現実は、カオスである。そして、経済は複雑系である。ネットというのは、このカオスの上にある脈絡のようなものである。つまり、ネットワークは、現実を網によって捉えようとしているのである。

 ネットワークとは、点(node)と線(edge)の集合である。(「これならわかるネットワーク」長橋賢吾著 講談社 ブルーバックス)

 インフラストラクチャーを形成する産業の多くは、ネットワーク構造を持つ。例えて言えば、鉄道が好例である。また、ガス、水道、電気、石油、道路、海運、航空、運河、通信など典型的なネットワーク産業である。

点と線といってもいろいろなものがある。有形なものもあれば、無形なものもある。無形な線の中には、ある種の関係や働きを意味する場合もある。
 点、又は、拠点というと電力ネットワークなら発電所、変電所などで、交通ネットワークならば空港、港、都市、駅といった拠点である。線というと電力ネットワークならば、送電線、ガスならば、パイプライン、交通ネットワークならば、道路、鉄道、航路などである。

 ネットワーク産業の多くは、このネットワークを維持するために、莫大なコストがかかる。

 点の機能と線の働きが重要になる。点の機能には、中継、選別、蓄積、発信、記録、保存などがある。特に、ハブとしての機能を果たす拠点が最近注目を浴びている。

 また、ネットワークには、第一に集権型、第二に、分権型、第三に、分散型があり。多くのネットワークは、分散型である。

 代表的なネットワークであるインターネットは、分散型構造を持つ。

 インターネットは、現在を象徴するネットワークである。また、単にネットワークというと、インターネットを指して言うほど、インターネットの持つ影響力は決定的であるが、しかし、インターネットだけではなく、交通ネットワークや電力ネットワーク、通信ネットワークがある。現代社会は、いろいろなネットワークの上に構築されているといえる。ネットワーク構造は、産業を考えていく上で重要な示唆を与える。ネットワークの持ついろいろな働きや性格によって産業の在り方は違ってくる。

 ネットワークというのは、複数の要素を何等かの関係によって結び付けた集合体である。典型的なのは、情報ネットワークである、インターネットであるが、人脈や金融ネットワーク、交通ネットワーク、エネルギーネットワークなどがある。チェーンストアも、フランチャイズも、ネットワークで描くことが出きる。

 ネットワークというのは、文字通りとると網である。網の目のようなという言葉が古くからあるが、ネットワークは、その網である。その網で現実の世界を捉えていこうというのがネットワークである。

 ネットワークは、人口的なものだけでなく。神経細胞のシナプスのように自然界にも存在する。

 複数の要素を何等かの結びつきによって結合した集合体がネットである。人と人との結びつきをよって形成されたのが人脈、人間関係のネットワークである。また、益と益とを線路で結び付けたのが鉄道網である。

 広義で捉えれば、構造物は、一種のネットワークだと考えることもできる。ただ、構造物は、二次元的に捉えきれるとは限らない。それ故に、構造には、二次元的、平面的に置き換えられる物と、そうでない物とがある。

 計画を図形化した、パート図も一種のネットワーク構造を持つ。計画や作業工程を図式化する際に、ネットワークというのは有効である。計画や作業がネットワーク化されることによって視覚化され、操作可能な状態となり、より高度で精緻、複雑な事業を可能としたのである。そして、それを可能ならしめたのがコンピューター技術の進歩である。

 結びつきには、有形な物と無形な物がある。結びつきは、線とは限らない。面でも、多次元的な関係でも良い。とにかく、要素間が何等かの結びつきで結びついていればいいのである。

 結びつき、即ち、関係や働きは、単一なものとはかぎらない。通常は、いろいろな要素が複雑に絡み合って一つの全体を作り上げている。

 人脈は、相関図によってよく示されるが、親子、兄弟、親戚、婚姻関係、友人関係、取引関係などで示される。

 情報ネットワークは、現代社会に革命的な変化をもたらした。また、もたらしている。変革は、現在の継続しているのである。情報ネットワークの画期的な性格の一つに、その自己増殖性と自律性がある。

 その背景には、貨幣価値の情報化、電子化、記号化がある。つまり、情報ネットワークが準備し、更に、情報ネットワークをより進化させるという相互作用によって貨幣の情報化と情報ネットワークの進化が同時並行的に進んでいるのである。

 情報ネットワークは、社会のインフラストラクチャーを形成しつつある。
 なかでも市場、世界市場の基礎構造を構成しつつある。そして、情報ネットワークは仮想空間を形成しつつある。この仮想空間は、従来の現実的世界とは異質の次元に、もう一つに位相を構築する。そして、その位相空間は、世界の統合を促す働きを持つ。
 つまり、一つの世界の共通基盤を提供するネットワークである。
 それは、情報を国家単位ではもはや制御する事が困難になることを意味すると同時に、貨幣の移動を、実物的な世界を通さずに、瞬時に、行うことが可能になることを意味する。貨幣は、情報の信号に過ぎなくなるのである。当然、市場や貨幣の本質的を変革する要素を孕んでいる。それがネットワークの重要な働きの一つである。

 仮想空間内に店舗を出し、学校を創設し、病院を造り、街を生み出していく。その仮想空間によって現実の世界が支配されるようになるのである。つまり、最初は、現実の世界を模倣することによって成立した仮想世界が、現実の世界に影響を及ぼし、やがて、現実の世界に取って代わっていくのである。それがインターネットの世界で現実のものとなりつつあるのである。

 サブプライム問題でも、瞬時に資金が世界を駆け回り、一国の問題がたちまちの内に世界的規模の問題発展するのを目の当たりしてきた。また、イラク戦争やチベット問題などいくら国家が隠そうとしても瞬く間の内に情報が世界に漏れ伝わってしまう。隠しようがないのである。



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