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 業界とは、何等かの共通の要素を持った企業の集合、塊(かたまり)である。共通の要素とは、例えば、業態、財(製品や用役)、機能などある。業態で言えば、小売業界のようなものであり、財で言えば、石油業界、繊維業界と言った類(たぐい)、機能で言えば、エネルギー業界のようなものを指す。

 業界には、固有の特性や働きがある。固有の特性や働きは、形態や機能、構造などによって形成される。

 形態というのは、その業界特有の販売形態や組織形態によって形成される特性や働きである。例えて言えば、電力業界は、設備投資が巨額であり、それが、貸借対照表においては、固定資産比率を高め、損益計算上においては、減価償却費を大きくしている。つまり、固定費が大きいという事である。又、設備投資の周期が景気の長期波動に重大な影響力を持つこととなる。
 又、労働集約的か、資本集約的か、知識集約的かによっても違ってくる。建設業界は、業界として広い裾野を持つ上に、労働集約的な性格を持つ。その為に、雇用、失業率を左右し、また、社会資本にかかわる事業が占める割合が大きいために、公共投資に依存する傾向がある。また、プロジェクト型の業務であるために、一つの仕事の周期が長く、会計上において期をまたいだ特殊な処理が許されている。必然的に長期波動に重大な影響を与える。
 それに対して、ICのような装置産業は、資本集約的業界であり、巨額な投資の割に運転資本があまりかからず、雇用に影響をあまり与えない。設備投資額が大きい割に運転費用が小さいため大量販売、シェア争いに走りがちである。

 産業の中でも製造業は、各々の業界が個性的で非常な特徴、特性を持つ。それ故に、原価計算という会計上も非製造業とは異質な会計処理を許されているのである。
 初期投資が大きいか。
 原価計算では、第一に、同種製品を反復連続的に生産する生産形態。第二に、同一工程において、同種製品を連続生産するが、その製品を形状、大きさ、品位等によって等級に区別する場合、第三に、異種製品を組別に連続生産する生産形態の三つに区分している。(「原価計算論」廣本敏郎著 中央経済社)

 さらに、化学製品のような装置産業か、組み立て加工産業かも業界の特性を左右する。
 大量生産を主とした業界か、受注生産を主とした業界かによっても業界の在り方は違ってくる。中には、大量生産型企業と受注生産型企業が混在している業界もある。
 石油は、連産品であるが、連産品は、独特の価格構成を持つ。又、それ故に、市場の構造を特有な構造となりやすい。

 構造的というと損益構造、資産構造などに特に顕著に現れる。損益というと、固定費と変動費の割合から損益分岐点構造として現れる構造が有名である。又、付加価値構造も業界の働きを見る上で忘れてはならない。資産構造では、流動資産と固定資産の構成割合が重要である。

 損益構造や資産構造は、個々の業界固有の要素によって決定付けられる傾向が高いが、総資本(負債・資本)の構造は、個々の企業の都合や思想に左右される。

 固定費が大きいかどうかは、業界の有り様を決定付ける。それは、当然資本の在り方を最初から規定する。電力や鉄鋼のように巨額の資金を必要とし、また、その回収を長期にわたって行う産業は、必然的に固定費の処理が成否を分けることになる。当然上場企業が大半を占めることになる。又、地域独占のような独占体制になりやすい。

 商品の特性、即ち、生鮮物のように貯蔵がきかない製品なのか、石油のように備蓄がきくのか。又、産地が特定の地域に限定的に存在するのか。又、産地の政治的状勢はどうかなどが、重要な要素となる。
 生鮮食料のような保存がきかない、鮮度が、商品価値の全てであるような産業は、在庫がきかない。最近、冷蔵、冷凍技術が向上し、かなり長期保存が可能となってきたが、それでも価値の劣化は、防げない。また、天候や作柄に市況が左右されやすい。
 豊作貧乏という言葉が示すように、単純に、作柄が良いといって喜べない。つまり、相場が不安定であり、投機的な業者が参入する余地がある。それ故に、先物市場のような相場も立つのである。
 又、石油は、戦略物資であり、政治の介入を防げない。又、国際的な投機筋が絶えず介在し、原油価格に業界全体が振り回されている。また、国家備蓄が義務づけられていてその運用が市況に影響を及ぼしている。又、末端の市場は、備蓄がきく上に商品格差が少なく差別化が難しいため、常に過当競争の危険性に曝されている。安定供給と保安、価格安定性を保つために、規制がかかりやすい業界である。半面、野放しにすると特定の業者に独占されやすい。

 基幹産業か、端末産業化によっても業界の有り様は変わってくる。所謂(いわゆる)基幹産業、川上産業は、コモディティ化しやすく寡占、独占的体制になりやすい。それに対し、川下産業は、最終消費者への分配が重要な役割となり、その性格上、つまり、消費者のニーズ、要求が基礎となるため顧客優位、顧客本位になりやすく、顧客の多様な要求に応えるために、多様化、過当競争状態になりやすい。良い例が飲食業界である。顧客の多様なニーズ、嗜好、趣味、好み、能力、個性などによって飲食業界やファション業界はの有り様は違ってくる。

 景気変動を考える時、業界の特性や働きが、在庫や設備投資にどの様に影響するかが重要な要素となる。

 電力や都市ガス、鉄道のように、巨額な投資を必要とする上に何等かのネットワーク構造を持つ業界は、地域独占体制になりやすい。

 医薬品やコンピューターといった研究開発に莫大な費用を必要とする業界は、特許権や著作権のような知的所有権によって保護される必要もある。故に、知的所有権は、一種の資産として見なしている場合もある。
 医療やスポーツ、音楽と言った特殊技能を必要とする業界もある。また、特殊技能の一部は、国家資格制度によって保護されている。

 金融業というのは、貨幣が商品である。貨幣という商品は、価値が均一である。又、貨幣としての劣化しないし、保存、貯蓄が可能である。また、交換性・流動性が高い。独自の市場を持っていると言う特性がある。

 この様に、業界の持つ在り方や構造は、業界の働きを生み出す。この個々の業界の働きが複合されて景気の波動は形成される。
 

業界の働き