多くの人は、経済を構造的なものだと認識している。その証拠に構造改革とか、構造不況業種、構造不況というように構造という言葉は、経済のいろいろな局面にでてくる。しかしながら、経済を構造的に認識し、構造的な政策を立案、実行した者は少ない。というよりも、絶無である。
 経済は構造的なのであるから、その対策も構造的であるべきなのである。ところが、政策の多くは、対処療法的で単発的なものが多い。その為に、当初期待した効果が上げられないのである。
 構造的な政策をとるためには、社会、国家を構造的に捉える必要がある。つまり、構造の基は、構想であり、より具体的にしたものが構図である。経済政策は、構想に基づき構図を描くところからはじまるのである。

 働きと生活状態に応じて財を分配する仕組みが経済体制である。そう言う意味では、経済は、一つの全体であり、多くの要素が複合的に組合わさって構成されている。市場も貨幣も経済の一部に過ぎない。分配の機能には、市場だけにあるわけではない。市場や貨幣を絶対視している限り、現実の経済は、制御する事はできない。市場も貨幣も補助的な手段に過ぎない。

 経済の全体像を描くためには、どの様な国や社会にしたいのか、国家観や世界観が下地になければならない。それは、経済や事業の大前提となるからである。それは、人生観や人間観から生まれるものである。突き詰めてみると幸せとは何かである。経済の本質は、幸福の追求にある。どれ程、金があり、物質的に恵まれようとも幸福な生活が得られなければ、無意味である。つまり、幸せになるためには、どの様に財を分配すべきかと言う問題こそが、経済の問題なのである。

 中小企業の経営者には、利益を平準化したいという欲求があると言われる。ではなぜ、経営者は利益を平準化しようとするのか。経営者も、好き好んで利益を平準化したいわけではない。平準化しようとするには、理由がある。最大の動機は、資金調達上の問題である。
 例えて言えば、現在の税制では、儲かっても借金の返済に充てられるわけではない。それは、減価償却の額が一方的に決められているからである。いくら、収入を増やしてもそれを借金の返済に充てることができないで、納税に振り向けなければならない仕組みになっている。反面、金融機関は、対前年との比較から企業業績を判断する。未上場企業は、担保による。そうなると、収入が増えた分、経費で落とせるものに振り向け、収益を平準化しようと言う動機が働く。つまり、税制と会計の在り方が、企業経営者の行動を規制しているのである。

 経費、中でも、人件費は、下方硬直的である。それに対し、収益は、経営環境や経済動向に併せて変動する。デフレや不景気は、収益を圧迫し、雇用環境を悪化させる。成熟期に入った産業、コモディティ産業は、必然的に、雇用を流動化させたいという動機が働く。
 コモディティと言われる伝統的産業は、雇用も産業の裾野も広い。コモディティ産業や伝統的産業の収益が悪化し、雇用を流動化させると景気に与える影響も少なくないのである。その為に、収益の悪化、失業者の増加、景気の悪化、そして、収益の悪化と言った悪循環に一度はまるとなかなか抜け出せなくなる。

 この様に社会や経済の仕組み、制度が経済の有り様を規制しているのである。この様な経済現象に対処するのに、例えば、金融政策だけと言った単発的な政策ではなく。金融政策や規制、制度改革と言った複数の政策を複合的に組み合わせて施行する必要がある。

 構造経済とは、内部経座と外部経済を均衡させることを一つの目標とする。その為には、経済の構造をどうするのかが最大の課題である。それは、内部経済と、外部経済の構造的均衡を制度的に実現する事である。

 市場経済は、外部経済の一つの形である。しかし、外部経済というのは、内部経済を前提として成り立っているものである。内部経済を否定しては、外部経済は成り立たない。
競争の原理にせよ、市場独占にせよ、内部経済の有り様を前提として考察されるべきものである。過当競争によって内部構造が解体されても、市場独占によって内部構造が崩壊しても内部経済は機能しなくなる。ただ、競争すればいい、独占すればいいと言う問題ではないのである。
 市場経済は、相対性を前提としている。そして、その相対的変化から内部経済を保護し、調整するのが利潤である。所謂(いわゆる)安全弁である。利潤は、内部構造と、外部構造とを繋(つな)ぐ安全弁である。

 貨幣経済下、市場経済下において、内部経済と外部経済との均衡を保つために、調整する役割を果たしているのが利潤である。外部経済と、内部経済の均衡を保つためには、外部経済の果たしている機能、内部経済の果たしている機能と伴に、利潤の持つ機能を理解する必要がある。
 利潤を悪だという考えを捨てない限り、経済の本質は見えてこない。儲けは、悪だ。だから、極力、利益を上げないように、上げられないようにすべきだという考え方を捨てない限り、経済の安定は、又、外部経済と内部経済の均衡はえられない。
 適正な利潤の必要性を認めなければ、市場の原理を維持することはできない。適正な利潤を上げる事は罪ではない。つまり、利潤の意味が理解されていないのである。利益とは、搾取したものでも不当なものでもない。利益を上げるのには、それなりの目的や効用、意味があるのである。それは利益の役割、機能からきている。
 利益を算出すると言う行為は、その財を生産し、流通させるためのかかった費用を明らかにし、その財の市場的価値から差し引く行為である。それは、その財の交換価値と、費用とを引き比べその価値の妥当性を証明することでもある。また、その財に生産や流通かかわった人や組織の取り分を明らかにする行為でもある。
 また、利益には、ただ、費用と効果を明らかし、その財の生産と流通にかかわった者の取り分を明らかにするだけでなく。景気の変動から経営主体を護るという効果もある。また、再投資に必要な費用を蓄積するという効果もある。それらを鑑みて、利益の当否を論じるべきなのである。

 非営利事業団体は、不正の温床となる。なぜならば、非営利団体にとって営利そのものが悪だからである。経済団体が儲けることが悪いとされたら、やることなすこと悪い事になる。又、赤字は必然的帰結である。儲けることが悪いからである。

 非営利事業は、基本的に内部経済に属する事業であり、故に、営利性を必要としていない、又は、営利性を目的にできない性質の事業を指して言うのである。つまり、非営利事業は、基本的に奉仕活動と呼ばれる仕事であり、内部経済の中で、費用は消化される仕事なのである。仮に、非営利活動によって生計を立てている者がいれば、必然的に彼は、家計という別の内部経済を持つことになる。その場合は、非営利事業と言えども営利性を持たざるをえなくなるのである。

 一概に国営企業が良いとか、民営企業が良いというのではなく。それは市場環境に基づいて選ばれるべきものだと言うことである。

 構造経済とは、構造化された経済である。構造化とは、複数の要素、部分を一定の基準、法則、規律によって関連付け、結び付けられた全体である。要は、構造とは仕組みである。

 経済主体の在り方や所有権によって第一に、資本主義的構造経済、第二に、社会主義的構造経済、第三に、全体主義的(共産主義的)構造経済などの体制が考えられる。ただ、現実は、いろいろな形の経済主体が混在する混合経済だといえる。
 資本主義的構造主義というのは、アメリカのプロ野球リーグ(MBL)を想像してもらえばわかる。また、社会主義的構造主義は、ドイツのスポーツクラブのような組織であり、共産主義的構造主義というのは、アメリカのプロアメリカンフットボールリーグ(NFL)の様な組織を思い浮かべてもらえればいい。(「Jリーグの挑戦とNFLの軌跡」佐野毅彦・町田 光著 ベースボール・マガジン社)

 我々は、資本主義や社会主義、共産主義を政治体制の問題と錯覚しがちだが、実際は、経済体制である。共産主義的な経済体制を敷いても、民主主義的、自由主義的政治体制をとることは可能である。要するに、資本主義、社会主義、共産主義を分かつのは、生産手段や所有権の問題であり、政治体制の問題ではないのである。ただ、ロシア革命以降、政治的独裁体制が主導権をとって国家体制を築き上げたために、経済体制と経済体制が混乱し、錯誤したのである。

 生産手段を資本家が握るのが資本主義であり、社会が握るのが社会主義であり、国家が握るのが共産主義である。私的所有権をどうするかはまた、別の問題である。

 現実の話として政府系ファンドが、企業買収に動いていて、それが問題になっている。日本でも、外貨準備高をただ、外国債や預貯金、金という形で保有するのではなく、何等かの形で運用してはどうかという話が、現実に持ち上がっている。

 政府系機関が、国の内外で投資活動をするのは、必然的なことだと考えられる。行政府というのは、投資機関の一種である。公共投資そのものが投資行為なのである。群が産業を育成したのは、現実である。しかし、軍事投資のみが過大であり、平和的投資、即ち、営利団体への投資が限られていたのが、問題なのである。また、公共機関の投資行為が、巨額の利権に結びついていることも見逃せない。情報を開示せずに、特定の機関や、組織、団体、人間に公共の資金が握られれば、不正の温床となり、社会の堕落に繋がるのは、火を見るより明らかである。そして、それは特権階級を生み出し、差別を生み出す原因ともなる。公共の資金こそ、国民のために使われるべきなのである。そして、その為の仕組み作りが欠かせないのである。
 何等かの形で政府系機関や、ファンドが民間企業を支配し、所有することはいくらでも考えられるし、産油国や中国、また、シンガポールのような国が豊富な外貨準備金を活用して、政府系ファンドが資産運用をしているのは、衆知の事実である。それが、営利事業を度外視して財政投融資として公共事業や公益団体に限定的に投資してきたのが、今日の財政赤字に繋がっている。国家は、むしろ積極的に営利団体に投資をして、優良な産業を育成すべきなのである。また、それが財政の健全化にも繋がる。

 問題となるのは、政府系ファンドの振る舞いである。政府系ファンドが、政府の代表者として振る舞うのか、政府の代理者として動くのか、資本家の立場で動くのかが重要なのである。振る舞いによっては、それが経済的な侵略行為と見なされる危険性もある。逆に言えば、外国からの経済的侵略をいかに未然に防ぐかの問題でもある。
 多くの政府系ファンドは情報を公開せずに、隠密に投資行動をしている。外貨準備金は、国家予算に匹敵するほど巨額であり、運用次第では、世界経済を牛耳るだけの力を持っている。また、経済や為替相場を左右するだけの力もある。
 政治的に活用されても、危険極まりない。特に、それが、国家の利権にかかわるものだけに、不正の温床になりやすく、また、陰謀の謀略に使われるのは必定である。
 それだけなくても情報機関が、秘密裏に国家の資金を活用して活動し、それなりの企業事業を行っているのは衆知の事実である。かつて、日本の財閥が、軍閥を結託して中国の侵略や戦争の原因を作ったとして解体されたのは、歴史的事実であり、日露戦争の澱に、日本の資金が革命家に流れても同様である。

 産油国や植民地の歴史を見れば明らかなように、基幹産業や国防産業を支配されれば、国家の独立や主権も危うくなるのである。経済を介して間接的に侵略したり、支配することも可能なのである。その為に苦しむのは、国民なのである。国家の富は、一部の特権階級や権力者、宗旨国の物ではなく、国民の物なのである。

 逆に言えば政府系資金を民主的に、かつ、公明に使えば、生産手段の社会化、国有化も可能なのである。一つの地域社会が資金を出し合ってその地域にあった産業を育成すれば、その地域の雇用の創出や環境保護にも役立つのである。その地域の実情を無視して補助金や補償金まみれにして、地域の独立性や自律を奪うのは、長い目で見て得策ではない。だからこそ、生産手段や経営主体の所有権や経営権の在り方が重要になるのである。

 日本の敗戦国たる由縁は、国益を優先的に考えられないことである。なぜ、国民の利益を他国から教わらなければならないのか。なぜ、国民に情報を開示できずに、外国に情報を開示するのか。

 個体差、個人差を前提とすれば、不公平、不平等は生じるものなのである。では、個体差、個人差を最初から認めなければそれは、それで不公平、不平等なのである。
 聖徳太子は、土地を平等に分け、税を取ろうとした。しかし、土地を平等に分けようにも、土地には、個体差がある。つまり、日当たりのいい土地、水はけの良さ、土壌の肥沃さ、家からの距離と言う差がある。それを均等に分けても不公平は生じる。
 同じ服を分けても身長や体格によって違いがでる。では、個人差に併せて、同質の服を与えたらどうか。元々個人の好みに違いがある以上、同じ服を与えたからと言って平等だとは言えない。だいたい同じ服を着せれば着せるほど個性は、際立つのである。
 主体の側に合わせても対象の側に合わせても個体差、個人差がある以上、不平等、不公平は生じるし、実は、不公平、不平等というのは、認識上の問題であって、対象上の問題ではないのである。
 格差の問題は程度の問題でもあるのである。社会主義だから、共産主義だから、格差を絶対に認めないと言うのは本末転倒である。肝心な事は、生産手段、経営主体を誰が掌握するかである。

 国家をどう考えるかによって体制に違いがでる。国家を共同体としてみるのか。機関としてみるのか、支配階級の支配機構としてみるのかによって違ってくるのである。即ち、国家、及び、国民に何等かの権利と義務がある共同体としてみるのか。特定の業務をする機関としてみるのか。

 問題は、内部構造の規模と機能と構造なのである。それは、内部構造を担う媒体、即ち、主体の所在の問題でもある。故に、国営、公営、民営が問題となるのである。

 構造化とは、社会の制度、機構をその目的によって意図的に、ないし、意志的に構築していこくことである。その思想を構造主義というのである。
 構造化の前提は、経済や制度は人為的なものであり、天然自然に、また、放置していれば出来上がる物、果実のように、自然になる物ではないと言うことを前提としている点である。故に、市場は規制されるべきものである。ただしそれは、構造的にであり、操作的にではない。

 成熟した市場では、差別化が進み、ブランド化するか、市場独占が進む。つまり、単一化が始まる。単一化は、市場から競争を排除する。競争なき市場は絶対化し、硬直化する。その市場の単一化を防ぐためには、ルールが必要となる。
 その場合、内的構造と外的構造の整合性が重要な問題となる。

 いわば、経済というのは、本来、スポーツのようなものであるべきであるという思想である。スポーツを構成する要素のように、フィールド、ルール、チーム、プレイヤー、審判からなるべくものだという考えである。所謂(いわゆる)制度主義でもある。

 構造を成立させているのは、空間、法則、形態、要素、判定である。また、構造体には、内部構造と外部構造がある。

 当該産業の置かれている状況や環境、発展段階に応じて、市場の原則、仕組み(構造)、企業形態を決定していく事である。

 市場経済は外部経済である。市場において行われる事業に内部経済の法則は当て嵌めることはできない。むろん、内部経済であるか、外部経済であるかは、相対的であり、何処に基準をおくかによって違ってくるが、基本的に、収益事業と同じ土俵の上で行われる事業において営利性を否定してしまえば、同じ基準上では、事業は成り立たなくなる。

 我々は、経済のことを考える時、肝心な事を忘れている。それは、経済は人間の生業だと言う事である。つまり、人間のために経済はあるのである。経済は、経済のためにあるわけでもなく。経済のために、人間は生きているのでもないと言うことである。
 結局は、経済は人間関係の上に成り立っているのである。
 人間は、一人では生きられない。人間の社会は、共同体だと言う事である。お互いが助け合い、協力しあいながら生きていく場である。義理・人情の世界なのである。そう言った人間の臭い、生活臭のない経済論は意味がない。また、人間が生きられないような経済体制も意味がない。

参考
「J−CASTニュース」
 UAEや中国などの政府系ファンド 金融市場に警戒感強まる 2007/11/ 5 コメント
SWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)が、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で初めて議論された。中東諸国や中国などで規模が急拡大し、国際金融市場で存在感を増している政府系ファンドだ。運用方針などの実態は不明だが、巨大な力を備えた政府系ファンドに対し、金融市場に与える影響への警戒感が強まりつつある。
 政府系ファンドは、中東諸国が原油の売買で得た豊富なオイルマネーを運用したり、中国が外貨準備高の一部を運用したりするもの。米大手証券によると、07年9月の資産残高は、アラブ首長国連邦(UAE)を筆頭に29カ国・地域で合計2兆8274億ドル(約330兆円)にのぼるとされる。
 先進国の有名企業に触手 G7も対策なし
 UAEなどの政府系ファンドが存在感を増している そんな政府系ファンドにより、先進国の有名企業が買収される例も目立ち始めている。9月には、UAEのドバイ取引所が、米ナスダック市場の運営会社の株式を大量取得すると発表し、米議会には危機感が強まった。アブダビの政府系ファンドが米投資ファンドの株式取得を発表するケースも出た。
こうした政府系ファンドの動きは、国際金融市場のかく乱要因にもなりかねない。買収した企業やその国への政治的な影響力をもつ可能性もあり、米国などの懸念は高まっている。こうした中、G7は今回、政府系ファンドを運営するUAEや中国など8カ国の国際金融担当幹部と非公式会合を開催、政府系ファンドの情報公開を求めた。しかし、政府系と民間ファンドを区別することへの問題も指摘され、G7は結局、明確な対策を打ち出せずに終了した。
 中国政府系ファンド「日本への投資も検討」
政府系ファンドは、日本にとっても存在は大きくなっている。4月にはシンガポール政府投資公社GICリアルエステートが、福岡ソフトバンクホークスの本拠地ヤフードームなどを取得。カジュアル衣料品「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは今夏、UAEの政府系投資ファンド、イスティスマルと米高級衣料専門店バーニーズ・ニューヨークの買収で争奪戦を展開、イスティスマルに破れた。
 9月には中国政府系ファンド「中国投資有限責任公司」が発足し、「日本への投資も検討されるだろう」(市場関係者)との観測は強い。実際には、日本ではまだ米国のような目立った動きは生じていないが、政府系ファンドは大企業をたやすく買収して技術流出などを招き、安全保障上の問題に発展する恐れもある。「自動車のような基幹産業はいざとなれば国が守るだろうが、それ以外の企業はどうすればいいのか」(食品メーカー)と、企業の間にはじわじわと不安が広がっている。

[ワシントン 20日 ロイター]
 19日に当地で開催された7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、政府系ファンド(ソブリン・ウエルス・ファンド=SWF)の影響力拡大を認識し、こうしたファンドの活動の明確な指針作成の必要性を呼び掛けた。
 中央銀行の保有する外貨準備の世界的な増加傾向を背景に、国の資産を運用する政府系ファンドも資産規模が推定2兆ドル超に巨大化し、主要国の間では、最近の政府系ファンドの成長ペースや実態の不透明性に対する懸念が強まっている。
 また一部の欧米の議員らは、こうしたファンドが経済的動機よりも政治的要因に基づいて戦略的資産を買収したり、投資したりするのではないかと懸念しているが、一方で、流動性の供給源として政府系ファンドを歓迎する声もある。
 ポールソン米財務長官は20日、これらのファンドの指針作成には国際通貨基金(IMF)が適役だとの見方を示した。
 以下は、資産の一部または全体が各国中銀以外によって運用されている主な政府系ファンド(推定運用資産最低100億ドル)。「─」はレンジ。
 情報ソースはリーマン・ブラザーズ、モルガン・スタンレー、各国中央銀行、ピムコ(PIMCO)、ロイター、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ。


 国名           ファンド名      資産   設立  資金源
                        (10億ドル)
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 アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ投資庁    250─875 1976年  石油
              (ADIA)
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 ノルウェー        政府年金基金グローバル 315 1990年  石油
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 中国           中国投資 200 2007年  その他
           中央匯金投資 60─100 2003年  その他
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 シンガポール       政府投資公社(GIC) 208 1981年  その他
              /テマセク
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 クウェート        クウェート投資庁    213 1953年  石油
              (KIA)
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 オーストラリア      オーストラリア      40 2004年  その他
              将来ファンド
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 カタール         カタール投資庁     30─40 N/A    石油
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 米国           (アラスカ州)     37─40 1976年   石油
              永久リザーブファンド
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 ブルネイ         政府投資庁        30 1983年  石油
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 ロシア          国民福祉基金      19 予定2008年  石油
              開発銀行 10 2007年
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 韓国           韓国投資公社      20 2005年  その他
              (KIC)
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 マレーシア        カザナ・ナショナル    17.5─ 1993年  その他
                    18.3
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 カザフスタン       国家基金         15─17 2000年  石油・ガス
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 台湾           国家安定基金       15 N/A   その他
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 カナダ          アルバータ・   15.4 1976年  石油
              ヘリテージ信託基金
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 イラン          石油安定化基金   12 1999年  石油
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構造化とは