子供の頃に見たアニメに合体マシーンというのがあった。企業というのはこれに似ている。また、オーディオの世界でもステレオタイプからコンポーネントタイプへと変化してきた。つまり、自己完結的な構造ではなく、多様な組み合わせを可能とする構造を持つ、そのもの自体が部分になったり全体になったりする事が可能な存在である。

 組織には、時空間的構造がある。産業組織を構成する基本的要素は、人、物、金であり、それを補完する形で情報がある。つまり、この事は、組織構造には、人的側面、物的側面、金銭的側面があることを意味しています。

 企業の組織構造には、水平的、横断的機構(会議体)と垂直的、縦断的機構がある。また、手続、計画、工程と言った時間的構造がある。この様に組織は、時空間的構造を有している。

 組織構造には、第一に、法的規範的構造がある。第二に、資産構造がある。第三に、会計的構造がある。つまり、人的、物的、金銭的構造がある。

 これら、分配(評価)機構、生産(労働)機構、財務機構の三つの機構に更に、管理機構が加わるのである。
 組織機構の問題は、根本的に制御の問題である。この組織制御の機構が管理機構である。事務管理、鑑査、監督機構である。

 企業構造には、外部組織と内部組織とがある。外部組織というのは、企業の外枠を形成する組織である。内部組織というのは、組織の内部構造である。

 法的規範的構造とは、人的構造である。法的規範的構造には、外的構造と内的構造がある。企業組織には、権利・義務構造がある。これが、外的構造である。また、権限・責任構造がある。これが内的構造である。

 資産構造とは、物的構造である。資産構造には、外的構造と、内的構造がある。外的構造というのは、主として固定資産、土地、建物、設備、装置と言った外形的資産、静的資産を指し、それに対して、内的な資産というのは、流動的資産、原材料、消耗品、エネルギーのような動的資産を言う。

 会計的構造とは、貨幣的構造である。会計的構造にも外部会計と内部会計がある。外部会計は、財務会計であり、内部会計は、管理会計である。

 外部構造と内部構造の違いは、所有権と経営権の分離による。所有権と経営計が未分化な組織体が、個人事業である。

 そして、外形的な組織基準の違いは、出資者の責任が有限責任であるか、無限責任であるかによって決まる。有限責任とは、所有権、経営権に関する債権に対し一定の条件、範囲内において責任を負うと言う事であり、無限責任とは、所有権、経営権に関する一切の債権に対し責任を負うことを意味している。

 企業は五つの形態に分類できる。一つは、個人事業(Proprietorship)である。第二に、共同出資(Partnership)。第三が株式会社(Corporation/Company)であり、第四が、企業集団(Corporate Group)。第五に、非営利団体(Non Business Organization)である。
 第一の個人事業は、法人としての実体を持たず。経営者と一体として見なされる形態である。
 第二の、共同出資形態は、その出資者の責任の範囲に、即ち、有限責任か、無限責任かによって三つの形態がある。即ち、第一に合名会社(General Partnership)、第二に、合資会社(Limited Partnership)、第三に有限会社(Limited Liability Partnership)である。日本では、この有限会社は、株式会社に吸収される。全ての出資者が無限責任を負うのが合名会社であり、無限責任者と有限責任者が混在するのが合資会社、全ての出資者が有限の責任であるのが、有限会社である。
 また、三番目の株式会社にも上場会社(Public Corporation)と未上場会社(Private Corporation)がある。
 四番目の企業集団とは、会計学上で言えば、連結対象企業グループである。親会社(Parent Company)と子会社(Subsidiary)から形成される。異種複合企業・コングロマリット(Conglomerate)なども含まれる。
 五番目の非営利団体は、営利を目的としていないため、利益を還元する所有者を名目上持っていない。
 この様に、企業の形態は、法的にどの様な形態をとるか、また、誰がオーナーであるかによって違ってくる。(「MBA English 経済・会計・財務の知識と英語を身につける」内之倉礼子著 ベレ出版)

 企業体の外形的組織、外部組織を株式会社に例を取ってみてみると、次のようになる。

 株式会社において株主総会、取締役会、監査役会が主要な機関である。これに、代表取締役が加わる。これは、外形的組織、外部組織である。実際に企業における生産活動を行っているわけではない。法的な組織である。外部組織と内部組織の接点が代表取締役である。

 内部構造は、外部に対して財の生産と供給、所得の配分、貨幣の支出として現れる。つまり、生産、所得、支出である。そして、その対極にある、つまり、供給、所得、支出を出口と捉えれば、その反対側にあたる入り口にあるのが、財の調達、労働力の調達、即ち、雇用、そして、収入である。
 そして、これらの機能を実現するために、人的機構(組織)、そして、物的機構、貨幣的構造を持つ。人的組織とは、仕事、作業を中核として労働と分配を制御し、司(つかさど)る機関、仕組みである。物的機構というのは、有形、無形の財を生産市場に供給するまでの流通過程である。貨幣的機構というのは、物的流れの逆方向に流れる貨幣的流れを制御し、司る機構である。貨幣経済では、物的流れには、必ず、逆方向の貨幣的流れが生じる。この貨幣の流れが、市場経済の情報の伝達手段として機能し、市場を制御するのである。故に、貨幣の流れを制御する時には、反対方向に流れている財の流れ(フロー)とストックを見る必要がある。逆に、実物経済の流れを制御する場合には、貨幣の流れ(フロー)とストックの状況を把握する必要がある。

 故に、産業組織は、調達、生産、消費と言う流れを持つ。また、雇用、評価、所得配分の流れを持つ。更に、収入、支出、貯蓄の流れを持つ。これらが、資本主義経済の基本的な流れの構成要素となる。

 経営というのは、人すなわち労働力、物すなわち原材料、金すなわち収支を生産と消費、労働と分配、収益と費用という作用に結びつけ、利益を出していく過程である。
 企業組織とは、労働力と資源、装置を組み合わせて財を生産し、併せてその過程で労働の対価としての所得を生み出し、更に、債権者に費用を支払い、債務から金利を支出し、利益を分配する装置、仕組みである。

 組織の問題は、制御の問題である。故に、管理機構が生じる。この管理機構は、情報系である。そして、管理機構にも外部機構と内部機構がある。外部機構は、法に準拠した監視、監査機構であり、内部機構とは、内部統制を目的とした人事評価制度、事務管理制度、経理会計制度である。

 資本や負債は、名目的資産であり、実体は、企業側にない。実質的資産は、総資産の側にある。しかし、対外的な価値はない。あるのは内部価値である。これが重要なのである。

 経済現象というのは、純資産の収縮運動によって引き起こされる回転運動によって引き起こされる現象なのである。つまり、純資産は、経済構造の中でポンプ、心臓の役割を果たしている。



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