産業とは、保護育成すべきものである。
 事業には、一経営者の力ではどうにもならないことがある。一企業の力ではどうにもならない事がある。一産業の力ではどうにもならない事がある。一国の力では、どうにもならない事がある。

 しかも、そのどうにもならない事は、金の価値だけで測るわけにはいかない事が多い。例えて言えば、食糧問題であり、石油問題であり、為替問題である。外交や国防と言った政治的判断が必要とされる場合である。

 政治的な判断を必要とする問題である以上、政府が責任を持って対処すべきなのである。さもなければ、一経営者に責任を負わせるわけにはいかない。

 2008年4月17日の日経新聞の朝刊に円高のために、トヨタの2008年3月期営業利益が2割減したと記載された。その日の夕刊には、ドル安が追い風になって2008年1−3月、IBMが純利益26%増、コカコーラが、純利益18.9%増、イーベイが純利益22%増と載っていた。コカコーラのムーター・ケント最高執行責任者は、9%分がドル安効果だと述べた。

 為替の変化だけで、収益は、重大な影響を受ける。この様なことは、経営上不可抗力である。不可抗力だと言っても、決算上の影響は避けられない。それをどの様に評価するかである。短期的な収益結果だけをみて判断されれば、企業は存続が難しくなる。

 経営には、経営者の力で改善できる事とできない事がある。為政者や経営者、投資家、債権者は、先ず、それを見極めることが肝心なのである。その上で、応分の責任を負担すべきなのである。なぜならば、企業の成果から配分を受けているのであるからである。つまり、企業経営の結果に対して、各々が各々の立場で何等かの責任を負っているのである。

 また、一過性の問題なのか。構造的な欠陥、すなわち、制度上の問題から生じるのか。経営者個人の資質モラルの問題なのか、つまり、経営上の問題かをも、明らかにしていく必要もある。

 費用には、外部要因・外部変数と内部要因・内部変数がある。外部要因費用は、基本的に内部では管理不能な費用を指して言う。例えば、為替の変動や金利、石油価格などである。それに対して内部要因費用とは、経営主体内部で管理することの可能な費用を指して言う。例えば、人件費とか、生産量と言ったことである。
 自助努力すべき所には、競争の原理を働かせるべきである。しかし、一企業の限界を超えたところでは、政治的な判断が必要である。競争の原理を働かせるにしても、自ずと何等かのルール、規制が必要なのは当然である。無政府主義的な状況を市場というわけではない。規律があってはじめて市場というのである。
 外部的要因に関しては、それを変えられる者が責任を負う体制を構築しなければならない。また、責任の持てる体制を構築する必要がある。それが構造的体制である。

 市場原理主義者は、競争、競争と何かというと競争を絶対視する。しかし、競争力、競争力と競争力だけを問題にしたら、競争以外の裁定の手段がなくなり、妥協なき闘争に変質してしまう。そうなれば、企業は、なりふりかまわず生き残りをかけるであろう。そんなことになったら、企業は、社会から浮き上がってしまう。
 産業は、必要性において設計されるべきである。中でも雇用は、産業に与えられた重要な使命である。雇用や社会的責任を考えると今日のように短期的収益性ばかりを問題とすべきではない。必要とあれば、長期的に収益が均衡するようにすべきなのである。儲かるかどうかが問題ではなく。その産業が人々の暮らしに、どう関わり、何を要求され、何が、必要とされているのかが問題なのである。
 企業が果たすべき役割、特に、富の分配を考える時、働きが悪い、生産性が低いと言ってめったやたらに解雇するわけにはいかないのである。生産性や効率性ばかりを追求するだけでは、企業は、社会的責任を果たせないのである。第一、社会が企業に要求しているのは、雇用の創出である。それも万人に対する雇用であり、特定の技能者や特殊な能力、専門能力を有する者のみを対象としたものではない。一般的な能力、更に、社会的弱者に対する雇用の確保の方がより社会的にも、経済的にも重要なのである。一般技能者や社会的弱者を切り捨てたら社会も、経済も成り立たないのである。それは、企業の社会的な貢献、責任が財の生産と分配にあるからである。

 構造不況業種の存在が問題なのである。つまり、構造不況業種というのは、構造的に儲からない仕組みが出来上がっている業種なのである。しかし、その業種が、その国の経済に必要とされない業界かというと必ずしもそうではない。

 自分達の力では改善できない状況に置かれている業種なのである。それを時代の変化に適応できないから淘汰してしまえと言うのは、乱暴な話である。

 大国が周辺国に進駐する動機は、国防上の動機による場合が多い。周辺を痩せた狼に、徘徊されるよりは、肥った豚にした方がいいという動機である。もし、痩せた狼がいれば先制攻撃をして飼い慣らそうとする。それに対し、小国が進駐する動機は、物資の不足である。特に、食糧の不足である。

 大国は、自国内に豊富な資源を擁している事が多い。つまり自前の資源を持っている。それに対し、小国は、資源に偏りがあるのが一般的なのである。

 アメリカが、食料、エネルギー、情報を戦略物資としているのを考えると意味が深い。物資の不足は、生存に関わる問題である。金で解決がつく問題ではない。現実の物不足が隠されているからである。実際に物がなくなったら、生存に関わる。飢餓が現実のものとなるのである。それ故に、資源、食料を囲い込もうとする。必然的に資源や食料は、地政学的な要点となる。物不足が現実となった時、行き着く先は、戦争である。平和主義者の多くは、戦争を観念的なものとして考えがちだが、戦争は、現実である。現実の経済の問題である。だからこそ、戦争は、血生臭いものになるのである。それは、現実の場が、生存競争の場だからである。生きるか、死ぬかの場だからである。

 国防上にせよ、物資の不足にせよ、いずれにせよ、大軍を駐留させるためには、巨額の軍資金がいる。また、盟主たらんとすれば、更に、巨額の資金が必要となる。ソビエトの崩壊も周辺国を食べさせるために、自国民に我慢させることが限界に達したからである。

 よく昔から時は、金なりと言う。しかし、時間的な価値を経済的に認め、制度的に経済の仕組みの中に取り込んだのは、近代になってからである。近代に入って、金融制度が確立し、また、資本制度が確立することによって、経済の中に時間的な価値が組み込まれたのである。
 時間には価値がある。結局、近代化というのは、時間に含まれる時間的価値を社会的に受け容れるかの問題でもあるのである。時間的価値というのは、金利と収益、そして、資本の問題である。それは、貨幣的な問題でもある。つまり、金利という貨幣から派生する副産物から時間的価値が実体化されたのである。それが貨幣の効用の中でも最も重要な要素の一つなのである。そして、時間的価値の基礎を為す収益も資本も貨幣的な概念なのである。また、収益や資本というのは、優れて市場的な概念でもある。
 時間が価値を持つと言う事は、時間の経過が価値を生み出すという思想でもある。それが資本主義の原点でもある。時間の経過が価値を持つというのを認めるのに、非常な抵抗があり、受け容れるのに時間がかかった。今でも、なかなか容認しようとしない世界がある。近代の担い手である西洋文明においてもキリスト教は、利息をとる事を認めなかった。何もしなくても時間が経過するだけで物が価値を生み出すという事を容認できなかったからである。そこには、生産に対する人間の力、労働に対する崇拝があった。働かざる者、喰うべからず。金利や地代は、不労所得の最たるものと見なされてきたからである。
 金利や、収益、資本の概念によって時間に経済的価値が附加された。それによって経済は、従来とは、まったく違った展開、発展をしたのである。

 資本主義を成り立たせているのは、収益と資本だが、実際に経済を動かしているのは、資金である。

 調達した資金を直接消費するのではなく、何等かの生産手段に投資し、それを運用して収益を得、あるいはまた、それを担保して資金を得る。それによって資産価値を増幅する。

 石油のようにストックができる財と、生鮮食品のようにストックができない財とがある。これは、財に対して時間が陰に作用しているか陽に作用しているかの問題である。

 貸借対照表上に現れるストックとは、資金の源泉、価値の蓄積を意味する。それに対し、損益計算書上に現れるのは、貨幣の流れ、消費の経過である。
 フローとは、消費と移転、所有権の移転を意味している。つまり、フローというのは、その時点、時点の運動、動き、変化のことであり、変化や運動というのは、消費と移転を指しているのである。

 資金の調達は、ストックに依り、資金の運用は、フローによる。ストックが資金の源なのである。
 相場が時価総額を引き上げる。フローがストックの価値を増幅し、ストックがフローの資金調達を拡大する。相場そのものの取引はゼロサムである。

 資産を時間的に見ると第一に、時間的価値が減価する資産と第二に、時間的価値が何等かの相場や物価と連動している資産。第三に、時間的価値が金利と連動している資産。第四に、時間的価値が働かない資産がある。
 減価する資産の代表的なものは、費用性資産で負債と連動している。

 負債は、元本と金利からなり、元本は、貨幣の額面価値であり、変動しない。つまり、固定している。性格は、現預金と同じである。

 社会資本を変動する。相場(不動産相場)や資本市場である。これらは、時間的が蓄積される財である。同値に、取引相場が見かけ上の価値を生み出す財である。名目的資産価値は、負債の担保となって、あたらして貨幣価値の原資となる。
 これが実需と投機の問題を引き起こすのである。

 一律に産業構造を規定できない。

 第一に、貨幣経済のインフラを形成する産業としての金融である。金融は、貨幣経済のインフラストラクチャーである。故に、金融は、会計形態そのものが他の産業と違う。もともと、金融機関は、財というの実体を持たない。財貨象徴する交換価値を実体化した貨幣の動きを司るのが産業としての金融の在り方である。
 金融制度を補完する仕組みとして保険制度が機能している。
  
 第二に、社会資本、社会基盤を構築する産業である。
 社会基盤の第一がライフラインである。つまり、第一に考えられるのがライフライン(電機・ガス・水道・エネルギー)を構成する産業である。ライフラインというのは、生活の基盤を成立させる産業である。つまり、生活していく上に、暮らしになくてはならない財を提供する産業である。基本的に生活全般の基盤となる産業であるために、巨大な設備、装置に対する投資を必要とする産業が多い。
 社会資本を考える上で、次ぎに上げられるのが交通産業である。第三に、通信である。

 第三に、その他として国家事業という観点から第一に、軍需。第二に、公安。第三に防災、第四に教育などが上げられる。これは、産業といっても公共事業に属する。しかし、産業であることに違いはない。国家公務員をもこれに準じる。

 また、第四に、公共サービスとして資格を必要とする産業として、専門家によって形成する産業がある。それが、医者、会計士、税理士、弁護士、不動産鑑定士等である。

 第五に、に、実物経済である製造、流通、販売を司る産業である。製造には、開発、調達と言った上流部分と製造販売という下流部分がある。
 また、流通を司る卸、小売産業がある。

 第六に、消費を司るサービス産業がある。これらが重層的な構造として国家の産業を構成している。

 産業は、製造物、商品の特性からも規定される。必需品か嗜好品かによって違ってくる。また、消耗品か耐久品かでも違うし、生鮮食料の様に保存ができないものか、石油のように、備蓄が可能かによって産業の有り様も変わってくる。商品の特性は、消費の在り方にも影響される。

 豊かさは、消費の在り方でもある。現代経済学は、生産や効率ばかりを重視するが、幸せを測る基準は、消費の側にある。
 消費分野、特に、家計に占める衣食住の比率が重要になる。更に、ここの問題に踏み込むと、持ち家か、借家か、家の広さや建材が問題となる。
 経済の分配を考えると水準、分布、範囲、幅が重要なのである。
 また、物価水準によってライフスタイルは変わってくる。そして、それは市場環境や構造に影響し、産業の有り様に影響する。

 産業は、基本的には、資本家、経営者、労働者から構成される。

参考


トヨタ、9年ぶり営業減益に 09年3月期見通し
2008年04月18日01時44分朝日新聞

 トヨタ自動車の09年3月期連結決算(米国会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前期比約2割減の1兆7千億〜1兆8千億円程度となり、9年ぶりに営業減益に転じる見通しになった。円高ドル安や原材料価格の高騰が利益を押し下げる公算が大きくなったためだ。国内製造業を代表するトヨタの営業減益は、輸出関連企業を取り巻く経営環境の厳しさを鮮明にするもので、幅広い業種に業績悪化懸念が広がりそうだ。
 トヨタは07年3月期に、日本企業で初めて連結営業利益が2兆円の大台を突破した。5月8日に発表する08年3月期連結決算でも2兆3千億円程度の営業利益を確保したもようだが、09年3月期の営業利益予想は06年3月期の水準まで一気に落ち込む格好になる。
 最大の減益要因は、今年に入ってから急速に進んだ円高ドル安。08年3月期通期の為替レートは1ドル=114円だったが、09年3月期の想定為替レートは1ドル=100円とする見通し。円高ドル安だけで営業利益は約5千億円押し下げられる計算だ。決算発表までの間に円高が進行すれば、09年3月期の想定レートを1ドル=95円とする方針で、この場合、営業利益はさらに約2千億円下ぶれすることになる。
 また、新日本製鉄を始めとする鉄鋼大手は鋼材価格(1トン当たり)を2万5千円程度引き上げたい考えで、今後の価格交渉次第では原価低減活動の成果が相殺されかねない。  主戦場の米国でも景気後退懸念が強まっており、トヨタの販売台数(小売りベース)は3月まで4カ月連続の前年割れ。原油高を背景に、大型ピックアップトラック「タンドラ」など大型車の不振が目立ち、米国販売台数が急回復する見込みは薄い。
 トヨタは大幅な営業減益に転じる見通しになったことから、09年3月期の設備投資(連結ベース)を抑制する方向で検討に入った。3年連続で1兆5千億円程度を維持してきたが、09年3月期は1兆4千億円台に減らす方向で調整している。ただ、研究開発費(同)は減額せず、前期並みの9千億円程度をあてる方針。日米欧で燃費規制の強化が見込まれ、環境技術開発の手を緩めることはできないと判断したためだ。

【3月31日 AFP】エジプト物価急騰で緊急対策、パンめぐる暴動で死者も
 エジプトは28日、生活必需品の価格高騰で国民の不満が高まっている事態を受け、パン、コメ、パスタ、セメント、鉄の必需品5品目の価格抑制策を打ち出すとともに、コメとセメントの輸出を4月から6か月間停止すると発表した。
  世界最大のパン消費国であるエジプトでは、穀物価格がこの1年で26.5%上昇。パン店の前にできた長蛇の列が暴動に発展し少なくとも7人が死亡するという事件が起こるなど、ここ数週間というもの暴動が拡大している。
 3月初めには、事態を重く見たホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)エジプト大統領が軍にパン製造を命じた。
 政府はパンの価格高騰の原因について、小麦の国際市場価格が急騰したことに加え、政府助成の小麦が闇市場に流れ、助成金を受けていないパンの製造に使用されている問題を非難している。

 

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