0 40.1 52.2 28.5 30.6 24.9 25.4 21.7
(出所)日本経済新聞社「日経経営指標 2006」 「現代会計入門」伊藤邦雄著 日本経済新聞社



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