現在、経済というと、市場にかぎった現象であるようにいわれているが、経済というのは、市場だけでできているわけではない。経済を構成する基本単位は、共同体である。共同体内部には、市場は、共同体の外部経済である。
 確かに、経営主体(企業)内部では、一見、市場と同じ様な競争や貨幣の機能が働いているように見える。しかし、市場でいう競争というのは、基本的に需給に基づいたものであり、貨幣の機能は、交換を前提としているのに対し、共同体内部で働いているのは、分配である。故に、同じ競争や貨幣でもその目的としている機能が違う。

 産業は、市場や共同体が作り出す場や空間が折り重なって形成される。それが産業や組織に階層性を生み出すのである。

 階層性というのは、場や空間を重ね合わせたものである。

 階層には、第一に、機能的階層、第二に、意思決定上の階層(組織的)、第三に、段階的(過程的)階層、第四に、空間的・物理的階層、第五に、階級的(人的)階層がある。

 機能的階層とは、機能が階層的に働いている空間を言う。例えば、電磁場のような空間である。
 意思決定というのは、経営階層、管理階層、作業員階層と言ったような階層を指して言う。
 段階的階層というのは、機能的階層に時間軸が加わったものを想定すればわかる。
 空間的階層というのは、例えば、地域、全国、世界と言ったように物理的、空間的階層を言う。販売組織のようなものによく見られる階層である。
 人的階層というのは、貴族、平民とか、士農工商のような階級階層を言う。民主主義体制においては、表だっては存在しない。しかし、資本家階級、労働者階級、又は、性別格差という具合に潜在的に人的階層は存在していると言われている。

 インターネットの階層構造は、有名であるが、同様の構造は、経済や産業、市場にも見られる。インターネットの階層構造は、アプリケーション、トランスポート、ネットワーク、リンク、物理層の五階層からなっている。

 空間的階層の例としては、例えば、国際的な空間から国家的空間、地方的空間といった地域的階層、範囲がある。

 産業は、機能的階層的構造を持つ。一番下層を構成するのが、基礎構造、インフラストラクチャーである。第二層が、製造である。第三層が、物流である。第四層が、販売、分配である。第五層が消費である。
 最下層の基礎構造は、エネルギー(電気、ガス、水道、石油、原子力、風力、水力等)、そして、通信、設備、建設、交通といった産業を成り立たせる基礎である。第二層が、製造、加工、組み立て、熱処理と言った生産部分である。その上に、運搬・伝達と言った物流部分が乗っかっている。そして、販売である。販売とは、言い換えると分配である。最後に消費だが、消費を労働、市場と考えていない人が多い。しかし、消費というのはれっきとした場である。ただ、市場という形式ではなく。共同体である場合が多い。しかし、今日では、この消費の部分も市場化しつつある。

 階層は、市場にも共同体にもある。ただ、市場が作り出す階層と共同体が構成する階層とは、本質が違う。
 市場が作り出す階層は、空間や場が重なり合った構造を持つものであるが、共同体が構成する階層は、機能的、組織的構造を持つ階層である。

 一般に市場という単一でフラットな空間を思い浮かべがちだが、実際は、いろいろな形態の市場が複雑に重なり合って市場全体を構成している。しかも、個々の市場は、それぞれ独自の原理や構造、形態、機能を持っているのである。

 インターネットの階層が、アプリケーション、トランスポート、ネットワーク、リンク、物理層の五階層ならば、市場の階層は、法的階層、制度的階層、人的階層、貨幣的階層、物的階層の五階層からなる。

 プロスポーツリーグでは、市場の上にコミッションの様な調整的階層が加わる。つまり、各チームがあり、その上に球団があり、そして更に、コミッションが乗っかるという構図である。この様な体制を構造的というのである。

 企業集団や経営主体にも階層がある。企業や経営主体の持つ階層は、市場の持つ階層とは違う。一般に、ピラミッド型構造を持つものが多い。

 経営主体における機能的階層は、経営、管理、現業と言った階層である。意思決定というのは、意思決定に関わる階層性を言う。これらの階層を縦断的に、多くの経営主体は、ヒエラルヒー、ツリー構造を持つ。

 企業とは何か。人を基礎とした組織なのか。事業を基礎とした組織なのか。金を基礎とした組織なのか。これも一つの思想である。
 人か、会議か、組織か。これは、根本的な思想である。しかも、言葉でなく。実体的な制度して表現された思想である。

 株式会社の基本は、上層部分を形成するのが、会議体であり、会長や、社長と言うよりも議長と訳すべきなのである。しかも、二層ないし、三層をなしている。一番、上層部を株主層が、二層目を取締役層が、三番目を経営層が構成している。

 そして、上層部に会議体をおく、しかも、階層的におくと言う事が、資本主義の本質を現している。
 

階 層 性

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